移住後にどうやって仕事を選んだか? 「好きな仕事=幸福」ではない。
昨日リノベを手伝ってくれた友人がまるでインタビュアーのように、「仕事選び」に関するたくさんの質問をしてくれました。愛媛にやってきて、ゼロの状態からどうやって「建築」の仕事を選んだのかを改めて思い起こすこととなりました。
将来プラン白紙の状態で東京から移住
勢いだけで愛媛に移住した15年前。予定していた海外移住が白紙となり、東京での仕事を辞め旅をして周った後、無職の状態でやってきました。愛媛には仕事のあてはまったく無し。「好きなことを仕事にしよう!」ということだけ決めていました。
今考えれば無謀というか単純というか・・・。行動力だけは褒めてあげたい。
きっかけはやはり「人」
愛媛に来る前の20代の終わりに、東京でよく遊んでいた商建築デザイナーさんの影響で「建築デザインの仕事」を知りました。それまでは私の人生で建築のことなんて、まったく考えたことがありませんでした。
そのデザイナーさんとの出会いで「建築設計」というキーワードが私の中に入ってきたのです。仕事の話を聞いたり、手描きのパースや絵を見せてもらったり、実際につくったレストランやバーに連れて行ってもらい説明を聞いていると、とても楽しくてワクワクしました。
かといって、その当時は自分で建築デザインの仕事ができるなんてこれっぽっちも思えませんでした。建築系の高校も大学も出ていないし、スキルも知識も経験も何もない。おまけに方向音痴で数学が苦手!
うーん、これでよ今振り返ってみると、く「建築の仕事にしよう」なんて思ったものだなあ。
実現に貢献した2つの要素
実現させることができた要素はシンプルに次の2つでした。
その1)きっぱり決めること
その2)余計なことは考えず、ただ進む
自分はこの仕事できるかな?
ではなく、「やるんだ」とただ決める。そして決めたら余計なことは考えない。その時点で持っていないものにフォーカスするのではなく、目の前の流れに乗ってただ突き進む。
周囲の雑音を振り切る方法
とは言っても、実際には自信なんてないし、何ともうっとうしい周囲の雑音が揺さぶりをかけてくる。
" 不景気なんだから
愛媛に知り合いもコネもなくて
おまけに経験も資格もなかったら
設計の仕事で就職なんてできないよ。
東京に帰った方がいいんじゃない?"
と、実際に周りの人に言われたことを「無視する」ことに決めました(ここエネルギーいるけどがんばりましょう)。
数学苦手な人は建築はできないんじゃないか・・・とか、そういうことでは悩まない。「今できなくったって、できるようにすればいいじゃないか」という思考に切り替える。
「方向音痴は建築に向いてないよ」という知人の言葉を「ふん、だったら方向音痴で建築士になれたらおもしろいじゃないか!」と、自分の中で切り返す、という心理的プロセスを踏みました。
時間の力ってすごい!
頭をぶつけながらかっこ悪く、でもしぶとく建築の仕事を仕事を続けて、14年が経ちました。
30を過ぎて何もない状態で愛媛にきて、当時目標にしていた建築士にもなることができました。さらにその後、独立して設計事務所も立ち上げることもできました。
20代、30代の会社員時代に喉から手が出るほど欲しかった、時間と場所に縛られない働き方をしています。孤独だった30代から想像つかないほど、心温かい仕事仲間や友人たちに囲まれて、依頼してくれるお施主さんに恵まれ、新しい出会いも広がっています。
当時、自信がまったくなくて、想像できなった未来にいます。時間の力って本当にすごいんですね! そして、あまり深く考えるより世の中単純なくらいがうまく行くのかもしれないですね。
「好きな仕事=幸福」ではない
昔は好きな仕事ができたら幸せだと思っていました。でもそうではないんだ、と長い時間を経て気づきました。
好きな仕事と思って選んだ仕事でも、必ず「好きではないやるべきこと」がたくさんついてくる。挑戦や失敗、大きなストレス、問題や責任がついてくる。だからこそ、大変なやるべきことを避けて、ただ楽な方へと流されていては、心からの楽しさや充実感、達成感を得られる仕事は手に入らない、というのがここにきて腑に落ちたことです。
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