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診断士っぽくない経営に大切なこと②「想いを込める」と不思議と売れる

今回も中小企業診断士っぽくない切り口で日ごろ感じていることを書いてみたいと思います。診断士ってロジカルに、財務的な視点や根拠に基づいた診断や助言をすることが多いのですが、少しロジカルを横において根拠やロジックに表しにくい視点でご説明します。


仕入れた商品に「想い」を込めると売れた

私は会社員時代に衣料品卸会社の小売部門でバイヤーの仕事をしていました。婦人服や紳士服、肌着や靴下などの実用衣料まで取り揃え、製造メーカーから仕入れたものを自分の管轄の売り場で販売する。そこで様々な経験をさせてもらいました。

小売店の面白いところは、お客様の反応がすぐにわかる事。売れる商品は陳列した瞬間に飛ぶように売れるし、売れない商品は見向きもされない。売れる商品と売れない商品の違いって何だろう?といつも考えていました。

まず売れる商品というのは、仕入れた本人(バイヤー)がこれは絶対売れるという確信があること。もちろんお客様のニーズや衣料品だったら気温、価格帯等の要素もありますが、まずは仕入れた人が売れると思っているのかが大切だと思います。

一方初めから売れないだろうなぁ、とか売り場を埋めるためにとりあえず仕入れてみた、仕入れ先に勧められるまま仕入れたというあまり仕入れる側の想いの入っていない商品はやはり売れませんでした。

この違いは、仕入れた人の商品への想いや熱意が商品を通じてお客様に伝わっていたのだと思います。商品をただ陳列するだけでなく、POPにおすすめの理由を書いたり、ディスプレイをきちんとしたり、販売員に説明したり、お客様に伝わるように工夫をする。この一連の流れが想いとなってお客様に伝わり、手に取ってもらうことが出来る。

適当に仕入れて適当に陳列していると当然売れません。

セミナーやプレゼンも想いを込めると反応が良い

コンサルタントになってからはセミナーをやることが出てきましたがこれも同様のことでした。セミナーの依頼は様々なルートがあります。セミナー―エージェントから依頼されたり、商工会議所から依頼されたり、自主主催をしたり。

例えば、過去にあるエージェントから特定のテーマに関するセミナーを依頼され、あまり気が乗らなかったのですが当時お金のために資料を作ってセミナーをしたことがあります。今思うと反省点ばかりですが、お金をもらうために決められた内容をただ伝える。そこに私の想いや熱意は込められていませんでした。

そんなセミナーが受講者からいい反応を得られるわけがありません。アンケートの反応も悪く、あとで主催者からクレームが付きました。もっとちゃんとしてくれと…。

それからは気持ちを入れ替え、まず気乗りがしないテーマを受けないこと。そして依頼を受けたとしても必ず、事前に主催者や受講生の特性やニーズを把握すること。自分の伝えたいことは何なのかを明確にしたうえで、資料を作り、セミナーを行うようにしました。

そうすると不思議とセミナー後のアンケートが高評価になっていきました。プレゼンも同じ。プレゼンテーションは受講者へのプレゼント、「自分の想いを届ける」ことです。

AIが進化しても想いは伝えるのは人間

最近chatGPT等のAIが出現して、セミナー用の資料やスライドなども簡単作ることが出来ます。私もたまに利用しますが、セミナー内容の項目を作ってもらうことやタイトル案を複数出してもらうなど補足的な役割として活用しています。すごく便利で有難いのですが、仕上がりはなんか面白くないものになります。形式的というか、普遍的というか。

ネット上に出ているあらゆるデータの中から普遍的なものを抜き出すことには優れているかもしれませんがあくまで機械が行うこと。そこに作成者の想いは入っていません。

商品の購買動機を促すことやセミナーで受講者に想いを伝えて行動に移してもらうためには感情に訴える必要があります。この想いを伝えるのは人間しかできないこと。

「想いを込める。想いを伝える」ことの重要性は今後ますます高まるかもしれません。人間にしかできないことですから。

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