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いただいた本の感想まとめ 博士の愛した数式※ネタバレ注意

ほしいものリストより、リスナーさんから
活動1周年記念にといただいた「博士の愛した数式」。

あらすじ
「ぼくの記憶は80分しかもたない」
博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた。
記憶を失った博士にとって、私は常に"新しい"家政婦。
博士は"初対面"の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。
数字が博士の言葉だった。
やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。
あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。
ーAmazon 説明文よりー

開始20ページですでに泣いた。
数学のことしか頭にないようでいて
その実、覚えておかなければならないことに、ちゃんと時間を割いている優しさ。
効率性ともとれるそれが、とても人間らしくて好き。

息子がいることを知った時の迫力に反した
子供を想う気持ちが優しくてまた泣いた。
実際に息子に会った時の「穏やかなおじいちゃんらしさ」がよい。

わたしは数学どころか小学生にたまに教えてもらう算数すら危ういので
作中に出てくる数式の、ごく一部しか法則性の理解ができなかったけど
一つ何かを教えてもらい、それに向かうたびに
「私」とルートと博士の距離が縮まるのを感じる。

作中で「私」とルートの詳しい現状には、触れられていなかったけれど
総じて鍵っ子というのは、多かれ少なかれ
どこか寂しい思いをしているものだ、という勝手な持論があるので
博士の、一見古臭い考え方によって「私」とルートの関わりも
増えるようになっていっているのが、嬉しいことだと思った。

数学、数式によって編み出された合縁奇縁が重なって
「私」たち家族と博士との関係性が少しずつ
家族愛に近い、優しいものになっていく。

未亡人のキャラ性も良い。
無関心な割に、嫉妬はする。
でも最後は、ルートの誕生日プレゼントのために奔走してくれたりする
人間らしいムーブがいい。

幼かったルートも大きくなり
学校の数学の先生に就くという展開は、ありきたりではあるものの
やっぱり、博士との日々を読んだ後だと感動するものがある。

不思議な縁が重なって、静かな日々の中に彩りが添えられる様を
外から眺めているような気持ちになれる
優しさに溢れた物語でした。

2023.8.27
2024.1.21 移植


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