見出し画像

私が飲食店を退職し、コーヒーを選んだ理由 -後編-

コーヒーを好きになった日


時は少し戻り、料理人時代。
コーヒーが好きになった1番初めのキッカケはここにあります。


私は以前ブラックコーヒーが飲めませんでした。
コーヒーにはたっぷりのミルクと砂糖を入れてあまーくして飲むのが美味しいと思っていました。

そんな時、アルバイトとして働いていた、元スターバックス店員の女の子が、私にコーヒーを勧めてくれました。

「ブラックでは飲めないんだよなー」

という私をよそに、いいからいいからと言わんばかりにコーヒーを淹れ始めたのです。

そのブラックコーヒーはチョコレートと一緒に私の前に出されました。

「このチョコレートと一緒に召し上がってみてください!」


「いや、でも砂糖くらいは、、」


「良いから是非!」



とりあえずその子の言うとおりに、チョコを口に含んで、まだ甘さの余韻がたっぷりあるうちにそのコーヒーを口に入れました。


あれ?

苦くない。

美味い。。

チョコレートの余韻を後からきたコーヒーが更に華やかにし、コーヒーにも甘みを感じるし、まさにマリアージュといった感じ。


本当に衝撃を受けました。


その日は私にとって「コーヒーを知る第一歩」を踏み出させたかけがえのない日となりました。


コーヒーの本当の魅力


それからというもの、私は毎日コーヒーを飲むようになりました。

そしてコーヒーがコーヒーチェリーの種である事を知り(それまで知らなかった)、産地ごとに味わいが違う事を知り、品種や精製方法がたくさんある事を知り、作り手の農家さん達が、どのようにしてコーヒーを作っているのかを知りました。

コーヒーを知れば知るほど私は、確信めいたものがありました。

「これ、ワインと同じやん。。。」


ワインには、葡萄の品種があり、育つ環境の違い、発酵の仕方の違い、土壌の違い、作り手の違いなどがありますよね?

コーヒーにも全く同じ要素があるんと思うんです。
コーヒーチェリーの品種、産地の違い。
標高や土壌の違い、ウォッシュドやナチュラルなどの精製方法や発酵方法の違い、作り手や生産農家さん達の想い。

それなのにワインほどそれを知られていないし、おそらくそれを気にして飲んでいる人は少ない。

本当にもったいない!!!!


心の底からそう思いました。


フレンチレストランやビストロやイタリアンでは、ソムリエやお店の方からワインの説明があり、メニューにも産地や品種、味わいやフレーバーなど細かな説明書きがあるにも関わらず、コーヒーは食後にポンっと置かれるだけ。


いや、これどこの産地のコーヒーやねん!と。


もっとコーヒーは楽しめる。

ものすごい余白を感じました。

究極のスペシャルティコーヒーとの出会い


そんな中、ある知り合いからの紹介でこの人のコーヒーは飲んだ方が良いと勧められ、都内のコーヒー焙煎士のかたに会いに行きました。


初対面の自分にとても優しくコーヒーについてのお話をしてくれ、自分自身の事業の事や考えかたも。
そして私の事業の背中を押してくれたのも彼でした。

初めて彼のコーヒーを飲んだ時の感動は今でも忘れません。

エチオピアのウォッシュドコーヒー。

鮮やかなルビー色のカップのそのコーヒーは、華やかな花のような香りと、レモンティーを思わせる心地よい酸味。
苦味は一切感じる事なく、口の中に甘みが広がります。


こんなにも面白い飲み物かと。


コンビニコーヒーや、缶コーヒーなどではとうてい伝えることのできないコーヒーのポテンシャルを再確認した日でした。

コーヒーはもっと楽しめる。
コーヒーでもっとワクワクできる。
こんなコーヒーをもっとたくさんの人に伝えたい。
この気持ちこそが私がコーヒーを選んだ理由です。

コーヒー焙煎は料理そのもの


時系列的にその後お店を出店し、すぐに撤退することになるのですが、その後はコーヒーの抽出を深掘りしていきました。


色々な抽出方法、抽出の温度や粉の挽き目、抽出時間の経過とともに抽出される液体の違いや水質や硬度の違い、、。
本当に変数が多く、安定した抽出をするのに初めは苦労しました。


ですが、どのようにしてコーヒーの成分が液体に移動するかの性質を理解してからは、どの様な味を出したいのかを設定し、それをコントロールするというところまで辿り着きました。

そしてすぐに行き着いたのは焙煎。
すぐにコーヒーそのものの素材をコントロールしたくなったのです。

というのも、料理にとっても素材に対しての火入れはとても重要な要素で、例えばお肉に例えるとただ火を入れれば良いわけではりません。
お肉表面のメイラード反応(糖とアミノ酸が反応する)や、中心に温度をどれくらいの温度帯で入れるのか、タンパク質に含まれるミオシンやコラーゲンをどれくらいの温度を与えるのか。。。など、、(このジャンルだけで膨大な文書になるので、別のnoteでいつかまとめたい。笑)

コーヒー豆にも、同じ様にメイラード反応から始まり、豆のテイストを発達させるという点でまさに料理そのものでした。

私は自分の味覚には自信がありました。
そして素材に対するアプローチの仕方も自信がありました。
更には素材に対しての愛情の込め方も分かっていました。(冗談ではありません。これも語り始めると1000文字。笑)


すぐにコーヒー豆に火が入っていくフェーズを理解し、そして、コーヒーを焙煎する焙煎機の構造も理解し、焙煎によって得られるコーヒーの味覚要素などはどのように形成されるのか、自分なりのアプローチを模索しました。

オンラインストアをオープン

本来であればお店で直接コーヒーの楽しさを伝えたいところなのですが、『思い立ったらやってみる』というスピードを重視している私はオンラインストアからスタートする事にしました。

今後はどこかでお店をオープンし、コーヒーの面白さ、楽しさを皆さんにお伝えできる日がくればと現在も奮闘しています。


コーヒーはもっと楽しめる

コーヒーの世界は現在、世界情勢や気候変動による影響を受け、価格の変化や品質の変化などさまざまな問題を抱えています。

そしてそれを受けコーヒー生産者の方々も持続的に品質の高いコーヒーを提供するという喫緊の課題に向き合い取り組んでいます。

そういう意味でも皆さんにもコーヒーの事をもっと知ってもらい、コーヒーをもっと楽しんでもらいたい。

これからも私なりに私のコーヒーを通して珈琲の楽しさを皆さんに伝えていきたいと思っています。

さいごに

前編、後編と長々と読んでくださった方、本当にありがとうございます。
当初は、コーヒーを目指したことを簡潔に書くつもりでしたが、文章や言葉をまとめて話すことが普段から苦手な私は、こういうものを書き始めるとこんなに長ったらしくなってしまうんだということも再認識しました。笑

もう少し簡潔にお伝えできるよう、このnoteを通して勉強します。笑

とはいえ、頭に浮かんだ言葉をそのまま並べたのは、逆にいえば私の想いを出来るだけ事細かくお伝えできたんじゃないかとも思っています。

最後までお読みいただきありがとうございました!


コーヒーはオンラインストアで販売しています!


いいなと思ったら応援しよう!