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徒然ならない話 #17 あなたの言葉を見つめていたい/お別れするときこそ

今回はドラマ『silent』の内容を含んだ投稿です。未視聴の方はご注意ください。


こんにちは。こしあん派です。
みなさんクリスマスはどのように過ごされましたか?
僕はイブは友達と『天使がくれた時間』を見て、昨日は一人で引っ越しの準備でした。
友達におすすめされて初めて『天使がくれた時間』を見たんですが、アメリカのクリスマスってやっぱりすごいですね。
装飾やら料理やらパーティーやら、気合の入り方がとてつもない。
それに家族団欒の伝統的な過ごし方や大きなクリスマスツリーだったり、日本のそれとはまた違った良さがあって。
クリスマス恋愛ものは沁みますね。

話は変わりますが、僕は恋愛を描いた作品が大好きです。
人一倍共感性が高いというものありますし、
あたたかい気持ちになりたくて、そういう創作物に頼っている節もあります。

この冬の恋愛ものといえば、おそらく話題性も含めてですが、
多くの人が『silent』を挙げるのではないでしょうか?
もちろん、netflix『First Love 初恋』など人気作はたくさんあります。
(同作については後日お話ししたいです)
ただ、個人的に一番響いたのは『silent』でした。

放送前はよくある日本の冬ドラっぽい「ただの感動恋愛もの」と思っていました。
最終話でクリスマスイルミネーションに囲まれながら、幸せそうにキスして終了、みたいな。
それももちろんいいんですけどね。
だけどポスタービジュアルを見て、考えを改めることになりました。


フジテレビ公式サイトより

すごく目を惹かれるポスターでした。
一人一人の表情がすごく複雑で、ただの一言で表せるものではありません。
主演の川口春奈さん演じる紬の表情も、安心しているようで、どこか悟ったような、何かを覚悟した強さを感じました。
Snow Manの目黒蓮さん演じる想もまた、優しく穏やかな表情のように見えて、ただそれだけでない決意や力強さを感じます。

そして一番印象に残ったのはキャッチコピーです。

どんなに美しい音色を聴くよりも、
あなたの言葉を見つめていたい。

言葉を見つめるってなんだろう、と思いました。
もちろん、手話のことを言っているとも言えます。
だけどそれ以上の何かがあるように感じたんです。

見るということは、その人に向き合うことです。
お互いに向き合うことで、はじめて相手の言葉が、思いが、
ストレートに伝わることがあります。
向き合うことは無防備なことです。
お互いの思いが、意図しないところでお互いの何かを傷つけるかもしれません。
だけど、向き合わないと、相手の言葉を受け取れない時もあります。

言葉を見つめることは、相手を見つめることであり、思いを見ることです。
ただでさえ伝えたくても伝わらないことの多い思いがキチンと伝わるには、
お互いが相手をちゃんと見ていないといけない。

最終回まで見終えて、そう感じました。


変わってしまったもの、それでも変わらなかったもの。
手にしたもの、失ったもの。
伝えたいこと、伝わらないこと。
幸せになること、傷つくこと。
見ていたいもの、受け入れたくないもの。

誰かと一緒にいるということ、生きていくということには、
避けられないこれらの物事が必ずついて回ります。

どうして大切な人と一緒にいて、大切と伝えたいだけなのに、
こんなに辛い目に遭わなきゃいけないんでしょうか?
どうしてこんなに傷つくことばっかりなのに、
誰かを大切と思ってしまうんでしょうか?
どうしてこんなに矛盾した感情ばかりが生まれるんでしょうか?

結局このドラマを見ても、その答えだけはわかりませんでした。

だけど、紬と想が、周りの人たちが、
傷ついて傷ついて、一度は投げ出したり、大切なものを失ったり、
どうして立っていられるんだろう、って思いたくなるような辛さを経験しても、
それでも最後には、足りない同士で諦め悪く伝え合おうとする。

矛盾をわかっていても、失うことを繰り返しても、
誰かと一緒にいたがるなんて、変です。
だけどそれが僕であって、みんななんだろうなと思います。

僕はいつも、
変わらないものや見ていたいもの、
失ったものや傷ついたことばかり考えます。

自分にあるのはそれだけじゃなくて、確かに、
変わったもの、新しく手にしたもの、幸せなことも、
自分にはあるのに。

僕は紬や想にはなれないし、湊斗や奈々たちにもなれません。
あんなふうに、ドラマみたいに、
みんなで幸せに向かって進めるような人間になれるかはわかりません。

だけど僕にも今があって、今があるから手に入ったものがあって、
今があるから出会った人たちがいます。
失ったものや辛かったことを忘れていいとまでは言えないけど、
それだけじゃなくて、自分が今見ていて、一緒にいて、抱えているものを、
ちゃんと向き合っていけたらと思いました。


お別れするときこそね、全部相手に渡さないとダメ。
中途半端にすると自分の中に残っちゃうから。
思い出に残ると厄介だから、投げつけてきな。
そのうち美化されて原型なくなるんだから。

できなかったら、お別れしない方がいいってことだから。

紬の母の言葉を聞いていて、まるで自分に言われているように感じました。
僕は思い出を残してしまいました。
中途半端にして、本当は全部投げつけられていなかったんだと、
今頃実感して後悔しました。
投げつければよかった。
だけど過ぎたことは戻らないし、変わってしまったことは変えられない。
今を見ないといけない。
見られるように努めたい、と思います。



今ものすごく、かすみ草を買いたい気分です。
誰かにお裾分けしたい。
自分が持っているものなんてちっぽけだけど、
お花の力を借りれば誰かに渡せるかな〜?

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