スマブラステージ【AD.1222.憎悪のフェンリル】
フェンリルは北欧神話に登場する狼の怪物です。口を開くと上顎が天に届くほどの巨体を持ち、極めて凶暴で口から炎を吐く恐ろしい存在とされます。
北欧神話は、ヨーロッパ北西部のスカンディナヴィア半島やアイスランドでキリスト教が広まる前に信仰されていたものです。キリスト教化は8~13世紀頃に進行したものの、北欧土着の伝承の口伝や神話の場面を描いた石碑の製作は継続して行われていました。西暦1222年ごろにアイスランドの詩人スノッリ・ストゥルルソンによって北欧の伝承を文章でまとめた本「エッダ」が書き起こされ、「エッダ」によって現代の我々は北欧神話の世界を知ることができます。
エッダによると、世界の中心アースガルズに住むアース神族は東方のヨトゥンヘイムに住む霜の巨人族(ヨトゥン)と敵対しており、巨人族のロキとアングルボザの間に生まれたのがフェンリルです。
フェンリルは生まれたてのころは普通の狼に見えたものの、どんどん体が大きくなり性格も乱暴になっていきました。フェンリルは将来アース神族に災いをもたらすと予言され、アース神族はフェンリルを捕縛しようとしたものの、フェンリルは怪力で鎖を引きちぎってしまうために一向に捕まえることができませんでした。
アース神族は細いながらも極めて頑丈な魔法の紐グレイプニルを用意してフェンリルに提案をしました。「この細い紐を引きちぎることができないなら、アース神族はフェンリルを大した脅威とみなさずこれ以上攻撃しないので、一度縛られてみないか」と。フェンリルは不審に思い「誰かが自分の口の中に腕を入れるならやってもいい」と人質を要求しました。フェンリルはこうすればアース神族は動揺するだろうと思っていましたが、戦いの神テュールがすかさず腕を差し出したので、フェンリルはグレイプニルで縛られることになりました。
結果、フェンリルはどうやってもグレイプニルを引きちぎることができず、ついにフェンリルを捕らえたアース神族は約束を反故にしてフェンリルを封印しようとしました。怒ったフェンリルはテュールの腕を食いちぎったものの、剣をつっかえ棒として口の中に押し込まれて口を閉じられなくなり、岩の下敷きにされて封印されることになりました。口を閉じることができなくなったフェンリルの大量のよだれによってヴァン河という河ができたと言われています。
かくして封印されたフェンリルでしたが、神々の最終戦争ラグナロクの際に復活し、アース神族の最高神オーディンを丸飲みにして殺害するも、オーディンの息子のヴィーザルに顎を裂かれて絶命するとされています。
このスマブラステージは封印されたフェンリルを描いたものです。
剣を破壊するとフェンリルの顎が激しく開閉するようになり、上に積もっていた岩を吹き飛ばします。フェンリルに噛まれるともちろん大ダメージを受けるので注意が必要です。