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セルビア風カツレツ?カラジョルジェワ・シュニッツラを語る

セルビア料理の中でも比較的知名度が高いと思われる、カラジョルジェワ・シュニッツラ(Карађорђева шницла / Karađorđeva šnicla)について。

セルビア風カツレツと言えばわかりやすいけど、日本の豚カツのように豚肉をそのままパン粉で揚げてるものじゃないのであれをイメージするとちょっと(かなり)違う。
まず豚肉は、叩いて薄く引き伸ばされてて、さらにその豚肉を使ってカイマク(Кајмак / Kajmak)と呼ばれるクリームをくるくると巻き、筒状になったものにパン粉をまぶして揚げてる感じ。これはなかなか手が込んでる。

筒状の形でサーブされるんだけど、ナイフを入れると溶けたクリームがブシャーっとあふれ出るという背徳感マックスな逸品。
大体の場合においてフライドポテトと一緒に出てくるので、溶け出たクリームをポテトを吸わせることも可能な、なかなかのジャンクプレート。これは暴力的カロリーと言わざるを得ない。

初めてこれを食べたときに思い出したのが、日本の都内のロシア料理レストランでいただいたキエフ風カツレツ。(英語では”チキン・キエフ”)こちらもチキンカツの中にバターが仕込んであるカロリー天国メニュー。
セルビアのカラジョルジェワ・シュニッツラとキエフ風カツレツは、その肉が豚か鶏か、肉が薄いか分厚いかの違いはあれど、コンセプトはほぼ同じ。
東欧の文化か、スラブ民族の文化か、あちらの人々はこういうのがお好きなんだろうか。

今日のセルビア語:

この覚えにくい料理名についてですが、「カラジョルジェワ」は人名、「シュニッツラ」は料理の種類って感じ。
カラジョルジェ氏はオスマン帝国からの独立を先導?したセルビアの革命家で、本名はジョールジェ・ペトロヴィチ(Ђорђе Петровић / Đorđe Petrović)。カラジョルジェは通称で、"カラ"とはトルコ語で「黒」を表す言葉で、不吉な感じとか偉大な感じとか黒髪な感じとか、色んな説や理由があるみたい。
で、料理名の由来について、カラジョルジェさんお気に入りのメニューだった…とかそんなことはなくて、ただの現担らしい。日本の料理でいうとなんだろ…信玄餅とか?

"シュニッツラ"は所謂カツレツみたいなドイツ料理で、ドイツ語のシュニッツェル(schnitzel)からの借用語。
でも、カツレツはカツレツで別に使うみたい。なぜなら文中で触れたキエフ風カツレツは、セルビア語で"キイェウスキ・コトレート(Кијевски котлет / Kijevski kotlet)"と、"コトレート(カツレツ)"なる呼び方がありそうだったから。シュニッツェルとカツレツは似て非なるものなのか、それとも固有名詞として使ってるだけなのか…

…と、ここまで書いてて、この料理の生い立ちが、「セルビアのシェフがキエフ風カツレツを作ろうとしたところ、鶏肉が無くて代わりに発案されたメニュー」らしいとのことを発見…どおりで似てるわけだ…

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