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旅の想い、西へ
篠突く雨の降る昼下がり。
リモートワークの気散じに、傍らの時刻表を手に取った。
15分だけの仮想旅行が始まる。
巻頭の日本地図のページを繰っていた手がふと止まる。
「長崎か」
高校生のとき初めての一人旅で訪れた地。
初めて飛行機に乗り、初めて夜行列車で訪れた長崎。
夏空、坂道、路面電車。
あれから30年以上が経過しても、その情景は鮮明に残っている。
時刻表のページをめくり、ペンを走らせ旅程を組む。
夜行列車はすでになく、時の経過を感じる。
旅の姿が紙面に浮かび上がる。
様々な思いが入り組み、綾なす2泊3日の仮想の旅程表。
かつて長崎をモチーフに鮮明に脳裏に描いた情景。
今の自分はどんな情景を描くのだろう。
「旅に出たいな」
漂泊の思いがこみ上げてくる。
缶詰状態からの逃避願望だけではないようだ。
仮想旅行の旅程表に息を吹き込んでしまった。
旅はもう始まっているのかもしれない。
旅程表をコルクボードにピンで留めた。