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【第11話】網膜剥離闘病記 ~網膜剥離になりやすい人の特徴。手術は滅茶苦茶痛い!?~


祝退院!退院時は意外とドライな対応?

眼帯からの卒業

 朝食の前に朝の診察があり、その日もスリットランプの前に座らされ、眼球を上下左右に動かすように指示されるが、今回は迷走神経反射にならずに診察を終えた。眼球を動かす際の痛みも前日よりはだいぶ軽減していた。右目の状態を診終わると、S先生が「予定通り本日退院で大丈夫ですよ」と言い、僕の退院が決まった。
 その日の朝食は油揚げとほうれん草と玉ねぎを卵でとじた煮物と、紅白なますと、ワカメとジャガイモの味噌汁と、ごはんで、梅風味のおかかふりかけの小袋も添えられていた、前日も感じたが、朝食は主菜らしいおかずがなく、180グラムで少なめとはいえふりかけがないと白ご飯を持て余してしまう。
 朝食が済むと看護師が朝の薬をもってベッドにやってきたが、眼帯用のガーゼを持っていなかったのでそれを聞くと、今日からは目を過度に触ったりぶつけたりする衝撃に十分に気を付ければ、眼帯はしなくていいとのこと。気になるようなら眼帯とガーゼは支給できると言ってくれたが、まだ右目は真っ赤でジュクジュクに熟れた果実状態でだいぶグロテスクに仕上がっている。僕はよくてもそれを見た街の人は気持ち悪くないだろうかという事の方が気になった。少し考え、視力は戻っていなくてぼんやりとしか見えていないが、それでも両目が見えている状態の方が行動しやすいし、瞳孔を開く薬で眩しい時の対策や退院時の為に度付きサングラスも持参していたので、この時点で眼帯を卒業することに決めた。

退院時ってどこの病院もこんな感じなの?

 退院に備えて身の回りの物をバッグに詰め、パジャマ代わりのスウェットから洋服に着替えるともうやることは無くなってしまったので、テレビを観ようとテレビカードを差し込むと、まだ2割くらいしか消費していなかった。退院の流れがよくわかっていなかったためナースコールで看護師さんを呼ぶと、「準備が出来たらいつでも退院していただいて大丈夫ですよ」と教えてくれた。看護師に付き添われて病院出口まで行き、そこで看護師さんの集団に囲まれて花束と拍手の中、病院を後にするイメージを勝手にしていた僕は、退院するときって結構淡泊な感じなのね、と少し寂しくなった。荷物をまとめて病室を出る。入院時にも感じたが、パジャマや検査着がマジョリティスタイルな病棟内を私服でウロウロしていると居心地が悪い。スタッフステーションの前を通る際、一応「お世話になりましたー」と声をかけたが、それに気づいた数人が軽い愛想笑いと会釈をしただけだった。勿論、花束をもらえるとか看護師さんの集団にエントランスで見送られると本当に思っていたわけではないが、何の手続きもせず病院を出るのは逆に不安になる。
 費用の支払いも数日後の検査の際に支払うという事になっていたため、僕は病院のエントランス付近にあるテレビカードの精算機に2割ほどしか使わなかったテレビカードを突っ込み、ジャラジャラと返金された小銭を受け取って一銭も支払わず、誰にも見送られず病院を後にした。
 病院の外に出ると昨夜の雪が嘘のようによく晴れた冬の青空が広がっていて、西新宿の高層ビル群に遮られている部分はあるが見渡す限り雲は見当たらなかった。瞳孔を開く薬は点眼していなかったが、右目は瞳孔が半開きになったままでサングラスをしていても眩しく感じる。

自宅に帰ると飼い猫が出迎えてくれた。

 地下鉄に乗って自宅に帰ると、飼い猫がリビングのドアの前まで来て出迎えてくれたので、いい子でお留守番ができたご褒美にちゅーるとパウチに入った少し高めのおやつをあげた。時間はまだ午前10時を過ぎたくらいで、とりあえず洗濯機を回してテレビを付けた。その日は職場自体が定休日だったので午前中に帰宅できたからと言って出社の必要はない。術後の注意として、初回の検査(3日後)までは仕事は控えるように言われていたが、事務仕事のみで目が疲れない程度であればと、S先生に許可を得ていた。その他にしばらく禁止されていることは、車や自転車の運転、飛行機での移動、旅行、長時間のPC作業、重いものを持つ事、飲酒等があった。飲酒は、3日後の検査以降は程々になら飲んでいいそうだが、アルコールそのものではなく、飲酒すると無意識に目を触ってしまったり、酔ってぶつけたりするのを防ぐ為らしい。

退院翌日には出勤。

 1月26日、まだ右目は真っ赤で腫れているが、度付きサングラスをかけて出勤した。コンタクトレンズは当分入れられない。そこそこ来客がある職種の為、色眼鏡で接客をする無礼と、クリアな眼鏡の奥にグロテスクな眼球があるという相手の精神面に与えるダメージを天秤にかけてみて、サングラスは理由を説明をして詫びれば何とかなると思っての選択だ。1日仕事をしてみて感じた事は、両目が見えているとはいえ、手術をした方の右目はまだほとんど視力が戻っていないため結局左目のみで見ているのと変わらない状況なので、目がとても疲れる。どうしてもパソコンを使う時間が長いので余計に疲れる。

#創作大賞2023

#この経験に学べ


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