ブロンプトンで行く秘湯ベスト20 ≪再訪したいとっておき秘湯セレクション≫
ブロンプトンでこれまで訪ねた珠玉の秘湯温泉の中から、湯の素晴らしさとアクセスの困難さと秘湯度の三要素を重視して選び抜いた『ブロンプトンで行く秘湯ベスト20』をお届けします。
究極の秘湯が居並ぶ中、見事第一位となったのは東北の山奥で出会った湯治場の真打ち「元湯夏油」、第二位は山岳秘湯の雄「鑓温泉」、第三位は自分で川原に掘るマイ秘湯 湯俣温泉です。究極の鄙び系のあの秘湯もトップ10入りです。
まずは一位から十位までご紹介します。
第一位 元湯夏油温泉大湯 (岩手県北上市)
【道】☆☆☆☆☆
北上駅から33キロ、標高差約600 m。昔は途中からトロッコ軌道を使って一日がかりだったそうだが、今はその軌道跡が林道となっている。入畑ダムを過ぎたあたりから斜度が上がる。途中短いトンネル(250 m)一箇所あり。
【湯】☆☆☆☆☆★
夏油川源流の渓谷に7つの源泉を持つ元湯夏油温泉。いずれも豊富な湯量であるが、自然に湧き出すに任せて温度調節など一切していないという。中でも最奥にある大湯は夏油に湧き出す湯の中で最古・最上の湯。季節によっては熱湯のように熱く入れないかもしれない。
【秘湯度】★★★
ザイオン国立公園のナローズを想起させる渓谷美。質素な湯治棟が立ち並ぶ。まさに究極の湯治場である。
第二位 白馬鑓温泉 (長野県白馬村)
【道】☆☆☆☆☆★
余りの険しさに登山口に自転車を置いていくしかない。8月中旬というのに途中3箇所で雪渓上をトラバースしていく必要がある。徒歩+自転車の到達困難度評価は文句なしに五つ星以上である。
【湯】☆☆☆☆☆
標高2100メートル、湧出量760㍑/分、その場で湧き出す湯はこの上なく新鮮。本格的山岳温泉として実力ナンバーワン。(・・・実力って何?)
【秘湯度】★★★
登山者だけが楽しめる驚愕の山岳秘湯。山道を歩いて5時間はハンパでない。
第三位 湯俣温泉「晴嵐荘」 (長野県大町)
【道】☆☆☆☆☆
湯俣温泉晴嵐荘は、高瀬ダム堰堤から約10キロ地点、標高差244m。車の通行が禁止なので徒歩かブロンプトンでしかいけない秘湯。10キロの道のりのうち、4.5キロ地点で林道が途切れて、そこから先は登山道。ブロンプトンなら途中の担ぎも含めて3時間以内で往復可能。
【湯】☆☆☆☆☆
晴嵐荘から歩いて十分ほど、大岩だらけの湯俣沢の川原から湯が湧き出ているのでマイ秘湯を作ってみよう。晴嵐荘の内湯も、源泉地に勝るとも劣らぬ素晴らしい湯。晴嵐荘は11月~5月は休業。
【秘湯度】★★★
ダム湖奥に佇む山小屋。冬期閉鎖。
第四位 赤湯温泉山口館 玉子湯 (新潟県南魚沼郡湯沢町三国)
【道】☆☆☆☆☆
苗場スキー場の山(筍山)の向こう側にある赤湯山をさらに越えた辺りに位置している。苗場のバス停からブロンプトンで林道を3キロ行くと一般車通行止めの車止め、そこからさらにブロンプトンで3キロ進むと漸く登山口に辿り着く。そこにブロンプトンは置いて標高差250mの鷹の巣峠を越えるのだ。峠越えの所要時間は約60分。
【湯】☆☆☆☆☆
玉子湯は足元湧出の湯だ。湯船のすぐそばを清津川が流れており、夏場は水遊びにも良い。泉質の異なる青湯もある。11月~5月は冬期閉鎖。
【秘湯度】★★★
林道往復12キロはブロンプトンで行く価値がある。登山秘湯としてオススメだ。
第五位 姥湯温泉「枡形屋」 (山形県米沢市関根)
【道】☆☆☆☆☆
峠駅から距離8キロ、標高差は611m。また途中には22%の上り坂もあるなど中盤以降は激坂の連続。ノーマル仕様のブロンプトンでは手を出さない方が良い。人を寄せ付けない急坂が連続する渓谷の果てに突如として現れる絶景はここまで来たことを決して後悔させない。
【湯】☆☆☆☆☆
大自然のインパクトと強烈な湯。有名な「山姥の湯」が良かった。源泉至近で火山性の濃くて新鮮な硫黄泉は感動だ。(日帰りの場合、内湯は使えない。)
【秘湯度】★★★
吾妻山の荒々しい自然が素晴らしい秘湯。冬期閉鎖。
第六位 横向温泉中の湯旅館 (福島県居苗代町)
【道】☆☆☆☆☆
標高500 mにある猪苗代駅から標高1,080 mにある横向温泉中の湯旅館まで、距離23.5キロ、標高差500 m以上。
【湯】☆☆☆☆☆
廃墟のようだが、明らかに名湯だ。奥の岩から直接湧き出している。崖湧出の湯である。湯治客が効能を求めて必ず入浴する古くからの「神の湯」らしい。スゴイ。
【秘湯度】★★
想像をはるかに超えた鄙び具合である。卒倒しないように。
第七位 奥鬼怒八丁の湯 (栃木県奥鬼怒)
【道】☆☆☆☆☆
一般車両通行止めの未舗装林道『奥鬼怒スーパー林道』を8キロ行った先にある。ブロンプトンでは女夫渕沢か或いは群馬側の大清水から走ることになるが、大清水からのアプローチは相当な悪路でサイコーだった。来年誰か一緒に行きませんか。
【湯】☆☆☆☆☆
八丁の湯は天然自噴で湯量豊富、加水無し加温無しの100%掛け流し。湯の質は仄かな硫黄香の柔らかなもの。露天は雪見の湯、滝見の湯、そして眺望のきく石楠花の湯の3つある。
【秘湯度】★★
夏、群馬・大清水からのアプローチがワイルドで良かったが、冬に行くと確実に遭難すると思われるので止めましょう。
第八位 中房温泉(長野県安曇野市穂高有明)
【道】☆☆☆☆☆
北アルプス燕岳(つばくろだけ)の登山口にある秘湯として知られ、標高1,462メートルの高地にある。冬季は林道が一般車両通行止めとなるので雪道を徒歩かスパイクタイヤを装着したブロンプトンで行くしかない。雪に閉ざされたモノクロームの世界を抜けると、そこには素晴らしい秘湯が待っていた。
【湯】☆☆☆☆
冬の立ち寄り湯では、別館にある大浴場と露天岩風呂の二箇所に入らせて頂ける。内湯の大浴場は真ん中にある樋に湯を貯めて温度を下げてから大量に掛け流ししている。露天岩風呂では真ん中にある石組みの塔の上から高温の源泉を流して冷却している。中房温泉は源泉が豊富だが、源泉温度がいずれも90度以上と高いので、冷却に工夫が要るのだ。中房温泉には利用していない源泉を含めて何と36の源泉があり、自家源泉数では日本一の温泉宿である。異なる源泉を利用した風呂がなんと十六箇所もある。
【秘湯度】★★★
雪におおわれた林道を3時間かけて到達した。到達困難度はかつてないレベルで、冬の中房温泉は秘湯度はマックスだ。
第九位 くろがね温泉 (福島県二本松市永田字長坂)
【道】☆☆☆☆☆
奥岳温泉バス停から約5キロ、標高差400 m。登山道として普通の登山道と馬車道と呼ばれる関係者の四駆が通れる道があるのだ。中間地点の勢至平あたりから比較的フラットになり快適に乗車できる。最後に馬車道が途切れる地点でくろがね小屋が一望できる。
【湯】☆☆☆☆☆
くろがね小屋は源泉地管理事務所でもある。山ろくにある岳温泉(だけおんせん)の源泉地なのだ。それ故、くろがね小屋で頂く白濁の硫黄泉はまことに新鮮、極上である。通年営業。
【秘湯度】★★
安達太良連峰鉄山の真下、標高1,700 m。 安達太良山登山の中継地点なので人通りが多いのが秘湯として難点(?)。
第十位 蓮華温泉 仙気ノ湯 (新潟県糸魚川市大所蓮華温泉)
【道】☆☆☆☆
大糸線の平岩駅からの標高差は1,300 m以上。途中、白池(しろいけ)を過ぎると右手に北アルプスの絶景が続く。登山シーズン(7/19~)は駅からロッジまで路線バスが出ているのでこれを利用しよう。帰途、駅までは21キロの豪快な下りだがブレーキ過熱に注意。北アルプス越えコースなら更に☆一つプラスでランクアップだ。(死なないようにご注意。)
【湯】☆☆☆☆☆
野天風呂がロッジからさらに上の登山道沿いに点在する。その中で「仙気ノ湯」はまさに「天空の湯」だ。蓮華温泉で最高所にある「薬師ノ湯」、木立の中にある「黄金ノ湯」、小さいが味のある「三国一ノ湯」、そして蓮華温泉ロッジ内にある湯量豊富な「惣湯」(内湯)のいずれも個性あふれる素晴らしい湯だった。
【秘湯度】★★
山岳で個性的な秘湯を巡ることができる素晴らしい環境。
11位から20位はこちら。
評価対象は2013年10月~2019年9月の6年間に訪れた全129湯。
評価の説明
道:
☆ライト ☆☆ミディアムライト ☆☆☆ミディアム ☆☆☆☆ハード ☆☆☆☆☆ウルトラハード
湯:
☆やや惜しい湯 ☆☆いい湯 ☆☆☆なかなかの湯 ☆☆☆☆結構な湯 ☆☆☆☆☆極上の湯
秘湯度:
☆秘湯っぽい ★秘湯 ★★かなり秘湯 ★★★究極の秘湯
訪問した際の主観的な評価です。湯の評価は当日の諸条件(天候・気温・混雑度・清掃のタイミング等)で大きく変わり得ますので上記評価の引用は固くお断りします。真実は必ず自身で現地へ赴いて確認されるようお願いします。また次回訪問で評価が変わることがあります。
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