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短編小説05「箱舟」

 一人の男がいた。
 海岸の端で磯釣りをするその男は、いかにもな釣り人といった格好に身を固めていた。しかし、そこから醸し出される雰囲気は、どこか寂しさと孤独を纏っていた。
 ふと、その男は懐から一枚の写真を取り出した。
 そこに写し出されていたのものは――

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