OKRとMBO
OKR(Objectives and Key Results)とMBO(Management by Objectives)は、どちらも目標管理の手法ですが、以下の点で異なります。それぞれの特徴と両者の違いについて説明します。
OKR(Objectives and Key Results)
◎概要
• 目的: 大胆で挑戦的な目標を設定し、それに向けた具体的な成果を定量的に測定する。
• 構成要素:
1. Objectives(目標)
• 質的(定性的)な目標。達成したい理想像やビジョンを示す。
• 例: 「顧客満足度を業界トップレベルに引き上げる」
2. Key Results(主要な結果)
• 定量的に測定可能な成果指標。目標を達成するための具体的な結果を設定する。
• 例: 「顧客満足度調査のスコアを90以上にする」「リピーター率を50%増加させる」
◎特徴
• 野心的な目標設定: 少し達成困難な挑戦的目標を奨励。70~80%達成を成功とみなす。
• 短期的スパン: 通常、四半期(3ヶ月)単位で設定し評価を行う。
• 透明性: 組織内で目標を共有し、個人・チームの進捗状況を可視化する。
• 柔軟性: 必要に応じて目標を変更し、進化し続ける。
MBO(Management by Objectives)
◎概要
• 目的: 上司と部下が協力して目標を設定し、その達成状況を定期的に評価する。
• 構成要素:
1. 目標設定(具体的で現実的)
2. 評価(目標達成度に基づく)
3. フィードバック(次の目標設定に活用)
◎特徴
• 現実的な目標設定: 達成可能な目標を設定し、評価を重視。
• 長期的スパン: 半期や1年単位で目標を設定することが多い。
• トップダウン型: 上司が目標設定に大きく関与する。
• 評価重視: 目標達成度が昇進や報酬に直結する場合が多い。
◎具体例
OKRの例
• Objective(目標): 新規市場でのブランド認知度を高める
• Key Results(主要な成果):
1. 新規市場での月間訪問者数を10万に増加
2. 地域限定キャンペーンでの参加者数を5,000人にする
3. 地元メディアでの掲載記事数を20本にする
MBOの例
• 目標: 既存顧客のリテンション率を向上
• 評価基準:
1. リテンション率を20%向上
2. 顧客満足度調査で平均スコアを85以上にする
◎結論
• OKRは、短期間での成長やイノベーションを求める組織やプロジェクト向け。特にITやスタートアップで多用。
• MBOは、安定的な成果管理を重視する従来型の企業や運営に適している。
◎日本企業のOKR導入事例
1. メルカリ: 日本企業の中では、かなり早くOKRを導入した企業の一つです。
2. freee: クラウド会計ソフトを展開するfreeeも早くからOKRを導入しており、全社規模でのOKRスキル向上に取り組んでいます。
3. Sansan: クラウド名刺管理サービスを提供するSansanもOKRを導入しています。 MBO(目標による管理)の限界を感じ、OKRの導入に踏み切ったようです。
4. GMOペパボ: 個人向けインターネットサービスを提供するGMOペパボでは、人事部門でのテスト導入を経て全社導入を進めています。
5. 花王: 花王グループでは、中期経営計画の一環としてOKRを全面導入し、社員の挑戦を引き出し、生産性の最大化を目指しています。 
日本企業の導入事例については、こちらが大変参考になります。
以上、感覚的には、MBOはちょっと古くさく、悪しき成果主義を生んだとの評価が定着しつつあり、OKRは短期集中とフラットな組織に向いたスキームで、今の時代ニーズに合ってるのかなと感じます。
中小企業診断士試験の企業経営理論ではMBOはH26第17問とかなり前に出題されてます。一方、OKRはまだ出題実績はないようなので、そろそろ出るかも知れません。
最後に、OKRとMBOの違いのまとめです。