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「崖の上のポニョ」の感想。無垢への恐怖と羨望。

生まれてきてよかった。

((これが映画「崖の上のポニョ」のキャッチコピーと知ったときの多幸感といったら…!))


こんにちは、みがると申します🪼🫧


今日は映画の感想をば。


※一部ネタバレを含むので注意です。というかある程度作品を知っている前提で話しています。

(一応知らない人のために)
宗介…主人公。5才。
リサ…宗介のお母さん。運転が荒い。
ポニョ…さかなのこ。宗介が好き。
ポニョ父…人間。娘が心配。



実家でポニョのDVDを発掘したので、夏休みで暇だったこともあり久しぶりに観てみました。まだ自我がないくらい幼かった頃から大好きな作品で、今でも台詞が耳に馴染んでいたくらいです。

その頃はストーリーというよりも絵本の中みたいに可愛い建物やキラキラしていて広大な海の世界の描写、嵐の日の家の明かりや人の声の温かさ、海に沈んだ街を冒険するワクワク感など作品から醸し出される印象に惹かれていたような気がするのですが、18歳というそこそこに成長した今になって見返してみるとストーリーの支離滅裂さやポニョの父親の愛情、母親リサの懐の深さなどあの頃は気づかなかったことばかりで自分の成長に感動しました。

子ども大人も楽しめるジブリの素晴らしさを改めて実感したのと同時に、宗介のような子供ならではのまっすぐさはもう取り戻せないのだと気付いて悲しくなりました。彼らのように利害関係やお互いの立場の名前無しに誰かを好きになりたかった。今や私は沢山の肩書を持ち、また他人のそれを知らないと安心できないようになってしまった。友達や恋人などと、関係性に名前を付けずにはいられなくなってしまった。大した理由も無しに巡り合ってすぐに好きだなんて言えてしまう彼らが羨ましい。彼らには未来しかない故に未来を考える必要もないんですね(泣)。

もう本当に宗介が純真すぎて。初めの方の場面、宗介が幼稚園の友達に話しかけられるシーンがあるんですけど、その友達が女の子だったのは何か意図を感じました。こういうと良くないのかもしれないですけど、いつか刺されそうなんですよね、宗介。優しすぎて無自覚に人をたらしこんでそうというか、幼いのでその危うさに気付いてないんです。もし私の目の前に宗介がいたら恐ろしすぎて諭したくなるけど、彼のそんな純真さが好きなので結局ただソフトクリームをあげることしかできないでしょう。くそう、これがモテなのか。彼はまだ人を疑うということを知らない。無垢って本当に怖くて尊いです。

ポニョが宗介に向ける好きという感情すらもよく分かっていなくて、取り敢えずポニョが嬉しそうだから僕がいるねみたいな。ひ~。罪な男です。

そういえば昔はこれが恋の話であるということを認識していませんでした。果たしてこれは恋のお話なんですかね。親目線で見ちゃうと恋なんですけど、誰か考察ください。

彼らの今後を真剣に考えると明るい未来が考えられなくて蕁麻疹が出そうです。幼稚園生の恋路についてそんなに真剣に考える人はいないだろうということは置いておいて、だってポニョはもう契約をしてしまったんです。二人はたぶん子供のままだったら上手くいくけれど、社会は確実にそれを許してはくれない。彼らはこの先もっと多くの試練を乗り越えなくてはならないのに、失敗したことがないから何も恐れていない。宗介はこのままいくと将来確実に色んな女の子に好かれるし、ポニョに対するフォローとか絶対にできない。そしてポニョは確実に面倒くさい女。でも、ずっと一緒にいなければならないことだけは確定している。じゃないとポニョは泡になってしまうから。

最後あんなに明るい感じで終わっておいて実は映画の後はすぐにバッドエンドとかお姉さん許しませんよ。


ポニョもポニョです。やっぱりあの底知れずわがままで宗介を躊躇なく振り回しまくる感じ好き。だって大好きなんだもの。仕方ないよね。町をぶっ壊してでも会いたくなるほどの愛です。一目惚れだったんですかねえ。初めて見た外の世界。人間の男の子。彼女もまた、何も知らない。愛し方も、服の着方も何もかも。

原作ともいえるアンデルセンの人魚姫を履修済みだったので、幼かった当時は理解できなかった契約云々の大人たちの会話の支離滅裂さも遊び心だったのではと感じることができてまた味わい深かったです。


幼稚園生や小学校低学年の恋愛がこの世で一番のホラーだと思っています。なんか、彼らに得体の知れない恐怖を感じるのは私だけですかね。そしてそれに目を背けずに美しく具現化したのがポニョという作品じゃないでしょうか。

しかし、どんなに幼くても恋愛というものの不偏性はちゃんと捉えているように感じました。私の経験則からして、恋愛において男の子は深く考えてなさそうだけど優しいし、女の子はわがままだけど愛情深いっていうテンプレートのようなものがあるような気がしていて、二人もそれに則っていました。

いやむしろ、小さい頃に観ていた崖の上のポニョという作品がそんな私の恋愛観を作り上げたのでしょうか。真相は分かりません。


(男性女性という時代でもないのかもしれませんが、あくまで個人的な印象です。自分の恋愛において無意識的に相手を経験則に当てはめようとしてしまうことには自覚的になりたいと思ったり。過去から学ぶ姿勢は大切ですが、恋人のことを個人的な経験からくる恋人の概念に当てはめることは本人と向き合えない理由になりうるといえばそうかもしれなくてってなんか大きく脱線してしまいました。また気が向いたらこの話もしたいです。)



家族愛も感じましたし、箱庭感というか理想を詰め込んだ感じが小旅行みたいで全編を通して温かい気持ちになりました。老人ホームのおばあちゃん達との交流も作品の立体感を作っていて、それもこれも生まれてきてよかったというキャッチフレーズに結びつくような気もしました。時間の経過で作品に対する見方が変わったことも含めて人生を感じます。

最初の海のシーンの音楽を含めた演出が美しすぎたし、ポニョのお父さんの野望が叶った世界線も見てみたかったし、とにかく示唆に富んだ大好きな映画なので気が向いたら是非観てみてください。


今後は直近に観たものの感想を書いていこうかなと思いますので映画のみならず曲とかでもいいのでおすすめの作品があったら遠慮なくコメントしていただけると嬉しいです。


何でもいいから感想を語り合うお友達が欲しいのです…!
色んな人の価値観に触れたいというか。


ここまで読んでいただきありがとうございました!

ではまた。

#6ポニョの語感よさ。ぽにょ。

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