森博嗣「四季」:「すべてがFになる」の過去と未来の物語
森博嗣の「四季」春・夏・秋・冬の4冊の合本を読み終えた。
移動中の電車の中で少しずつ読んでいたので、読み終わるのにずいぶんと時間がかかってしまいましたが、全体的に面白かったです。
「四季」は「すべてがFになる」にでてきた天才研究者(プログラマ)・真賀田四季の子供時代(春)から、未来(冬)までのお話です。
「すべてがFになる」は、過去に両親を殺害した真賀田四季が隔離された孤島の研究所での密室殺人事件で、犀川創平(N大助教授)と西之園萌絵(学生)が主人公のシリーズ(S&M)の話の1つです。
「四季」では、「すべてがFになる」では分からなかったこと(例えば、なぜ両親を殺害したかなど)が分かるようになっています。
春、夏が「すべてがFになる」より過去、秋、冬が未来になっています。
春は、子供時代の兄・其志雄との物語
夏は、両親を殺害するまでの物語
秋は、すべてがFになるの後の物語
冬は、さらに未来の物語
秋は、ほとんどS&Mが中心の話で、未読の内容(「有限と微小のパン」)の後の話になっているいるようです。また、まだ1冊も読んだことないのですがVシリーズというのとも関係しているようです。
冬は、ミステリーというより少しSFぽっく感じました。歳をとらない永遠の命の「スカイ・クロラ」ともつながっている(物語としてではなく)ように思いました。
他の話でも出てくる色々な登場人物と事件とが、縦糸と横糸がつながるような感じの構成になっているようです。主な登場人物の名前です。
犀川創平(さいかわそうへい)
西之園萌絵(にしのそのもえ)
保呂草潤平(ほろくさじゅんぺい)(別名:椙田(すぎた))
各務亜樹良(かがみあきら)
瀬在丸紅子(せざいまるべにこ)
儀同世津子(ぎどうせつこ)
「すべてがFになる」が森博嗣のデビュー作となっていますが、このような関連づけた構成で作品を創作することをいつから考えていたのでしょうね。
以上、森博嗣の熱心な読者ではないので間違っている部分があるかもしれません。
とりあえず、未読の「有限と微小のパン」を購入しました。「四季(秋)」を読む前に「有限と微小のパン」を読んでおく方が良かったのかもしれません。