将来を見据えた大学の選び方
教員時代、高校3年生を何度か担任し、そのときの経験から大学の選び方を書いてみたいと思います。
ちょっと古い情報になりますし、私自身が見て感じてきたものを頼りに書いているので、一部不正確なものが含まれているかもしれません。
でも、考え方はそう変わっていないと思うので、参考にしていただければ幸いです。
大学を選ぶとき、通常は仕事を思い浮かべながら選ぶと思います。
これは、正しくもあり、一部間違っています。
大学はそもそも、学問を修める場所であり、職業訓練の場所ではありません。
ですので、職業だけを見て大学を選ぶと、正しい選択にならない可能性があります。
まずやるべきことは、大学を卒業しなければ就けない仕事をする予定があるかどうかを明らかにすることです。
医師、薬剤師、教員などは専門の大学に行かなければなれません。
また、理学療法士、看護師、美容師などは、必ずしも大学でなく、専門学校でもとることができるところもあります。
保育士は独学でも取れますが、大学や短大に入った方が、取得の難易度を下げられます。
これは、そういう職業につく可能性があるとか、教育や医療に興味がある程度でも構いません。
次に、上記のような職業に就く予定がまったくない場合には、理系か文系を決めます。
理由としては以下です。
文系の場合、基本的には興味のある勉強ができるところに行けばよいと思います。
理系の場合、職業によっては有利不利があります。
文系については、たとえば文学部を出たとしても小説家になるわけではありませんし、経営学部を出ても全員が起業するわけではありません。
これは理系にも言えることではありますが、理系の方がより業界と修める学問の間に相関関係があると思います。
たとえば、製薬系の、特に研究・開発職に就きたければ、薬学部がもちろん一番よいのですが、そうでなければ生物系または(生物よりの)化学系を出ていた方がよいです。
機械系の研究・開発職なら工学部(特に機械工学系)を出ておいた方がよいです。
これはなぜかというと、大きく「理系」とひとくくりにしても、それぞれの分野で実験技術や必要となる知識がまったく違うからです。
たとえば生物系だと、マイクロリットル(ミリリットルの1/1000)単位の極小のサンプルを扱うのに対し、材料工学系だとトン(1000㎏)単位の量を扱うことになります。
研究・開発職に就きたい場合、理系だと大学院を出ることは割と普通ですが、特に大学院において、それぞれの分野の実験技術を学んだりします。
上記のように、就きたい仕事で選ぶなと冒頭で書いたくせに、結局は結構就職を意識すべしという内容になってしまいました。
これは、いくら大学が学問を修める場所であるときれいごとを並べたとしても、就職につながらなければ厳しいという現実があるからです。
しかし最後に、まったく就きたい仕事のイメージがわかないという場合の大学の選び方についても触れておきます。
ちなみに、就きたい仕事も学びたいこともないという場合については、「大学行かなくていいんじゃない?」となります。
とりあえず高卒で働いてみて、何か見つかったら大学に入るという方法はあると思います。
大学を純粋に勉強したい学問で選ぶ際、教授の研究テーマを見てみるとよいです。
大学を高校の延長ととらえている方も多いかもしれませんが、大学は教育機関としての顔よりも、研究機関としての顔の方が濃いです。
大学の先生は教員免許をもっておらず、厳密な意味では教えるプロではありません。
教えるプロではなく、本職はやはり研究です。
ですので、どんなことが学べるかということをより深く知りたい場合には、そこに所属する教授の、研究テーマや研究論文を読んでみることをおすすめします。
特に理系は、これは将来自分が所属する研究室にも直結する問題です。
ここでしっかりとどんな教授がどんな研究をしているかを調べておくと、具体的に大学生活がイメージしやすいのではないでしょうか。
もし、研究テーマや研究論文を読んでもわけわからんという場合には、ぜひ高校の先生に聞いてみましょう。
きっと喜んで説明してくれると思いますよ。