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第4回先生が幸せに働ける学校づくり研修

先日、第4回の校内向けの研修【質問力編】をしました。

みなさんは「質問力」と言われたときに、教育や仕事、日常でどのように活かせる力だとイメージされますか?

「質問力」と検索してみると、ビジネスシーンでも、マネジメントやチームビルディング、対人関係において効果的なスキルとあったり、「質問が人生を変える」なんていう本があったり、優秀な人ほど仕事や学びの場面でいい質問をしているというキーワードが出て来たり、今の社会においては、持っておくといいことが起こせそうなスキルだという情報がたくさんあります。

今回、先生方に対して僕がお伝えしたのは、アドラーの目的論をベースとして、相手の本当の目的を引き出し、今悩んでいる誰かや自分自身を、自らの質問力で課題解決へ導けるサポートや関わりができるようになるスキルをお渡しして、クラスで悩んでいる子たちや同じ職場の仲間、ご家族、ご友人との時間をより良くしていってほしい、そんな想いで研修を設計しました。

これまで自分軸編、伝え方編、聴き方編とやってきて、良いコミュニケーションが心理的安全性を作り出すことは体感していただきながら、現状かなり使いこなしている蹉跎小の先生方にこの「質問力」と言うスキルを渡すとどんな良いことが起こるか楽しみでワクワクしながらスタートしました♪

最初のワークで、「今日この学習会が終わった時、どうなってたらいい?」とペアで話してもらうだけで、もう聴き方が本当に素晴らしいんです✨

先生方は、日々学級で、いろんな個性を相手にコミュニケーションを駆使して、授業を組み立てたり、対応したりしているので、とにかくコミュニケーション力が高い!

たまに企業の方が学校に研修に来られた時、先生方のコミュニケーションの良さ、前向きさ、真剣さに驚かれているシーンを今まで何度も見ていますが、これは、本当にその通りだなと思います。

そんな様子をニコニコしながらやっぱり先生ってすばらしいなあと眺めている時間は僕にとっては至福の時間。

その後、「質問して相手の考えが聞けて良かったと感じたことは?」とペアワークしてもらうと、はじめはなかなか思い出せない様子で、うーんと考えている人が多かったのですが、ワークが始まると、どんどん話が盛り上がって、終了でーすと言ってもまだ話が終わらない笑

ここは聞いてみたいと思い、先生方に話を振ってみると、ある先生が、音楽専科の先生と卒業式に向けてどうするのが良さそうか質問しながらいろんな意見交換をした時に、相手の考えが聞けてなるほど!と思って、また自分もそれならこうしてみては!と意見が出てきて、調整していきやすかったとの話が充実したものになったと話してくれました。

これなんて、まさに質問することを通して、相手の考えを知り、自分と相手にとって良い時間を作り出した典型的な状態だと思います。まさに質問力で共有ゾーンを作り出した感覚。

そして、もう1人。子どもに質問したときに、行動面だけ見たら、なんでそんなことしているのかなと思っていたら、実はちゃんと意味があって、だからそこにいるんだと言うことがわかり、言葉掛けも変わったと言う話でした。

これも表出している行動にだけ注目すると、叱ってしまったり、指導してしまったりする場面になるかと思いますが、ちゃんと質問することを通して、相手を知り、自分の見方、捉え方、認知を変えて、関わり方を主体的に変えた質問力の日常で使える素敵な事例だと思いました。

次に、質問と発問の違いを抑えて、質問力のメリットをお伝えしました。

これは、自分の経験上なのですが、質問力があると、対人支援で問題を解決する力が圧倒的に上がります。課題解決できる確率も圧倒的に変わります。

かくゆう自分もコーチングを学ぶ前の37年間とコーチング学んだ後の3年間の人生だったら、大袈裟ではなく、本質的に課題を解決したり、スッキリしてもらったり、勇気が湧いてくる関わりができたのは、コーチングができるようになった後の3年間の方が圧倒的に多いように感じます。

コーチングやコミュニケーションを学ぶ前の生徒指導対応、保護者対応、教員間コミュニケーションを思い出すと、そら上手くいかんわ😅と自分に対して思い当たるものがあったり、あの時子どもが変わったのもあの素敵な関わりが出来てたからだったんだと分析できる視点も持てるようになりました。

とはいえ、質問力と言っても、相手のできていないところを質問攻めにする原因追及・尋問型の質問力は、相手の勇気を挫き、相手との心の距離も離れてしまいます。

なので、今回は「本当はどうなったらいい?(目的)を聞いて、人が主体的に人生を生きていくための勇気を引き出す」という質問力に特化して、関わった人が主体的に人生を生きていく勇気を引き出す関わりを体験していこうという内容です。

つまり「先生方にコーチングを体験してもらう」これがねらいでした。

ただ、これまでに「自分軸と共有ゾーン」、「聴き方」と「伝え方」、「心理的安全性」をベースとして体験から学んでいるから、コーチング的な「質問力」がやっと機能すると思っています。

話は変わりますが、僕が教育現場でコーチングを実践している中で、先生方にとある癖があるなと気づいたことがあります。

それは「子どもや同僚教員の悩みを最後まで聞き切る前に、つい教えたくなっちゃう」癖です笑

これ、僕も本当にそうでした。

話を聞いている間に、「こうやったらいいんちゃう?」っていくつか方法が浮かんできて、それを「じゃあこうやったら上手くいくと思うで」って伝えちゃうんです。まだ話のゴールまで言ってないのに。

しかも、その後に、自分がうまく行った武勇伝とか語っちゃうんです😅誰も教えてって言ってないのに。。。

人によるかも知れないけれど、後輩からしたら、迷惑に感じる人もいただろうなあって。

だから、目的論ベースの質問力なんです。

「今悩んでいることって?」

例えば、ここでクラスづくりが語られたら
「本当はどんなクラスにしたいって思っている?」

「それは、どんなきっかけやどんな背景があって、そう思い始めたの?」

「もしそれが実現できたら、自分や子どもたちや保護者にとって、どんな良いことが起こりそう?」

「ゴールへ近づくために、やれそうなこと、やったら良さそうなことは?」

「それが実現したとして、その先、本当はどんな風に生きていけたら最高?」

「それが10点満点としたら、現状は何点?」

「現状の中で、できていることは?」

「ゴールへ向けて、やれそうなこと、やったら良さそうなことは?」

(ここで、アドバイスや感じたことを伝えると輝く✨)
「話を聞かせてもらって、AやBもしてみたら、ゴールに近づいていくと思ったよ。やるかやらないかはあなたが選択してね」

「まず何から始めたら1点でもゴールへ近いて行きそう?やりたい感は?」

「話を聞かせてもらった相手が勇気が湧くような、伝えたい勇気づけの言葉は何ですか?」

ごくごく、シンプルな「GROWモデル」のコーチングですが、自分がずっと関係が上手くいかない他者がいて、ずっと悩んでいたり、体調や心の状態が悪くなるような変えられない習慣があったりしたときに、職場の先輩や主任、上司や仲間が、受容的に、あなたの話に沿って関わってくれたら、どうでしょう。

先生方にも、これに近いフレームワークに沿って、ペアでコーチングしていただきました。

すると、たった15分ずつのコーチングなのですが、質問する度に自分の内面と向き合ったり、受容的に聴いてもらえるコミュニケーションを通して、安心しながら話していたり、話終わった後笑顔が溢れていたり、様子を見ていてこちらがにやけてしまうシーンばかりなんです。

毎回、研修で確信すること。それは
「安心安全のコミュニケーションがあれば、人は自然と幸福な時間を創り出す」ということ。

先生方は、見事にこの「共同体感覚」を創り出してくれます。

これを体験すること、この良さを味わうこと、これを定期的に思い出していること、これが学級づくり、チームづくり、組織づくりのスタート地点。

ここを知らずに、良い学級を作るというのは、自分が体験もしたことのない、知りもしない集団を作ろうという感覚。

自分も、コーチングスクールに通って、業種も年齢も違う仲間達と共に研鑽しながら、ありのままを大切にした3ヶ月で、心から信頼できる仲間と呼べる人たちと「共同体感覚」を感じることができました。

だから現場でこそ、教育という場所でこそ、子どもに伝える側の先生たちと共同体感覚を作ってこそ、コーチングを学んだ意味があると思って、3年やってきて、毎回「共同体感覚」を感じられるこの瞬間に、やってきて良かったと感じることが多いです。

ワーク後の感想で、ある先生が、
「僕の悩みを聴いてもらって、すごい大切なことに気づかせてもらったなあって思いました。話していると自分の中で、こうしたらよかったとか、自分が考え過ぎてたなとか思ったので、今度決めたアクションをやってみようと思います。」とおっしゃっていました。

コーチ役は、経験も浅い若手の先生だったんですが、しっかり寄り添いながら、相手の具体的な解決を引き出して、大切なことに気づいて、やってみようという関わりや勇気をコミュニケーションによって、生み出したんです。

研修後、一緒にラーメンを食べにいく道中で、この時のコーチングのことを若手の先生に聴いてみると、
「本当に(先輩の先生)とペアで話できて良かったです。僕の悩みもめっちゃコーチングで引き出されて、聴いてくださったので、感謝でした。もっと話したいって思ったので、今度個人的に話かけに行きたいと思ってます!」と言っていました。

これがたった15分ずつの往復で、学校で、研修の場で簡単に作り出せるところに、コーチングやコミュニケーションの価値があるなと感じます。

それが、参加された多くの先生方同士のペアの中でこれが生まれている。

そりゃ仲良くもなる。信頼関係も増す。やらない手はないって思ってます笑

話はそれましたが、こういった質問をすることがなぜ、問題解決に繋がったり、ブレイクスルーを生んだり、主体的に人生を生きていくサポートにつながるのか。

質問することによって、過去の成功体験、本当はこうして欲しかったマイナス体験、本当はこうしたいという価値観や自分軸、こんなとき充実していたという至福体験などなど、自分1人では気づかなかった潜在意識の中にある無限のリソースからあなたらしいアクションや勇気を引き出せるから、質問力、コーチングは効果的で効率的で価値のあるものだと、僕は思っています。

教員同士だと、つい生徒指導や授業力、学級経営など目の前の仕事のことにフォーカスしがちですが、コーチングでは、ワークライフバランスを含めた、プライベートも、お金も、家庭も友人関係も、キャリアも、そして仕事も、どれも均等に大切に扱います。

だから学校現場であっても、扱う悩みやテーマは、今感じていることでいいので、それがプライベートであっても、軽くなることで、より仕事に集中できたりすることにつながります。
ありのままの自分で主体的に生きていく、それを質問力で引き出していく。

この技を、先生たちにちょっと使ってもらうだけで、あちこちでブレイクスルーや笑顔や信頼が生まれるんだから、やっぱり先生たちはコミュニケーションのプロだなと感じます。

2023年は、自分の学校だけでなく、少しずつ他の学校の先生方にもお伝えできる機会を作って、そこで先生たちなりに創意工夫して使ってもらって、人生を主体的に歩く人や目の前の誰かを勇気づけられる方が増えてくれたら、僕としては最高に幸せです。

最後に、僕たちは相手の価値観に触れる大切な話を聴かしてもらった時、その人のことを好きになったり、尊敬したり、信頼したり、決して経験のある年上の人だけでなく、まだ10年も生きていない子どもたちからも、「質問をする」ことを通して、心が温かくなるプレゼントをたくさん受け取っています。

逆に質問してくれる人がいると、自分に興味を持ってくれて嬉しい気持ちになったり、自分の話をしながら整理されたり、良い人間関係を築いていくために、ひいては、良い人生を送っていくために、対人関係において、良い質問は必ず大切な技術となってきます。

『私たちが得る答えは、私たちが何を質問するかによって決まります。つまりどれだけ「素晴らしい答えを得る質問」をするかどうかなのです。』    世界No.1コーチ アンソニー・ロビンズ

いつもながら、長文になってしまいましたが、ふとした一文が読んでくれた方にとって少しでも勇気が湧くきっかけになってくれたら幸いです。

そして、毎回この研修の準備をさせてくれる奥さんや子ども達、協力してくれている、おじいちゃんやおばあちゃん、親父とおかんにも感謝を🙏いつもありがとう😌

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