ソ教連の災害支援 #0-なぜ災害支援?-
どうもこんにちは、大変にご無沙汰しています、なかです。
2024年ももう10月。1年がたつのはとんでもなく早い…。久々のnoteです!
今年は、1月1日に発生した能登半島地震から始まった一年でした。何とか復旧のめどが少しずつ立ってきた…と思ったら9月の大雨、二重被災という言葉がニュースに流れるようになりましたね。
被災された方の多くがまだまだ日常が戻らない中、避難先や仮設住宅での生活を余儀なくされています。元の生活に戻った矢先に家屋が流された方、亡くなられた方、一連の被災で日常が奪われた全ての皆様に、心からお見舞い申し上げます。
さて、ソ教連では、災害発生時のソ教連会員校の災害ボランティア活動の支援も事業の一環として行っています。
一応事業内容にもしれっと記載しておりました。
今回は、ソ教連が今実施している災害支援について書かせていただく…前になんでソ教連が災害支援やってるの?という話をお届けしたいと思います。
ソ教連が災害支援に関わるのはなんでだ
実は新しい社会福祉士・精神保健福祉士の養成カリキュラムが開始していますが、その中に「災害」に関する事項が『教育に含むべき事項』として加わりました。
社会福祉士養成課程のカリキュラムの『教育に含むべき事項』の中に災害に関する記載がされている科目は以下です(キーワード検索にて拾ってみました)。
詳細は上記のリンク先に掲載されているカリキュラム一覧をどうぞ。
社会学と社会システム
ソーシャルワークの理論と方法(専門)
地域福祉と包括的支援体制
保健医療と福祉
ソーシャルワーク演習(専門)
意外と多かったでしょうか?それとも少ないと感じられましたでしょうか?
ソーシャルワーカーになる養成課程で災害に関する事項を学ぶのは、現在必須になっているんです。
「命が助かった!」のそのあと
ちょっと話題は変わりまして、災害が発生した際のことについて少しふれます。
これまでの様々な災害を思い起こしつつ想像を頂ければと思いますが…
例えば、自宅が損壊し中で寝泊まりができず、家財や家電は使えない状態になったとします。
「命は助かった!」の次、どのようなことが起こるでしょうか。
家は、寝る場所はどうしたらいいのか
お風呂は、食事は、トイレはどうしたらいいのか
家財や家電を失ったが生活再建はどこから手を付けたらいいのか
そもそもこの家をどう片づけたらいいのか
片づけにかかるお金はどうしたらいいのか
片づけ手伝ってくれる人はいるのか、全部自分でできるのか
やらなくちゃいけない手続きは何なのか
支援を受けたい時にはどうしたらいいのか
仕事はできるのか、仕事の収入は減りはしないか
近所の人達と離れてしまう、みんなどこにいるのだろうか
子どもの学校はどうしたらいいのか
家族の介護サービスは受けることができるのか
片付けの間、介護や見守りが必要な家族がいるとき、誰に見てもらえばいいか
持病の治療は続けられるのか、かかりつけ医は今後も通い続けられるのか
みんな大変、命があるだけましだから何も言えないけど、この辛さはどうしたらいいのか
などなど、これらのような心配事が一気に押し寄せます。
目の前には壊れた自分の家や大事なものがある中、これらを考え、そして判断することが求められます。相当しんどいですよね。
心身共に元気な方で、他の人の力を借りることができ、一定の金銭的な余裕がある場合は乗り切れるかもしれませんが、例えば、もともと心身の調子が優れない等で自分の用事足しを自力で対応しきれない状況であったり、介護や介助を必要とする家族と暮らしていたり、子育てをしている状況であったり、手伝ってくれる人が周りにいなかったり、経済的な不安がある状態で被災したとしたら、どうでしょうか。
「ぎりぎり何とか頑張って毎日の生活を乗り切っている」ひとたちが困るとき
前出の方々は「ぎりぎり何とか頑張って毎日の生活を乗り切っている」状況にあるかたがたですが、災害はこのように「ギリギリのところで頑張ってる人」を一気に困った状況に陥らせることが多い、と言われています。
経済的困難・暴力や虐待・権利侵害・心身の不調・孤立・コミュニティが壊れたり失われる・地域の様々な資源が減りその場所での生活が困難になる…など、ありとあらゆるしんどさが一気に押し寄せます。
どれもこれも自分一人でどうにかするにはとてもつらいものばかり。
もちろん、災害が起きる前には「何とか頑張れば乗り切れる!」と福祉等の支援を受けずに生活をされてこられた方であっても、「福祉?自分には無縁だよ」とバリバリ自立して生活してるよ!という方であっても、被災状況によっては支援を受ける側になることもありますし、一気にとても困る状況に陥ることもあります。
災害は、モノを壊し人の命を奪うだけではなく、人の人生のあゆみや心身の健康、その地域で培ってきた文化や人のつながり、コミュニティをも壊していきます。だれにとっても「他人事」ではない、それが災害です。
ソーシャルワーカーと災害
さて。
普段の生活を安全に安心してその人らしく過ごせるよう、様々な支援を行い、一人一人の自己決定を支えるのはソーシャルワーカーの役割です。
もちろんソーシャルワーカーじゃなくても、普段の生活を大事にすることや、その人が自分自身で選んで今後の生活再建を進めていける支援を行うことは可能ですが、法律や制度の知識だけでなく、高い倫理観と人権意識をもって、その方個人の困りごとだけではなく、その方が住まう地域もふくめたサポートを展開することができるのはソーシャルワーカーの強みであり専門とするところです。
残念なことに、災害等困難な状況が発生した際、特に、心身の不調や金銭的な不安や困難さを抱えている方、ケアを必要とする方やその家族の方の権利が、よりいっそう脅かされやすい現状が、まだまだ根強くあります。
災害は「ふだんのくらし」が脅かされる事態。
誰かの権利が侵害されるリスクが高まる事態。
ソーシャルワーカーは「ふだんのくらしのしあわせ」をサポートし、誰かの権利や尊厳も大切にする専門性をもつひと。
……と考えると、災害時は平時以上に「ソーシャルワーカーが求められる時」でもあります(もちろんそういう事態はないに越したことはありませんが
ということで、ソーシャルワーカーを養成している学校で組織されているソ教連は、
「平時だけじゃなく、災害発生時にも様々な活動を展開できるソーシャルワーカーさん、災害支援に関心を寄せてくださるソーシャルワーカーさんが一人でも増えたら素敵、現地にボランティアに行ってみたいという学生さんの背中を押したい!」という思いと、
「関心がある、役に立ちたい!という学生の皆さんの気持ちと、そんな学生さんを応援したい大人と、サポートを必要とされている方を結び付けるお手伝いがしたい」という思いを込めつつ、様々な活動を展開しています。
(…となかは思うております
実はいろいろ活動してます、ソ教連
そんな思いを込めつつ、実はソ教連はこれまでにDWAS-JAPAN 能登半島コミュニティサポートワークキャンプ2024として、被災地のお手伝いがしたい学生のみなさん×そんな学生さんを応援したい大人たち×被災された方々をつなぎ、現地での活動のお手伝いを実施してきました。
今後は、そちらの活動状況についても様々ご紹介をしていきたいと思います。災害ボランティアに興味がある方も、暇つぶしにちょっと読むか~の方も、どなたさまもぜひぜひ、お立ち寄りください!
※ちなみにDWAS(ディーワス)はDisaster Welfare Assistance Studentの略、災害時の福祉支援に取り組む学生たちという意味です。
なおご存じの方は「ああ…」となられたことともいますが、DWAT(ディーワット)を参考にネーミングしてみました!
でぃーわっとってなんだ?という方はこちらをご参照ください
(新潟県災害福祉広域ネットワーク協議会さんのページをお借りしました。各都道府県によって活動の枠組み等が異なることがあるので、ぜひお住いの都道府県のDWAT、調べてみてくださいね!)