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僕が観ていたのはモキュメンタリーだった

注意:この記事は、「放送禁止劇場版 ニッポンの大家族 Saiko! The Large family」、「樹海の奥地にある、少し不思議な村で1週間生活してみた。」のネタバレを一部含みます。

日記:5/4、5/5


 昨日、後輩が借りてきたDVDを大画面のスクリーンで鑑賞した。タイトルは「放送禁止劇場版 ニッポンの大家族 Saiko! The Large family」である。
 これは埼玉県に暮らす浦さん一家で起こっている家庭内問題とその原因を追っていくドキュメンタリー作品で、カナダ人映像作家のベロニカ・アディソンが密着取材をしながら話が進んでいく。父・純夫への家庭内暴力を繰り返す三女、反抗期の次男、引きこもりの長男、音信不通の長女という家庭内問題のサラダボウルと化した家族に向き合って、懸命に家庭を支えようとする純夫に焦点を当てて話が進んでいく。最終的には家族間の問題が解決し、一致団結するハートフルストーリーとなっている。 

というのは、嘘である。

 実はこの家族の中で殺人未遂が何度か起こっており、よく観察すればその犯人が分かるのである。そして物語の最後では……ここから先は是非自分の目で確かめてほしい。
 つまり、一見するとただのドキュメンタリーなのだが、映像を注意深く見ると別の恐ろしいストーリーが浮かび上がってくるのである。実際にこんなドキュメンタリーなど世に出せるわけがないので、これはフィクションである。このように、フィクションをドキュメンタリー映像のように演出する表現手法のことを「モキュメンタリ―」というのである。
 「放送禁止劇場版 ニッポンの大家族 Saiko! The Large family」では、映像の随所に伏線が張られていて、じわじわ恐怖が迫ってきて非常に面白い。ビックリ系のホラーではないので、ホラ―が苦手でも十分楽しめる(怖いことには変わりがないが)。特に中盤にあるインタビューシーンは鳥肌モノだ。

 観終わってから調べたのだが、この家族は別の「放送禁止」作品にも出てくる。そこで描かれるのは映画から7年前の浦家のことであり、ケガで大工の仕事を休んでいる父が、家庭内暴力を振るっている様子が取り扱われている。ちなみにこの父は「放送禁止劇場版 ニッポンの大家族 Saiko! The Large family」に出てくる純夫とは別人で、純夫は再婚の父なのである(もう怪しい)。
 放送禁止は複数の話があるので、気になる方は是非観てみてほしい。

 とまあヒトコワ系のホラーを昨日観たのだが、そこからモキュメンタリーというものに嵌ってしまい、他にどんな作品があるか調べてみた。すると、以下の作品がヒットした。

樹海の奥地にある、少し不思議な村で1週間生活してみた。

 これは僕の大好きなYouTuberである「だいにぐるーぷ」の1週間シリーズ動画である。1週間シリーズというのは、1週間○○生活といった動画シリーズ作品群のことを指し、「1週間逃亡生活」「1週間心霊スポット生活」「無人島からの脱出」等がある。全部面白い。
 余談だが、1週間シリーズ以外だと「ディズニーランド行くふり選手権」が面白い(いまはもうメンバーシップにならないと見れないが)。

 このシリーズのうちの一つに「樹海の奥地にある、少し不思議な村で1週間生活してみた。」というものがある。これは、「とある樹海の奥地には、自殺しきれなかった者が暮らす村がある」という都市伝説を検証すべく、メンバーの西尾さんと岩田さんが調査する。事前に得た情報から樹海村を発見した二人は、そこで生活をしながら内情を探っていくのだが……といった内容だ。


 これがまさにモキュメンタリ―だったのだ。当時観ていた時はモキュメンタリ―という言葉は知らなかったので、「面白い企画を考えるなあ」程度にしか思っていなかったが、自分がすでにモキュメンタリ―に触れていることを今日知って驚いた。
 ここから先は内容に触れるので、まずは一回YouTubeに行ってシリーズをすべて見てほしい。





 このモキュメンタリ―の特筆すべき点は、「西尾さんのみがリアルだと思っている」という点だ。樹海村シリーズで出てくる登場人物のうち、西尾さん以外は全員仕掛け人なのである(岩田さん含む)。簡単に言えばドッキリ企画なのだが、それがより西尾さんのリアルな反応を映し出すのに大きく貢献しており、全編通して緊張感のある内容となっている。また、「放送禁止」では知らない一般人が登場人物なのだが、「樹海村」ではいつも見ているだいにぐるーぷのメンバーが主人公であるため、普段の動画のテイストとのギャップがホラー感を高めている。
 
 樹海村を見て思ったことだが、やっぱりこういったテイストの作品に出てくる優しい人はとにかく怖い。絶対何か裏があるだろ、というのを感じずにはいられない。笑いの起源は威嚇だという話があるが、やはり笑顔は怖さも持ち合わせている面白い感情表現だ。
 ちなみにそういった意識をうまく利用しているのが「放送禁止劇場版 ニッポンの大家族 Saiko! The Large family」である。

 以上、モキュメンタリ―紹介でした。これからの暑い季節にぴったりなので是非。 
 あと、だいにぐるーぷを観よう。ほんとに面白いから。


ではまた。

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