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A4一枚の憧憬描写【憧憬のピース】01歳零話『ボクなきボクの物語』
背中が固くて冷たい。
烈しく降りしきる照明光が、知らない誰かの瞳の奥をそっと、こじ開ける。
そこにボクは迷い込み、閉じ込められた。
懐かしかった。
体感して知覚するだけで、ボクの周りが拡がっていく。
喜びも感動も怒りだって、憎しみだって、表した途端に、泣き喚くことしかできない。
それでも、知らないことや、わからないことに触れる。
ただそれだけで、全身が浄化してカタルシスが起こる。
込み上げてくる瑞々しさを、一心に、身体の外へと迸らせた。
身体全体で、生まれ変わったと云う奇跡をボクの周りに伝えたくて、感情を爆発させた。
目蓋を開けば、誰かがいる。
周りに人間がいる。
願いに応えるかのように、暗闇が真っ二つに割れる。
円筒の底から見上げた空は、数え切れないほどの光が枝垂れていた。
放射状に咲き誇った光芒(こうぼう)に打たれた。
次第に閉じていく視界を最初に覗き込んできたのは、巨大な笑顔だった。
親だろうか。
ボクをもう一度、この世界に産み落としてくれた女神様だろうか。
わからなかった。
でも、その満たされた笑顔は、ボクの中にいる本当のボクを見つけてくれた。
捲れる音がする。
今まで身の一部だと思っていた殻が急になくなる。
塞がれていた場所に溜まっていた不安や恐怖などのマイナスな心情が、風に冷やされて、一気に解放感へと変わっていた。
「やったなぁあぁ」
笑いながら怒っている。
世界が一層賑やかに聴こえた。
でも、自分の中だけでは消化できない鬱憤を外に出す行為は、この世界では禁じられているらしい。
またすぐに異様な閉塞感がまとわりついて、その中に鬱憤を溜め込むことを余儀なくされた。
これは、ボクとボクが自我で結ばれるまでの物語である。
※ぜひ、何度も読んで、隠されたメッセージを解読してみてください。
憧憬のピースには、必ず、メタファー(暗喩)があります。
🔆新プロジェクト始動中!
🔆【憧憬のピース】とは・・・?🔆
⇩
A4一枚に収まった超短編小説を
自身の過去(憧憬)を基にして、創作するプロジェクトのこと。
情景描写で憧憬を描く『憧憬描写』で、
いつか、過去の人生がすべて小説になる(ピースが埋まる)ことを
夢見て・・・