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【PED】Orelvis Martinez、禁止薬物陽性【Short】
現地6月23日、つい数日前にコールアップされ、MLB初ヒットを記録したばかりのOrelvis Martinez(オレルビス・マルティネス) がクロミフェン(Clomiphene)という禁止物質に陽性反応を示していたことが発覚。即時80試合の出場停止処分が言い渡されました。
新しい風を吹かせたいブルージェイズにとっては待望の野手№1プロスペクトの昇格だけあって、ファンベースでのショックも大きいように見受けられますし、今年3月にレッズの超有望株・Noelvi Marteが同様にPED違反によって出場停止となった件と重なります。
クロミフェン(Martinezが処方されたのはクロミッド50mgという名称)は主に女性用の不妊治療薬として処方されるようですが、男性の不妊療法としても用いられるとのこと。実際、Martinez側の主張としては「過去2年間、ガールフレンドとの子をもうけようとしていた」とのことで、以下のように釈明。
"We wanted to keep this matter private, even within our family, and trusted the doctor who assured us this treatment did not include performance-enhancing drugs,"(原文)
Martinez「私たちは自分たちの家族にも、この問題(不妊治療)を秘密にしておきたいと考えていました。”この治療薬に身体強化薬は含まれていない”と断言した医師を信頼していました。」(筆者意訳)
残念ながら、クロミフェンは不妊治療薬としての側面を持つ一方、WADAやUSADA、そしてMLBが禁止物質に指定している身体能力向上薬でもあります。
例えば、筋肉増強を目的にテストステロンを過剰に外部から摂取した場合、男性ホルモンと女性ホルモンのバランスが崩れることで、一部のテストステロンが”エストロゲン(Estrogen)”という女性ホルモンに変換されるケースがあります。
この際、クロミフェンを摂取することでエストロゲンによる身体への副作用を防ぐことができる働きを持つことから、各機関によって明確に使用が禁止されているわけですね。また、クロミフェンに関してはFDAの判断も参考になるでしょうか。
In contrast, clomiphene is not FDA-approved for use by men for any condition. On the most recent Clomid product insert, the FDA states that are “no adequate or well-controlled studies that demonstrate the effectiveness of Clomid in the treatment of male infertility.”(原文)
女性不妊治療薬として用いられていることは対照的に、クロミフェンはいかなる症状に対しても男性への使用がFDA(アメリカ食品医薬品局)によって認可されていない。最新の排卵誘発剤の添付文書によると、FDAは "男性不妊症の治療におけるクロミッド(クロミフェン)の有効性を証明する適切な、あるいは十分に管理された研究はない "と述べている。(筆者意訳)
毎度ながら、Martinezの主張の真偽については正直論ずるに値しません。本当に不妊治療目的で服用していたとしても、その物質を自分で調べすらしなかったことの浅慮さは、擁護しがたいもの。また、ドミニカ本国の医師が本当に彡(^)(^) 「クロミフェンは禁止物質じゃないやで!!」なんてマヌケたことを抜かしていたのであれば絶対訴訟に持ち込むべき。これでMartinezの年俸の大半がカットされたわけですから。
「またドミニカか…」という皆さんの反応はもっともであり、Tatis Jr、Marteと殊更に若手選手が摘発されているのは球界の損失に他なりません。3月の冒頭記事でまとめたばかりなので今回は特段触れませんが、中南米とPEDの関係はほんまにブラックボックスやなと。
対PEDに関しては、いや、PED対応に関してのみ、優秀な偉大なるManfredコミッショナーには次期CBAで大なたを振るってほしいところ。
ちょうどステロイド時代のnoteをまとめたばかりなので下記も是非。
<以下参考>