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時にはシネフィルな夜「アリゲーター」

昨夜も、少しノスタルジックな気分にも浸れる80年公開のワニ映画の古典。

巷間よく言われる下水に流された子どものワニが都市の地下で人知れず巨大に育って人を襲うという都市伝説の元ネタ? もしくはその伝説の流布には少なくとも一役買ったであろう、動物パニック映画の佳作。

謎の薬品開発で用済みになった実験動物を下水に不法投棄した結果、脳下垂体のホルモン異常で通常の倍以上の10メートルを超えた巨体という設定なのですが、実物ワニの実写や、眼や牙などのクローズアップと、ギミック付きのハリボテを使い分けることで全編を上手く撮ってはいるのですが、如何せん全身を映り込ませるシーンでのスケール感に乏しく、映像的には少し残念な迫力。

詰まるところ、モンスター映画と動物パニック映画にするか、そのどちらにも振り切れていない感じ。

それでも冒頭から主人公の刑事の薄らハゲコンプレックスをセリフで弄り倒すあたりの当て書きシナリオの攻めの姿勢。そして、それに臆することなくヒロインの爬虫類博士を熱心に口説いたりする主人公とか、主要キャストの人物像の演出が意外と細やかだったりするのには好感が持てます。

名前からすると、冒頭で父にワニを捨てられた少女が後に女性博士となってヒロイン役になっているらしいのですが、物語の中ではその伏線は回収されません。

それにしても「額の広い男性に弱いのはウチの家系なのかしら?」ってヒロインのセリフは誰のためのものなの?

全国の薄毛男性が希望を持てて泣くのか? オレは笑ったけどね…。

そして、アメリカに悪役商会があったらきっと大黒柱になっていたであろうヘンリー・シルヴァが相変わらずの成田三樹夫ばりの悪相でハンター役の大佐を演じていて、オレとしてはすごく嬉しかった。

主演も、後にアカデミー助演男優賞にノミネートされる役者なんだよね…。

あと、女子供も遠慮会釈なく襲って食べちゃうあたりも含めて、いろいろな意味で、いい時代感の映画でした。

https://eiga.com/movie/42221/


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