マガジンのカバー画像

裁判傍聴日記

6
趣味で裁判所に傍聴に行っています。裁判所では日々様々な裁判が行われていますが、その中の様々な人間模様を記録していきます。
運営しているクリエイター

2021年12月の記事一覧

飲み屋でテレビに説教をするような調子の裁判官とそうさせてしまうダメな被告人の話

 その日、地裁の予定はそれほど新件が多くなく、そんな時は簡裁をのぞくようにしてる。  被告人席に座っていたのは30代の男性で、身上経歴を簡単に説明すると、仕事は飲食店勤務で、東北の高校を中退した後に上京し、そこで出会った妻とデキ婚しており、現在は妻と子供との3人暮らしだという。  ではこの男が今何故被告人席にいるかというと、友人に2万円借りに繁華街まで出かけて行き、夜中まで飲み歩いた帰り道、ふと見たら駅前デパートの前で酔いつぶれて寝ているおじさんがいたのでポケットから財布を

「じ・自分はそうは思いません!!」~裁判官は自分のことをなんて呼ぶ?~

 裁判傍聴をよくする方なら知っているけれど、裁判傍聴初心者の方には耳慣れない言葉が結構ある。専門的な法律用語はもちろんだが、昔からの習慣でそうなっていたり、あえて意図してそうしていることもある。  その中でよく耳にするのが、裁判官の一人称だ。  裁判官は、裁判の最中に自分のことを「私」等の一般的な一人称で呼ぶことはほぼない。例外はあるが、ほぼすべての裁判官が自分のことを「裁判所」と言う。「裁判所から質問をします」、「裁判所はこう考えます」「裁判所はそうは思いません」等、傍聴