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学生開発のソウルライクアクション『Cryweard』の感想

◆ 基本情報

タイトル:Cryweard
制作者:Metaseven(Twitter) (Steam)
ジャンル:高難度3Dアクション
入手時期:2022/7/10
バージョン:体験版

ゲーム画面①

◆ 概要

本作はいわゆる"ソウルライク"といわれるFromSoftwareの「ダークソウル」のリスペクトゲームの1つ。
特徴としては、三人称視点による高難度のアクション性で、なんども挑戦して強敵を倒す達成感を重視したものであることが多い。
こちらもその他のソウルライクから大きく離れることはなく、プレイヤーを操作してダンジョンを潜り、行く手を阻む強敵を倒しながら最深部を目指すものになっている。

ゲーム画面②

◆ 良かった点

・ゲームとしてのまとまり

ダークソウル系のゲームとしての下地もあってゲームとして破綻をしていない。
チュートリアルもしっかり作られていたり、やられたときのリトライもチェックポイントがたくさんセットしてあってストレスが少ない。
また、タイトル画面などのゲーム外の部分もちゃんと作られており、丁寧な印象を受ける。

・攻撃を利用した回復システム

敵の攻撃に対してパリィだけではなく、吸収という形で回復するシステムは良かった。
敵の攻撃が回復の存在に解釈が変わるため、とくにボス戦では無限の回復手段があるようなものなので、イージーユーザーには優しい。
逆に原作のヒリついた戦闘ができなくなるが、それはトレードオフだろう。

ゲーム画面③

◆ 惜しかった点

・それ以上になることのないゲーム性

その他のソウルライクでも同じようなことが言えるが、それに準ずる以上、本家のソウルシリーズを超えることはまずない。
これは、なにがソウルであるかを規定、破壊できるのは原作のみであり、それから逸脱したオリジナリティをいれると、それはソウルライクではなくなる矛盾を抱えているからだと自分は考えている。
本作も、オリジナル要素や作者のこだわりをもって作っていることはわかるが、ソウルライクという一点にて頭打ちになっている印象は否めない。

・動機づけの薄さ

シンプルにもっとこのゲームをもっとやりたいと思える要素がほぼない。
「この先になにがあるのだろう」「これが欲しいから〇〇しよう」といった本作を遊び続ける動機付けが何もないと言っていい。
たしかにストーリーが冒頭にフレーバー的に提示されるが、それはフレーバーであって本質にはならない。
道中の敵を倒しても特になにも手に入らず、同じような見た目の地下遺跡を地図もなく歩き回るのは虚無感すらあった。
途中、ボス的なものもいて、倒すとパワーアップアイテム等が手に入るが、メトロイドヴァニアのような先に進むための鍵であるわけでもないため、動機付けには程遠い。

・嗜んでいる人向けの内容

私が感じた「難しい」のベクトルが「わからないから難しい」という方向に向いていたように思う。
チュートリアルを通じて、いくつかスキルやアクションが提示されるのだが、それをどのような場面で使うのかがわからない。
「戦闘が有利になる」というTIPSがでたりするが、どう有利になるのかがわからなかった。
追加で手に入るスキルもどのように使うのがよかったのか確信が持てない。
ソウルゲーを嗜んでいる人ならすっと入ってくるのだろうか。

ゲーム画面④

◆ 総評

ソウルライクという下駄がなければ、全く面白くないゲームだった。
ソウルシリーズが確立した面白さに全乗っかりしており、本作が面白いのではなくソウルシリーズが面白いというのがよくわかる。
戦闘システムにこだわっているのは伝わるが、それ含めほぼ全てがソウルシリーズが用意してくれたお約束のようなものに頼りきっており、それを嗜まない私にはなかなか伝わらなかったように思う。
大きな括りで言うところのレベルデザインが致命的に欠けていたと思う。
なぜここに敵を配置しているのか?この導線はなにを示しているのか?といったものが私には感じられなかった。
(ソウルを嗜んでいる人ならわかるのかも?)

本作は学生作品ということがメディアでは取り上げらているが、その通りだと思う。
学生ポートフォリオであって、ゲームではないし、ましてや商品でもない。
自分はこんなことができます!というアピール作品としてはよくできていると思う。

感想送信フォームに「いくらなら買いますか?」という設問があったが、学生ポートフォリオは制作の過程に価値を見出すが、商品に対しても同じ目線であってほしいというのは難しいだろう。
少なくとも私は個人制作作品においては、作者の頑張りは評価するが、価格的価値には反映はしない。

個人が作ったソウルライクという点であればフリーソフトの「Nose」が自分の中では1つのボーダーになっているので、まずそれを超えてほしいと思う。

タイトル画面

◆ リンク


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