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時にはシネフィルな夜「シン・オクトパス」

結局、昨晩はサメやワニにはいかず、タコにした。しかも中華製。

果たしてタコは中華で美味しく料理できるのかしら? 海鮮だから、やはり上海か、広東料理の範疇?

当然ながら軟体動物ゆえ、ギニョールやサイズ関係無しにしても物理的なスケールモデルでは扱いづらく、基本的にオールCGで、怪物タコを映像化するしかありません。

ちなみに、オープニングクレジットによる原題は、英字ではビッグ・オクトパス、漢字で大章魚になっているから、文字通り身も蓋も無く大タコ。道頓堀のタコ焼き屋の看板でもあるまいし…。

そう言いながらも、かつて半世紀ほど前に「テンタクルズ」という米伊合作のモンスター映画があってね…とつぶやきつつ、遠くを見つめるような顔をして語りたくなる昭和ジジイがここにも一人います。

はてさて本作では、船や人を襲う凶暴な巨大タコ出現の原因は、約60年前の戦争時の中国軍の統制下で科学者が世界に先駆けて兵士の肉体改造のために生物の遺伝子操作研究をしていたかららしいのですが、その頃の中国って、どこかの国と戦争してたっけ?

と、オレは考え込んでしまったわけです。

朝鮮戦争は時代が合わないし、海絡みだからどうやら西の方でもない。

そこでオレは少し下調べしてみて、な〜んだ、ベトナム戦争時の北ベトナム支援のことを言ってるのね…となったわけです。

あの頃のベトナムはアメリカとやり合う際に今のロシア、当時のソ連の大きなバックアップを受けており、中国としては、ベトナムが勝つにしても負けるにしても、このまま東南アジア方面であまり社会主義国ソ連の影響力が大きくなりすぎるのも面白くない。そこで、ここは昔からあまり仲のよくなかったベトナムにも多少の恩を売るようにとりあえず支援をしておこうとなった状況が確かにあったようです。

それにしても、大タコ撃退のため主人公たちが潜り込む廃棄された当時の研究施設に残された軍事物資の中にダイナマイト状の爆薬があるのはいいにしても、C4のような爆薬があるのはいかがなものでしょうか? ミリオタ的な時代考証がグダグダです。

兵士の肉体改造につながる遺伝子研究にセムテックス爆薬。ベトナム戦争末期の人民解放軍の研究開発力と装備は世界の最先端〜! ってか?

モンスター大タコから生まれたCGの子タコはゆるキャラ外見で人間とも交流できる高知能の癒やしキャラ設定だし、大陸映画にありがちな本編の付録でしかないはずのカンフー格闘シーンは意外にガッツリ作り込む(そこでワイヤーアクション使う?)し、見てて一切頭を使わなくてすむ期待を1ミリも裏切らないトンデモ映画。

コレよコレ。徹頭徹尾この突き抜けて間の抜けたバカ映画っぷり。オレは愛して止みません。

さて、次に登場する「シン〜」バカ映画は何だ?

https://www.albatros-film.com/archives/14018/


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