『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ 忍者隊 最強の軍師』
『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ 忍者隊 最強の軍師』(90分)観てきた。素晴しかった。
作品の基本的な姿勢はあくまで普段の『忍たま』と同じ、子供のための作品であることを崩していない。だから主役3人組やその同学年たちの行動原理は、一貫して年齢相応の「子供の目線」にある(その中できり丸には、そこからはみ出るような瞬間があり、その意味で本作の中心にいる)。
一方で、その「子供の目線」と並行して、年長者たちによる「大人の目線」による思考や行動が描かれる。「大人の目線」が観ている作品世界は、戦や、それによる「死」が常に可能性のなかに含まれているような世界だ。そしてこの映画の中では、そういう「死」の手触りが随所で垣間見える。
子供の観客は、この映画の「子供の目線」に沿いながら、いつもの夕方のTVアニメと同じように楽しみながら追うことができる。同時に彼ら彼女らは、ここに描かれた「大人の目線」による出来事のことを、後で思い返すのではないか。
この『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ 忍者隊 最強の軍師』を豊かな作品にしているのは、「子供の目線」と「大人の目線」がひとつのストーリーを見ている、その二重性である。実際の生活のなかで大人と子供が、ひとつの現実を、それぞれの目線で生きているように。
子供は子供だが、彼らなりの把握のなかで真剣な人生を生きている。きり丸は、その狭間を体験したのだ。