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母乳育児を経験してBSケアと出会い、そして目覚めた私~お母さんバトン 緒方理佐さん~

赤ちゃんの母乳吸啜メカニズムに倣う乳房ケア「BSケア®」に出会ってくれたお母さんたちの、出産と母乳育児の物語。お母さんの言葉で、綴っていただきます。

今回ご紹介するのは、助産師でもある緒方理佐さんです。

自身の産前産後で大きく変わった助産観

私が助産師になりたての頃は、時代の流れ的に自然回帰が見直されており、
助産院による自然なお産を選択するお母さんが増えていたように思います。

医療介入なく自然にお産することの素晴らしさを知りたくて
様々な場所へ勉強に行かせて頂きました。

色々な経験を積む中でやはりお産に立ち会える瞬間がたまらなく嬉しく、
私はお産のお手伝いさえできたらいいと思っており、
産後の乳房ケアに関しては全くもって勉強不足でした。

また経験を積んで少し自信をつけた私は先輩方の言葉を借りながら、
「自然なお産をするならば妊娠中は体を鍛え(ウォーキングなど)、
食事は和食中心で、できることなら有機野菜を、赤ちゃんの物はできるだけ手作りで」など理想いっぱい夢いっぱいな事を
お母様方に平気で話していました。

聞こえの良い内容をお伝えしているのですが、
「こうあるべき」という伝え方になり、お母様一人一人に寄り添えていなかったなと思います。

その時の私に今会うことが出来るならば、「昔の私よ、非常に残念!」ともの申したいです。そんな小生意気な私を妻にと稀有な夫と愛を育み結婚し出産しました。妊娠、出産において自然を理想としていた私は医療介入を絶対に受けたくない、そして薬も飲みたくない、自然療法で是が非でも乗り切ってみせるといきこんだ産前産後。

「こんなはずじゃなかった」泣きながら授乳する日々

食事にまあまあ気を付け赤ちゃんの服を手作りし万事整えいざ出産。無事に助産院で出産できホッとしたのもつかの間、急転直下な事態となります。産後直後からの過酷な修行の日々。

産後間もなくして重症乳腺炎になってしまい、助産師のプライドから周りに助けてと言えず自分でどうにかしようとこじらせ、乳腺炎としては一番ひどい状態まで一気に突き進みました。

近くの母乳相談室を訪れ、恐らく乳房ケアだけでは難しいと言われました。泣く泣く医療行為を受けた敗北感。乳房に当てられたガーゼを見ながら涙がこぼれます。

「こんなはずじゃなかった、何故こんな目に合うのか?こんな私は私じゃない。」否定的な気持ちばかりが心を支配します。泣きながら授乳する日々。医療行為は受けたけど、最後の抗いの気持ちから、お薬は一切飲まないと決めました。

内服せずして無事に快方に向かえたから良かったのですが思考回路は無茶苦茶です。医療行為を受けず、自分自身の力で乗り越えることが美徳になりすぎてしまっていました。やはり内服は然るべきタイミングでするべきだと今は思います。

生まれた新たな目標

そんな落ち込んだ日々が3か月くらい続いたでしょうか。表面上は明るく振舞っていても、産後の重症乳腺炎について思い出すとズキズキと胸が痛み、ついでにおっぱいもトラブるような気持ちになりました。食事もご飯と具だくさんのお味噌汁をメインにし、赤ちゃんのため、美味しい母乳のため、乳腺炎にならないためと頑張りました。

自分を追い込んだ分だけ幸せが待っていると信じていましたが乳腺炎は繰り返しました。繰り返す乳腺炎に嫌気がさしては落ち込むループ。どこかに私を救ってくれる答えはないのだろうかと救いを求めていたのかもしれません。もうこのままでは前向きになれない、自分を認めるためにも勉強不足である「乳房ケアの勉強をしよう」と考えるようになりました。

正しい知識に助けられた、第2子の子育て

そして第2子出産後。時に乳腺炎に悩まされる事もありましたが、BSケア®を学んだ後ですのでセルフケアも間違ったことはしません。自分のおっぱいの状態を冷静に考えることが出来ました。第1子の時に比べれば順調でしたし、正しい知識を身に付けているのと付けていないのとでは母乳育児にこんなに違いが出るのだと感じました。

美味しい食事も気兼ねなくしっかり食べて元気モリモリ。ただ、乳腺炎時のケアを受けたくても近くににはBSケア®のケアラーがおらず、仲間が居たらいいのに・・・と思っていました。そんな時BSケア®セミナーのケアモデルをさせて頂く機会を得ました。寺田先生のケアが受けることが出来るなんて、BSケア®を学んでいて、しかも母乳育児中という偶然が重ならないと出来ません。本当に幸運でした。

ケアを受けてみてまずの感想は痛くないこと。そして先生の手が心地よい振動で全身に伝わること。眠ってしまいそうになること。そしてケア終了後のスッキリ感。おっぱいも軽くなったのですが、肩や背中も軽やかになり気持ちもスッキリ。すごい!一回のケアでこんなにも違いが分かるとは、やはり寺田先生のケアは素晴らしい!と感嘆しました。また、先生はケアしながら私のおっぱいの歴史を語りだします。

私はその時たまたま乳腺炎になった翌々日にケアを受けることが出来たのですが、「緒方さんが白斑と仰るこの白い部分はおそらく、第1子の時の傷が瘢痕化したものだと思われます。そして~」と私しか知らない情報をサラサラと説明され「すごーい!当たってる!」と占いに来ているような気分にもなりました。

と、同時にこんなすごい眼力と推察力と心地よいケアは寺田先生だから出来るのだろう、私が努力しても到底追いつかないか?いや、追いつきたい!と奮起もしました。

お母さんのケアで、自身も癒される

BSケア®は乳房ケアをより深く学ぶ場所ですが、自分自身をも癒す場所でもありました。私の多難とも思われる母乳育児生活ですが我が子は本当に可愛いですし、私に多くの経験と感情を教えてくれた大切な存在です。癒され乗り越える気持ちが出てきたからこそ皆様にもこの経験をお話できます。

そして寺田先生と浅野先生のお母様方への関わり方やその理念は助産師業務全てに通じています。そのお母様をあるがまま受け止め、お一人お一人に寄り添ったケアを提供する。その時のかける言葉、態度、姿勢は決して指導的ではなく優しく丁寧でそっと近づきケアを届ける。

BSケア®に救われた母であり助産師の私は日常生活や子育てでもBSケア®の学びがバイブルになっています。ローマは1日にしてならず。これからも寺田先生と浅野先生、諸先輩方の背中を追って日々研鑽し成長していきたいと思います。

2021年10月執筆

広報担当のコメント

BSケアを受けたお母さんの、出産と母乳育児の物語でした。
緒方理佐さん、濃い体験を共有いただきありがとうございました。

どんな出産もどんな育児も、それはお母さんと赤ちゃん2人の特別な物語。
うまくいくことも、いかないことも、いつかは2人の大切な思い出になります。

でも、もし悩むときには、適切な支援を受けられるかどうかで、その後の選択が変わることがあります。今、母乳育児がうまくいっているお母さんも、難しさを感じているお母さんも、お母さんと赤ちゃん2人にとって良い選択ができるよう、赤ちゃんの母乳吸啜メカニズムに倣う乳房ケア「BSケア®」を行う助産師が寄り添えたら嬉しいです。

NPO法人BSケアは、育児の始まりが”幸せな思い”であることを願い、母乳育児支援者の育成と、BSケア®をお母さんに届ける活動をしています。

赤ちゃんの母乳吸啜に倣う乳房ケア「BSケア®」を学ぶ信頼できる助産師「BSケアプレゼンター®」が全国に100人以上います。困ったときには、お気軽に相談してみてくださいね。

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