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きのくに子どもの村学園視察 前編

「夢見る小学校」を3月に映画館で拝見したときの感動と衝撃が忘れられず、一度見に行ってみたいとの思いで、今年度の研究主任と共に先進校視察として和歌山県橋本市まで行って来ました。思ったらやるスタンスのおかげ?笑

大阪から約2時間🚗
奈良を越えて和歌山県橋本市のインターを降りて、地元道から山道に入っていくこと30分
1車線の細道も抜けて、ようやくきのくに子どもの村学園に到着します

周りは木々が生い茂る山奥の小さな集落のようなところに佇む校舎。

着くと職員の方が案内してくださり見学体験会会場へ

私たちと同じく遠くから来られてる入学希望のご家族や教育関係者、取材、企業からの視察とたくさんの方がいらっしゃっていました。

そして10:00から説明会が始まります。
女性の職員の方が説明してくださいました。
この学校ができてもう31年。

最初、建てるまでには時間がかかったそうで、運営資金がなく、大企業に1社ずつお願いをして回ったそうです。

そのうちの1社「ミキハウス」にご賛同いただいて、費用面のサポートだけでなく、教員免許を持っている社員4名を派遣して、スタートのサポートをしてくださったそうです。
そして、今でもその時の4名中3名が働いていらっしゃるらしく、そのエピソードだけでもこの学校の魅力がそうさせているんじゃないかなあと思いつつ聞いていました。

もうこのあたりから、一文字も聞き逃したくない気持ちが湧いてきて、タブレットにメモしまくりました。

教育目標は「自由な子ども」
これは決して好きなことを自分勝手にすることではなく、「感情の自由」・「知性の自由」・「人間関係の自由」という3つの側面から考えられているとのことでした。

例えば、転入してきた子で、フードをかぶっていて、あまりコミュニケーションも取らずに1人で過ごしている子が、あるタイミングでフードを取って、少し大きな声で話せるようになってきたら、感情的に自由になってきていると見ていくそうです。

資料には、「無意識の中に秘められた不安・緊張・自己否定感などから解放され、情緒がイキイキと躍動すると同時に、自己意識がしっかりして、自信と自己肯定感を持って生きる子になってほしい」という願いが書かれています。

「知性の自由」は、生活の中から見つけた具体的な課題に取り組んでいる時に「どうやってやっていこうか」と発想が広がってきていたり、深まってきたりする体験を積み重ねて、知的探究の態度と力を伸ばしてほしい願いが込められています。

「人間関係の自由」は、特に印象的で、友達ができるのはいいこと、その関係の中で自分が保てていること、友達の多さではなく、繋がれているか、そして、「友達ありきではなく、まずは自分である」ことを強くおっしゃっていました。

資料には、「徳目主義の上からの道徳教育によってではなく、心理的に自立した個人として、みんなと目標を共有し、役割を分担して問題を解決する体験に参加して、共に生きる喜びを味わい、人間関係の術(すべ)を学んでほしい」と書かれてありました。

これを実現するために「自分で決める」「体を使って学ぶ」「話し合う」「社会を知る」とうことを体験させていて、それを知るために知識がいる、だから言葉を学び、書き方を学び、算数的な学びが生きてくるんだとおっしゃっていました。

ここは、映画でも響きましたが、改めて説明を受けて本当に公立の小学校と真逆のアプローチだなと感じて、だからこそ実態はどうなんだろうとこの後の見学が待ち遠しくてワクワクしてました。後ほど、見て回った感想も入れながらお伝えします。

教科書を使うことはほとんどなく、例えば、じゃがいもを作りたいという思いがあれば、そのテーマに合わせて、教師がプリントや教材を用意していくそうです。

だから、当然毎年子どもによって活動やテーマが変わるので、教師側の準備は大変らしいですが、子どもも自分も興味が広がっていくのは楽しみなのだそうです。

職員の給与も一律だそうで、若い、経験のある関係なしに一緒に顔を突き合わせて考えていくことに価値を置いているそうです。

クラスも大人が人間関係を見て分けるのではなく、プロジェクトごとにクラスがあり、今年度の方向性があり、それを大人も本気で考えて、子どもたちに発表するそうです。

そのプロジェクト見て、自分で学びたいクラスを決める、毎年クラスを変える子もいれば、6年間同じクラスにいる子もいるそうです。

公立小学校では、クラスは選べない、先生も、ましてや「学びたいこと」も。全て国が大人が教育にこれは必要だからと子どもありきではなく、大人ありきで、ある種勝手に決められたことに子どもは従い、我慢して学んでいかなければならない側面がどうしてもあります。

かくゆう自分が子どもの時に、感じていた違和感、閉塞感がこれだったのを思い出しました。休み時間に友達とドッチボールをすることだけ本気で生きがいや喜びを感じていた子ども時代。

今は、公立小学校という立場にいる1人としてこの考えに触れた時、改めてこの「学びたいこと」への自己決定は、「学びを楽しむこと」において、どれだけ大きい体験になるのだろうと感じながら聞いていました。

このクラス=プロジェクトは、実にさまざまなものがあり、現在は「工務店」「劇団」「おもしろ料理店」「クラフト」「ファーム」と僕が確認しただけでも、5つはありました。

例えば、クラフトさんは来年橋を作りますと言ったのを聞いて、子どもたちが選んでいく。

そうすると、やはり偏っていくみたいで、そこは、大人が相談して調整していくそうです。それは、きのくにの考えとして、自由とは、何にもないところから決めるということではなく、「選べる自由があること」が大事で、そこから子どもたちができるだけ自己決定していけるためにしているそうです。

プロジェクトは「ままごとごっこ」ではなく「仕事」としてやっていますとおっしゃっていました。

費用がかかるプロジェクトをする場合、学校から100万円借金したこともあるそうです。それを作って、ちゃんと稼いで返していく。店を作ったなら、その後、経営していく。

今は滑り台を製作しているプロジェクトもあり、これは5〜10年先を見越して作成しているとのことでした。

週1回の全校集会では、さまざまなことが議題として上がるそうです。「ゲームは持ってきていいか」とかも。

もちろん、いじめだって教師の見えないところでありますとおっしゃっていました。

ただ、できるだけオープンにしていく
まずはクラスで、全校のミーティングで話し合いを重ねながら難しい課題であっても、中学生がアイデアを出したりしてみんなで自分ごととして対話を通して考えていくそうです。

説明会の最後に、堀さんが入ってきて、参加者からの質問にこんな話をされていました。

「ここで学ばれた子たちは、どこでどんな風に生活していってほしいですか?」

自分自身の生き方をする
社会貢献でもいいし、偏った生き方をしていてもいい

卒業生にはいろんな子がいて、
宝塚に入ると言って、頑張って入って、男組に3年在籍したけど、何か自分の生き方に合ってないと思いすっぱりやめた子

研究が大好きで東京大学と大学院に入った子

太っていて騒がしかった子が、ジャズダンスにハマって、体型も変わってきて、今は劇団四季で主役級を張っている子

高校では、地域の高校生が集まる英語のコンテストがあるが、審査員のネイティブの方が、どんな教え方をしたらこんなに英語力がつくか知りたいと言われている

それは、興味のあることに自然に打ち込んでいるから、何も特別なことはしておらず、学校で学んでいることをしている

外国にいく子も多く普通の高校より10倍くらい多いという話とか

とにかく、どこでも、どんな仕事でもいいから、自分で進んでいってほしい

そして、ありがたいことに、卒業生、保護者がきのくにではたくさん働いてくれている(これは、僕なりに、この学校が本当に愛されているし、必要とされている何よりの証拠なのかなと思いました)

「夢見る小学校」は、こちらが頼んで作ってもらったものではないが、広がりを見せていることは嬉しい。

初めはこういう学校もあってもいいんじゃないくらいだったが、今は全国にだんだんと染み渡ってきているのがわかる。

文部科学省からも実は、建設当初からどんどんやってくださいと言ってもらっているなどなど、貴重なお話を聞かせていただきました。

しかし、まだこれは1時間の説明会だけの内容です笑

これから見学スタート!なのですが、書きたいことが溢れすぎて、このままでは、過去最高の長文記録が生まれそうなので、ちょっと分けたいと思います😅では、またお会いしましょう。

#きのくに子どもの村学園
#プロジェクト学習
#先生が幸せに働ける学校づくり
#子どもが輝く学校を創る

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