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僕の彼女は風俗嬢#6
こちらは以下の続きです。
僕の彼女は風俗嬢#5|K|note
色んな告白をしてもらって紗耶香ちゃんの口から好きだと聞けることが多くなっている。
いよいよ僕に気持ちをしっかり向けようとしてくれてるんだなって明確に実感できている。
日常の些細な報告?みたいなLINEも来るようになった。
はたから見たら完全に付き合いたてのカップルという様相だ。
僕は仕事帰りに上司とゴルフの練習に行き、疲労困憊で帰宅した。
季節は初夏。もう気温は30度を優に超えている。
ふとマッサージを受けたいと思った。
出勤表を確認すると紗耶香ちゃんは空いてそうだった。
いきなり呼んでみた。
普段は基本的に事前予約をする。その方が割引が入って安くなるから。
でもこの日はその数千円よりも会いたいが勝った。
予約したのは夜中の1時から90分。
配信やお風呂を済ませて爪を切っているとインターホンが鳴った。
前々日電話してその前の日も会っていることを考えるとなんだか引かれてそうな気もしたが本人は全くそんなこと思ってないと言う。
とはいえちょっと控えようって思った。
ちなみにこの週の土曜日はデートだ。
僕はマッサージだけで良いと頼んだ。
紗耶香ちゃんは前回も遊んで終わりだったし申し訳ないと言うが、僕からしたらHなことをされる方が恥ずかしい。
服も着たままで背中や足をほぐしてもらった。
好きな人にマッサージしてもらえているという事実でめちゃくちゃ幸福感は得られているが、紗耶香ちゃんはなんだかずっと申し訳なさそうにしている。
ひと通り終わって僕は紗耶香ちゃんを抱き寄せた。
口が切れるんじゃないかってくらいキスをした。
そうしていると彼女はおもむろに僕の下半身へ手を伸ばす。
気持ちよくなってほしいと。
正直これだけの仲になってからそうゆう行為に及ぶのはなんだか気が引ける。
もちろんこうなる前はいくらでもしてもらってたけど、なんだか普通の客として扱われてる感じが僕の小さなプライドを傷つける。
しかし欲には勝てないもので手でフィニッシュまで持ち込まれてしまった。
人生で最も悔しい射精だったように思う。
でも紗耶香ちゃんは少しだけ満足気だったようだ。
お別れした後LINEで素の自分と仕事の自分が混ざって変な感じになっちゃったと謝罪された。
まさにそんな感じだった。
次のデートではどんな顔して会えばいいのか。
悩みが一つ増えたようなモヤモヤした感覚で眠りについた。
仕事を乗り切りようやく週末を迎えた。
午前中に荷物の受け取りがあった為、早めの時間に起きた。
無事に受け取りを済まし、約束の時間を待つ。
この日まだ紗耶香ちゃんからの連絡はない。
汗をかきたくなかったからタクシーで駅まで向かうことにした。
最近の配車アプリは便利だ。
多少渋滞していたが順調に駅へと向かっている。
ただこの間際になっても紗耶香ちゃんとのLINEは沈黙。
ここに来て切られるとは考え難い。
たまらず起きてるかどうかの確認を入れる。
僕はまたしてもマッチングアプリの一件がフラッシュバックしたが、なんとか紗耶香ちゃんを信じ抜き、駅で待つことにした。
約束の電車が来る5分ほど前に紗耶香ちゃんからの連絡が来た。
どうにも間に合わないらしい。
普段だったらもっと早く連絡くれよって思うところだ。
でも来てくれるって安心感と好き補正で僕はむしろ喜んでいた。
ただここ最近夏バテ気味でその日も体調はあまり良くなかった。座れる場所は日光の下しかなかったので仕方なくそこに居たが、ちょっとまずかったみたいだ。
紗耶香ちゃんと合流し、目的地へ向かう。
お昼から会うのは初めてだったからすごく新鮮だった。
電車に揺られながら色んなことを話した。
もし紗耶香ちゃんの常連客に見られたらとか少し思った…。
僕が車くらい持っていればと少し悔やんだ。
でも一緒にゆったり目的地へ向かう感じはなんだか青春時代を思い出すきらきらとした時間のように感じられた。
僕たちは着いてまず今日の目的を果たしに行く。
配信者友達がとあるお店の一日店長をしていた。
そこに顔を出す約束だったので訪問する。
紗耶香ちゃんはその配信者のことをネットで何となく調べた程度には知っていた。
実際に会うとすごい可愛いと興奮気味に話していてその紗耶香ちゃんの方が僕からしたら可愛かった。
そこで写真を撮った。
その配信者と僕と紗耶香ちゃんで。
初めて一緒に写った最初の写真になった。
考えすぎかもしれないが、これで一緒に写真を撮ることに対しての抵抗とかが無くなればいいなって思った。
その後ぶらぶらと街を散策して気づけばもう夜。
僕は弱った体で日光に当たり過ぎたみたいだ。
食欲が一切湧かず、何も食べられないくらいにダウンしていた。
必死に隠そうとはしたが、見かけるお店はどこも焼肉や串カツなどヘビーなご飯ばかり。
それでさらに弱っていく自分に恐らく紗耶香ちゃんも気づいていた。
ようやく店を決めるも、僕は野菜スティックとチョリソーだけで済ました。
なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
そんな状態でも紗耶香ちゃんは優しかったし、終始気を遣ってくれていた。
食事を終え、家路につく。
時間はまだ21時台だった。
僕は見るからに弱っていたと思うけど虚勢を張り続けた。
帰りの電車では行きと比べて明らかに口数は減っていた。
でも手を強く握りしめていた。
その時もしかしたら僕は少し熱が出ていたかもしれない。
何だか異様に熱い手を紗耶香ちゃんは握り返してくれていた。
僕は初デートの日、手を引けなかったことを思い出していた。
今回は絶対に引き寄せるんだって気持ちでいた。
すると紗耶香ちゃんがこそっとまだ少しお話したいから最寄りで一緒に降りてもいいか耳打ちしてくれた。
嬉しかったのと同時に少しだけ怖さがあった。
この帰りの電車は僕と紗耶香ちゃんがこれまでで一番会話を交わさなかった時間だった。
そしてデート自体もノープラン気味で行き当たりばったりなところが多かった。炎天下の中すごい歩いてしまったし、僕はヘロヘロだった。
正直つまらなかったかもしれないと反省していたのも有り、嬉しいだけの感情で収められなかった。
僕たちは二人で電車を降りた。
最寄り駅のベンチに腰掛け、紗耶香ちゃんが色々と心境を語ってくれた。
もうかなり好きになってしまっていると。
今すぐにでも付き合いたいと。
でもお店でちょうど他のキャストが男性の直引きによる問題を起こしたばかりだとか。
こちらは直引きとはまたワケが違うが、こっちはこっちで問題だ。
だからもちろん大っぴらには出来ないわけだが…。
紗耶香ちゃんはこの夏をもって仕事を辞める決意をしたと言ってくれた。
次の仕事が決まるまでのランニング期間は多少続けるかもしれないとのことだが…。
僕はすごい嬉しかった。
そこまで決心してくれているなら付き合うのは仕事を辞めてからでも構わないって思った。
実際に今のままの環境じゃ生活リズム的に出来ることも変わらないし。
辞めて気後れが無い状態で一緒になる方がきっと精神的にもお互い楽だろうと思ったからそれまで待つことにした。
すると紗耶香ちゃんがもしどうしても我慢できなくなったら仕事している状態でも告白していいかなって聞いてきた。
可愛すぎた…。
もうこちらから言ってしまおうかとも思ったが、他の人になびいたりしないから安心してほしいってことを伝えた。
これでほぼ結ばれることが確定したと言ってもいいのかな。
タイトルとは少し変わってしまいそうだ…。
僕の彼女は元風俗嬢に。