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1on1ミーティングについて、長年企業内で実際に実施して来た経験や、1on1ミーティングについて講師としていただいたご質問をまとめ、管理職の方々が抱えるお悩みを「1on1ミーティング5つの壁」をまとめてみました。

1. 時間の確保が難しい

忙しい管理職の現状
1on1ミーティングを成功させるためには、まず「時間の確保」が必要です。
しかし、管理職は常に多くの業務を抱えており、会議やトラブル対応に追われることがよくあります。
そのため、1on1の時間を確保するのは一見難しく感じられるかもしれません。

長期的な視点での時間投資
私が経験してきた中で明らかになったのは、1on1は短期的な業務ではなく、長期的な投資だということです。
部下との対話を通じて、彼らの課題や成長の方向性を明確にすることで、結果的に業務効率が向上し、上司の負担が軽減されることも多いのです。
この「成長支援のための時間」を取ることで、後々の時間が節約されるという考え方を持つことが重要です。

実践的な時間管理
例えば、私が実践してきた方法の一つは、1on1の時間をあらかじめスケジュールに組み込むことです。
毎週の決まった時間に設定し、その時間は他の業務よりも優先するようにします。
また、コミュニケーションは時間の長さよりも頻度が大切なので、一回20分程度として行えば、週1時間の時間がとれる方は、3人の1on1ができる事になります。
また、部下の方が今日は話すことがないという場合は「次回までに考えてきてね。」で終わってしまってOKと言う事です。
短時間であっても、やることが大切で、時間管理の工夫によって、忙しい中でも効果的な1on1が実現できます。


2. 信頼関係がなく、部下が心を開かない

信頼関係の構築が不可欠
部下が1on1で心を開くためには、信頼関係が前提です。
信頼がない状態で進める1on1は、形式的なものに終わり、部下が本音を話さないまま時間だけが過ぎてしまうことがよくあります。
私の経験では、信頼関係が築かれているかどうかが1on1の成果に直結します。

日常的なコミュニケーションの重要性
信頼関係を築くためには、1on1だけではなく、日常的なコミュニケーションが重要です。
例えば、私はよくランチミーティングを活用していました。
1on1のように形式ばったミーティングではなく、ランチなどのカジュアルな場でフランクに横の関係で話をすることで、部下との距離を縮めやすくなります。
こうした軽い対話を通じて、部下が「この上司には何でも話せる」と感じるようになり、正式な1on1でも本音が引き出しやすくなります。

フィードバックの役割
信頼関係を築くためのもう一つのポイントは、フィードバックです。
私は、最初に部下の良いところを具体的に褒め、その後、改善点については事実を淡々と伝えることを意識しています。
一定の信頼関係ができてきた段階で、耳に痛い事も「率直に、さらっと」触れるようにしています。
1on1では、あくまで成長を促すための機会であり、部下との関係性が崩れるのが心配で、フィードバックを避けるのは得策ではなく、ここは勇気をもって話すことも大切です。


3. 1on1ミーティングの目的が進捗管理や評価と混同されている

1on1の本来の目的
1on1の目的は、部下の「成長支援」と「相互の信頼関係の強化」です。
しかし、進捗管理や評価面談と混同されてしまうことが多く、単なる業務の進捗管理・報告会になってしまうケースがあります。
これでは本来の目的を果たすことはできません。1on1は進捗管理や評価面談・目標管理面談とは、似て非なるものです。

進捗管理と1on1の違い
私が企業で実践してきたのは、進捗確認や評価は別途行い、1on1はあくまで部下の成長を支援する場として使うという明確な区別です。
1on1では、部下が自分自身の課題や目標にどう向き合っているか、どのように成長したいのかを深く掘り下げて話します。
これにより、部下が主体的に仕事に取り組み、自立するようになることを目指しています。

自立型人材の育成
1on1の究極の目標は、部下が自立し、主体的に行動できるようになることです。
これを実現するためには、上司が一方的に指示を出すのではなく、部下自身が考え、解決策を見つけられるようサポートすることが大切です。
ミーティングの中で、部下が「次に何をすれば良いか」を自分で考え、それに対して上司が適切なアドバイスを与えるというスタイルが効果的です。



4. コミュニケーションスキルの不足(フィードバック含む)

部下の本音を引き出すためのコミュニケーション
1on1では、上司が一方的に話すのではなく、双方向のコミュニケーションが不可欠です。だいたい7対3で部下の方が多く話すように持って行くのがコツです。
部下が自分の考えを自由に話せるような環境を作るためには、上司が適切な質問を投げかけ、部下が話しやすい雰囲気を作ることが重要です。

効果的なフィードバックのコツ
フィードバックは、部下の成長を促すための重要な要素です。
特に、耳の痛いフィードバックをする際には、冷静で客観的に事実を伝えることがポイントです。
ただし信頼関係ができるまでは、厳しいフィードバックは避けるべきと私は考えています。
例:「あなたの積極的な取り組みはとても素晴らしい。ただ、今後もっと成果を上げるためには、〇〇の部分を改善する必要があると感じる。ここを改善すれば、さらに成長できると思うよ。」


冷静なフィードバックが促す成長
フィードバックは、部下の成長を支えるためのものです。相手にとって耳が痛い話でも、感情に流されず、愛情を持って具体的かつ建設的に伝えることが大切です。
部下が改善点をしっかり理解し、次の行動に移すためには、曖昧にせず、率直に伝えることが最も効果的です。



5. 成果が見えにくい

成果は長期的に現れるもの
1on1の成果は、すぐに見えるものではありません。
私の経験では、1on1を継続する中で徐々に部下が自立し、成長していく姿を見守ることが重要です。
短期間で成果を求めるのではなく、10回単位、半年単位で、長期的な視点で部下の成長を支えるプロセスとして捉える必要があります。

小さな成果を見逃さない
部下が少しずつ自分から意見を出すようになったり、問題解決に積極的に取り組む姿勢を見せ始めることが、1on1の成果の一つです。
私が実践してきたのは、こうした小さな成果を見逃さずに認識し、部下にフィードバックすることです。部下が「成長している」と実感できるようなフィードバックを与えることで、さらなるモチベーションが生まれます。

自立型人材の育成に向けたプロセス
1on1の最終的な目標は、部下が自立し、主体的に仕事に取り組むことです。
これを達成するには、部下が少しずつ自分の課題を見つけ、自ら解決策を考え、実行に移せるようにサポートすることが大切です。
私が企業で行ってきた1on1では、部下が自立への第一歩を踏み出す小さな変化を積極的に認め、その過程をサポートすることに焦点を当てました。

成果が見えないときの対応
成果がすぐに見えなくても、焦らずに1on1を続けることが肝心です。
短期的な結果にとらわれず、最初は「お互いが知っていてくれる関係性構築」に重点を置いて、気長に続ける事が重要で、長期的に部下の成長を見守りましょう。

部下とともに定期的に目標を振り返り、進捗を確認することで、部下も自分の成長に気づくことができ、さらなる成長意欲が生まれます。
また、1on1の中で、上司が部下に「これまでの成長をどのように感じているか」「どの部分が改善されたと思うか」と質問することで、部下自身が成長を振り返り、自己認識を深められます。

自立型人材の育成へのアプローチ
1on1の究極的な目的は、部下が自主的に課題を見つけ、それを解決するための行動を起こせるよう部下の成長支援を行う事です。
部下がどのような事に困っているのか、仕事を進めるための足かせとなっている事は何か?を上司として理解する事です。
そして、自分の考えで動けるようになるためには、上司は指示を出すのではなく、部下が自分で考えられるような問いかけを行い、サポートする姿勢が大切です。
部下が少しずつ自分の成長を実感し、最終的に自ら進んで仕事に取り組めるようになるプロセスをしっかり支えることが、1on1の成功のカギです。



ここまでお読みいただきありがとうございました。


1on1にて、あなたの部下への愛情が伝わり、深い関係性の構築の上に立って、部下の方が大きく成長されることを楽しみにしています。


なお、さらに個別に1on1ミーティングを学びたい方の為に、オンラインにて個別指導もさせていただいております。


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                リーダー実践力育成「大垣塾」塾長

                        大垣  雅則  拝


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