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「サイゼで喜ぶ彼女」から見るインターネットミームの難しさ

大そうなタイトルにしたが、そんな難しいことは書けないことを先に言っておく。

⬛︎騒動の概要

Twitterに「サイゼで喜ぶ彼女」という一言とともにツイートされたイラストが話題を呼んだ。
(詳しくは各自で調べるように)

いろんな側面での議論を生んだが、
とりわけ話題の中心は「女性をバカにしているかどうか」だった。

この件、何も知らない人からしたら、
「サイゼリヤを美味しそうに食べる女性にケチをつけるフェミニストの人たち」と「ごく普通の価値観を持つ男性」という対立構造に見えたらしい。

つまり、
「ツイフェミがまた、“何でもないこと”に噛みついた!」と思う人がいたわけだ。
※ツイフェミ:総称としてのフェミニストではなく、Twitterで過激な発言をして標的の的になる一部の人たちをここではあえてそう呼ぶ

だが実際、このツイートに批判的な意見を向けた人たちはツイフェミに限らず、
・性別
・年齢
・恋人の有無
・デートの好み
を問わない多くの人たちが存在した。

では何故、「何でもないことに噛みついた」ように見えたかというと、
その原因の一つとして、そう見えた人たちは、
「本件に関わるインターネットミームを知らなかった
」ことが挙げられると思う。

⬛︎「サイゼで喜ぶ彼女」元ネタとサイゼ論争

実はこのサイゼ論争、今回のイラストをきっかけに突拍子もなく生まれたものではない。

元ネタは、2017年7月23日にTwitterに投稿された、
「サイゼリヤで微妙な反応をする女性はお金がかかるからやめた方がいい」といったような趣旨のツイートだ。

このツイート主は婚活界隈でアドバイスを書く活動をしていたため、
単なる“個人の価値観”ではなく、
婚活をする上での女性の見定め方という“客観的な判断材料”として広めたいという意図を見出され、
それはいかがなるものかとネット上の一部で話題になったのだ。

それ以降、サイゼリヤを使って異性を判断することに対しての議論が度々話題になった。
2018年11月26日には、
「男性がサイゼリヤで女性を判断するなら、女性はスッピン+地味な普段着で行って退屈そうにしててもいいってことだよね?」といった趣旨のツイートがされ、
こちらも話題になった。

それらの議論に対しての私の個人的な意見は控えるが、
つまり、「サイゼリヤで喜ぶかどうかで異性を判断する」という話題は、議論が生まれて炎上するのがわかっているネタということだ。

おそらく今回のイラストもこれらの流れを踏まえた上で乗っかった投稿だと思われる。

そのため、ツイフェミが突然噛みついたのではなく、
「あーはいはいまたその話ですか」という反応をされてもおかしくはなく、
もっと言えば、
「女性を選別するような言動だとわかった上で書いてるならそれって女性蔑視の意図を含みますよね」といった捉え方をした人が多数現れたわけだ。

もちろん、今回のイラストに賛同的だった人の中でこのインターネットミームを理解していた人もいるだろうし、
イラストに否定的だった人の中でこのインターネットミームを知らなかった人もたくさんいることだろう。

いろんな価値観があって当たり前だが、
「ただの“女性がサイゼリヤで楽しそうにしてるイラスト”に噛みつくなんて、あなたはお金以外で幸せを感じられる相手には出会ったことがないんですね」という意見はお門違いというわけだ。

⬛︎インターネットミームとは

私はこういったインターネットミームの流れに比較的敏感な方なのでたまたまこの件も知っていたが、
知らない人がいても何らおかしくはない。

インターネットミームとはそもそも、
文化の中で人から人へと広がっていくアイデア・行動・スタイル・習慣の、インターネット文化と環境に限定された部分(Wikipedia引用)のことだ。

体感として、2000年代初頭では、
「インターネット文化に精通している人ならおおよその人がわかる一時的なサブカルチャーのようなもの」という扱いだった。
しかし、スマートフォンの普及やSNSのユーザー増加により、各方面でジャンルが細分化され、「界隈」と呼ばれるコミュニティ形成ができたことにより、
「おおよその人がわかる」という部分が軽薄化してしまったのだと思われる。

つまり、その界隈の中ではごく当たり前のことだが、
インターネットユーザーという広い観点から見たら知名度がなく、
インターネットに精通していない人からしたら全くわからない、
というようなミームが増えたのだ。
一部の人にはわかる、の一部がよりソリッドになった。

そのため、
・サイゼ論争の流れを昔から追っていた人からすれば今回のイラストが炎上することは分かりきっていたことであり、
・このミームを知らずに今回初めてサイゼ論争を見かけた人からすれば何故そんなに炎上するかさっぱりわからない、
といった情報格差が生まれてしまったのだと考える。

⬛︎まとめ

だからと言って、一連の議論でどの意見が正しいかとか、
インターネットミームに対してどんな接し方をするのが正しいかとか、
具体的に私の意見があるわけではないが、
ネット上の話題や“賛否両論”に乗っかりたいのであれば、
相当インターネットミームに詳しくないと的外れな意見を独りよがりに飛ばすことになる
、という背景だけは共有したい。

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