見出し画像

『安心のタネの育て方』感想

SEについて調べているとよく名前を見かける浅井咲子さんの著書。
しばらく前から気になっていたが、先日BOOK-OFFでパラパラ見て(その本は汚れていたので買わなかった)買う決心がついた。


浅井さんの訳書である『子どものトラウマ・セラピー』は以前読んだし、花丘ちぐささんと同じSEプレゼンター(日本に6人しかいない)なのも知っていたので
ポリヴェーガル理論やSE、トラウマ治療に精通した方だという印象だ。

本の内容は一般向け

参考文献はトラウマ関係ばかりだが、この本にはトラウマの話は出てこない。イラストも文章も優しくてゆるーく読みやすい本。自律神経の土台を作る・育てるためのワークがたくさん載っていて、ありがたい。
ポリヴェーガル理論の説明はかなりあっさりだった。優しい口調の文章と相まって、もしこの本だけ読んでいたら、ワークを試すのに抵抗があったかもしれない。ガツガツ本を読んだ過去の自分に感謝。

トラウマの話は出てこないけれど、現代人は神経系に負担をかけすぎているというベースで話が進んでいく。

チェックリストと改善までの期間

もちろん個人差はあるけれど、目安としてチェックリストと神経の土台が育つまでにどれくらいの期間かかるのかが書いてある。
チェックリスト15項目のうち、0~4なら2ヶ月、5~9なら4ヶ月、10~15なら半年らしい。
ちなみに私は9個当てはまった。今は病院とカウンセリング以外本当に予定がなく休める時間が多いけれど、この身体のまま働いたりしていたら10以上だと思う。
だとすると、4ヶ月から半年くらいで神経系の土台ができるらしい。現実的な数字だ。長すぎるとも思わない。「トラウマ治療は年単位」とよく言われるのを考えると、半年って短いんじゃないかとさえ思う。前向きな気持ちが湧いてくる。

自律神経系の4つの状態

腹側迷走神経と背側迷走神経をそれぞれ腹→フロントスイッチ、背→バックスイッチと呼び、わかりやすくなっている。この他に背側迷走神経系が防衛として使われる凍りつきの状態、交感神経系が優位な闘う・逃げるの状態の計4つの状態があるそうだ。

ポリヴェーガル理論では、交感神経、腹側迷走神経、背側迷走神経の3つの状態が説明されていて、それらの関係性や状態を表すための様々な図があるが、この本では4つの状態がピラミッド型で説明されていたのが興味深い。3つの状態のうち、背側迷走神経をさらに2つの状態に分けている。休息・消化(バックスイッチ)と凍りつきだ。この2つは確かに全く違うもので『ポリヴェーガル理論入門』でも「背側迷走神経が防衛に使われる場合は━」という表現が出てきたのを思い出した。浅井さん独自の新しい解釈と図なのかもしれないが、わかりやすいし体感と合うように思う。

神経系を育てる順番

神経系を育てるには、人とのつながり・共同調整のフロントスイッチを練習する前に、ひとりでのんびりリラックスするバックスイッチを育てるという順番があるらしい。

バックスイッチは背側迷走神経なので、交感神経よりも進化的に古く、食べ物を消化吸収するのは生物の体の機能の基礎とも言える。一方、フロントスイッチは哺乳類に固有のもので、進化的には比較的新しい上にヒトの子供はフロントスイッチが未熟なまま生まれる。これは私の解釈だが、どの生物も持っているバックスイッチをまず練習し、フロントスイッチは育てていくものなのかもしれない。

セルフケアとして取り入れる

ワークの内容は簡単なものばかりで、「今日はどれにしようかなー」という気分で本をパラパラして、気が向いたものをやってみる形で取り入れた。夜寝る前にバックスイッチを、朝は活動前にフロントスイッチをとりあえず色々試してみる予定。

最近悪夢で眠りが浅く、朝起きると身体はガチガチでだるいし、胃腸も弱くて便秘・下痢もあるので休息・消化が全然うまくいってないんだろうなー。この本のワークで改善を期待する。たまにでもいいので、夜ぐっすり眠れるようになりたい。

トラウマ関係の読書はガツガツしすぎて負担になるのでお休みしていたが、無理のない範囲で、気が向いたら、くらいの気持ちでゆる~く続けたい。今ならバランスを取りながら、無理せずにできるんじゃないかと思う。