芯がない男
わたしは約5年付き合った彼女がいた。
その頃は「彼女がいる」という大きなモノ(盾というか壁というか)が存在した。そのおかげで、異性が寄ってきたりすることはなかった。
しかし、お別れをした途端、急に大きなモノが消え去り、「彼女がいない」という状況に陥り、心にぽっかりと穴が空いてしまっていた。
当然(当然かどうかはわからないが)、ある程度知れ渡った時には、異性から連絡が来ることが何度かあった。
当時は、大きなモノが存在したので、丁重にお断りをしていたが、今は存在しないため、どんな約束も受け入れていた。つまり、来るもの拒まずという事である。
それが大きな過ちであり間違いであり経験であった。
正直、複数の異性と同時に喋るというのは、優越感というか特別感というかなにかそういったモノがあった。しかし、仲良くなるだけならいいのだが、恋愛関係に発展していくと「なぜ付き合わないの」「私たちの関係って何」という様に、いざこざが発展した。
なぜ、いざこざに発展したかというと、世間でいう思わせぶりをしていたため、複数の異性全員から付き合うと思われていた。
なぜなら、「ご飯食べに行こう」と言われたら「行こう」、「紅葉を見に行こう」と言われたら「行こう」、「映画を見にいきませんか」と言われたら「見よう」、「手、繋いでもいい?」と言われたら「いいよ」、「腕組んでもいいですか」と言われたら「いいよ」………と。何も考えずにただ、受け入れていたわたしがいた。
わたしには芯がなかったため、思わせぶりや期待などなにもしていないし感じていなかった。そのため、全員に思わせぶりとされる行動をし、曖昧な返答をし、先延ばしをし、最終的には全員が離れ、わたしは最低な人間という結果に陥ってしまったのである。
これは当然の報いである。刺されても仕方がない。恋愛になった途端、慎重になり敏感になり臆病になり、先延ばしをしていたわたしに今更ながら腹が立つ。あぁ、なんでこんなことをしてしまったのだろう。と。失った瞬間に後悔する。異性からしたらとんでもないクソ野郎である。
ものの数週間で多くのものを失った。
失ったものはなかなか戻ってこないので、失ったものを大切に心にしまって、心からの謝罪と後悔を持ち、わたし自身に芯をもって行動することを決意した。
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