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伊豆に行ってきた
伊豆半島は美しかった。
初めての伊豆旅行というわけでもないのだが、前回行ったときに比べ多くの観光地を訪れたことで、美しく素晴らしい景観に魅了された。
前回は西伊豆の黄金崎で一泊し、堤防からの釣りを楽しんだが、このときは社内旅行で、会社のご褒美として伊豆を訪れたわけで、自由もなく時間制限もある中で十分に楽しむことが出来なかったが、今回は純粋な家族旅行。気の向くまま、行きたい所に行くことが出来たのだ。
しかし、二泊三日、内一日は車内泊という強行スケジュールは少々堪えたかもしれない。
一日目の午後、荷物をまとめ次々と車に放り込み我が家を出発した。
我が家にはウサギがいて、愛ウサギも二泊の旅行である。といっても現地に連れていくことは出来ず、専用ホテルでの宿泊となった。
予約してあったウサギ専門の海老名にある「しっぽホテル」にチェックイン。
愛ウサギ君は他のウサギを見て興奮している様子。私たちがホテルを出るときも私達に見向きもせず、他のウサギを見ている。よほど嬉しいのであろう。
私達もいよいよ出発だ。10月になり急に日が短くなり暗くなった県央道、東名高速へと車を走らせた。外は暗いのだが、仕事からの解放感からか車内は明るく、軽快に車が走る。
古い車故、いつもはノソノソ走っていくのだが、車も喜んでいるのか今日ばかりは見違えるような走りを見せる。
今晩は時間の都合で車内泊。
足柄サービスエリアに泊まることにした。
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車内泊というのは何となくウキウキした気分になる。ホテル泊とは違う冒険心のようなものが芽生え、早速エリア内探索となった。
私達一行は(既に探検隊のつもり)車を降り建物の中に入った。建物内は猛獣で溢れていた。食事中なのか、テーブルについて食料を漁っているように見える。食料はどれも美味しそう。
私達も猛獣に加わることにした。
施設内のレストランやフードコートを一周し、空腹を満たすために天丼をフードコートの店で食べることにした。ボリューム満点で味も申し分ない。
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お腹一杯になったところでスタバに入り、腰を落ちつかせた。
コーヒーを飲みながら時間が緩やかに過ぎていく。
誰に急かされる訳でもないので閉店のアナウンスがあるまで、コーヒーを飲みながら外を行き交う車と人をぼんやりと眺めていた。車や雰囲気や会話の中に、歩んできた人生が滲みだしているような気がして興味深い。そして静かに自分を振り返る。
スタバが閉店時間になったので私達は車に戻り車内泊の準備を始めた。
予め用意しておいたカーテンを窓に貼り車内を整えた。私と妻はワンボックスカーの運転席と助手席を倒しフラットにし、娘は三列目を倒しトランクとつなげ即席のベットルームにした。そして耳栓をつければ準備万端。何故耳栓かといえば私のいびき対策とのこと。
翌朝になり車外に出ると車の周りには同じように車内泊と思われる車で駐車場が溢れていた。私達は洗面を済ませ朝食を摂りいよいよ出発。朝食は軽くお茶漬けにした。
名産のシラスが入っていて胃に優しい。
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朝食後、目的地に向けて車を走らせた。
東名焼津インターを降り目的地に向かった。もしかして降りるインターを間違えたかもしれない。というのも実をいうと、旅行直前まで目的地が定まっていなかったのである。
伊豆長岡のホテルに宿泊し温泉に浸かるまでは決まっていたものの、それ以外は全く白紙の状態であった。この無計画性が我が家の旅行には常に付きまとう。
現地に着いてから、喧々諤々となる。
結局のところ「シャボテン動物公園」に行くことにした。
シャボテン動物公園は伊豆半島東部の伊東市にある世界のサボテンと動物達に触れ合える自然豊かで風光明媚な景観を楽しめるアミューズメントパークである。
私達も初めて訪れた。大室山の麓にあり別荘地に囲まれた美しい場所である。
私達が駐車場に車を入れようとしていたら前の車の動きがおかしい。ゆっくりと走ったり止まったりしている。よく見ると孔雀が歩いている。
孔雀は車に驚く様子もなく、車が避けて当然だろうと言わんばかりに堂々と車の前を歩いている。ここでは孔雀は放し飼いなのだ。何とか孔雀を轢かずに車を駐車場に止めることが出来た。いよいよ入場。
入口のゲートを入ると、ここでも孔雀のお出迎え。
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大室山に目を移すとハロウイーンの準備か大きなカボチャのオブジェが目に入った。ここで記念写真。
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最初に動物エリアを廻った。エリア内にはおよそ140種類の動物がいるとのことである。
ここでの特徴はほとんどの動物に餌やり体験ができることだ。動物のケージの前には餌と協力金入れがある。単に餌をやるというだけでなく、同時に動物の健康管理や維持への協力が出来、見学者にとっては学習の機会でもあり、園側にとってもプラスになり、とても良い試みだと思う。
そして、私達はカンガルーエリアには入った。
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ここは扉を開けて生息エリアに入るのだ。少しだけ緊張がはしる。
動物が外に出ないように扉をきちんと閉めなければならない。
中にはカンガルーはじめ、ワラビーそれにダチョウの次に大きいという大型鳥のエミューがいる。オーストラリアの自然を体験できる。ただ、動物達はここ育ちが多く、とても人懐っこいという。少しだけ安心した。
このエリアも他と同様に餌やりができる。早速我が娘が餌やりに挑戦した。
娘は元来の動物好き。動物の為になることは何でもしたいという。
娘が餌を差し出すとワラビーが寄ってくる。私もやってみた。差し出した餌の草を美味しそうに食べている姿はなかなか可愛いものだ。
私が餌をやっていると何か気配を感じた。振り向くとエミューが何と目の前30cmの距離にいるではないか。大型種のため顔と顔がくっつくような距離で見つめ合ってしまった。
だが、エミューは私を攻撃するどころか、親しみを込めて笑っているように見える。
実際に笑うことはしないのではあるが、関心を持っていることは間違いない。
恐竜のラプトルならば間違いなく、私は襲われていたに違いない。
エミューをペットにしている人がいることも頷ける。
なかなか楽しい体験であった。
それから定番ともいえるカピパラの餌やりと触れ合いコーナーと進んでいった。
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船でいく体験ツアーもあるが時間の都合でシャボテンエリアに進んだ。
たかがシャボテンと思っていたが、とんでもない種類と規模に圧倒された。
なんと1500種類もあるのだそうだ。
初めて見るものばかりで娘も興味津々。
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形も色もまちまちで実に面白い。このシャボテン動物公園は何度足を運んでも楽しめそうだ。でも一点心残りがある。
それはシャボテンエリアの最後に小さな素焼きの動物に小さなシャボテンを植え付けしたものが販売されている。自分でアレンジできる。
素焼きのカピパラにシャボテンを入れて机に飾りたかった。そのときに買わなかったこと今でも後悔している。今度行ったら絶対買うぞ・・・と心に誓った。
私達はシャボテン動物公園を後にして大室山に向かった。
午前中、大室山に霧が立ち込め中腹より上は全く見えない状態であった。
この状態で上に上ったら、今度こそラプトルが出るに違いないと思った。
が、午後には霧も晴れ周辺も綺麗に見渡せる状態となった。この山は火山で急斜面のため専用リフトで登る。登るときは足が地面について歩けそうな錯覚に陥るが、下りはそのことが無理な事であることを思い知る。あまりにも急斜面で降りたら最後、麓まで一気に転げ落ちるに違いない。娘が1つ前のリフトに乘り、振り返って私と妻の写真を撮ろうとしたが、怖くて断念したことからもわかる。
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でも頂上から観た景色は圧巻であった。海が実に綺麗だ。静かな海で遠く伊豆大島はじめ伊豆七島が見渡せる。遠方に薄っすらと浮かんだ島々は実に心落ち着かせる。
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私達は火口を一周した。途中軽く登ったり降りたりではあったが、十分に景色を楽しむことができた。歩きながら富士山は何処かしら?と思っていたが、一周歩き終わる頃、突然に雲が晴れ富士山が出現した。富士山は元々その場所にあったのであるが、突然現れたことで思わず「あっ」と声が漏れ、富士山に両手を合わせた。周りを見渡すと他の人も手を合わせている。
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大室山を下り、私達は今夜の宿泊場所である伊豆長岡のホテルに向かった。
伊豆半島は南北の道は充実しているが、東西はまだまだの気がする。
ナビに案内を頼んだら、ナビ君は山の中に車を誘導した。車一台しか通れないような細い道で昼間でも暗い。
道を踏み外さないように慎重に車を進めること30分、ようやく視界が開けて来た。
ホテルのチェックイン予定時間に何とか間に合うことができた。
夕食を済ませ(食べるのに夢中で写真を撮るのを忘れてしまった)温泉に浸かった。
露天風呂に入り空を見上げると星が綺麗に瞬いていた。
今晩の宿泊部屋は一部屋の中に洋間と和室があり、ふかふかベッドに妻と娘が寝、私はというと和室の布団の中で一人寂しく眠りについた。
翌朝になり、何処に行こうかしら?と家族と話し合い、とにかく南下しようということになった。私は海岸沿いに車を進めた。観光地だけに道行く車の県ナンバーもまちまちである。私の車の前をバスが走っていた。観光バスでなく通常運行の路線バスらしい。行先を見ると堂ヶ島行きと書いてある。たまには路線バスの旅も楽しいかもしれないと思っていたら堂ヶ島に到着した。私は観光施設の駐車場に車を止めた。
私は恥ずかしいことに堂ヶ島という島があるものとばかり思っていた。
堂ヶ島は地名らしい。ここには伊豆半島が海底火山であった頃の痕跡が残り、それを見て回る観光船があるという。
私達は早速乗船することにした。
チケットを購入し船着き場に向った。
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ここから20分程の船旅になる。
いよいよ出発。途中洞窟をくぐるためか船体は低く水面ぎりぎりを進む。
出船直後から小さな島々が視界に飛び込んでくる。
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切り立った崖は不思議な形をしている。資料によれば海底火山により堆積した火山灰が波で削られ現在の形になったのだという。
船はやがて私達を天窓洞へと誘う。天窓洞は洞窟の天井が開けているので、そのような名称がついたのだという。そこから太陽光が注ぎ海面を照らすと神秘的な青色に輝く。
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とても美しい。この洞窟への通路は狭く、船一隻がやっと通れる幅しかない。船長さんは船を巧みに操りすり抜ける。
と、洞窟の中に入ったと思ったら突然船が停止した。座礁したのかと私は一瞬思ったが違った。洞窟の中は狭いために、そのまま前進してUターンは出来ない。そこで停止して切り返したのだった。船は無事に洞窟を出て岸に向った。20分あまりの短い遊覧ではあったが、美しい景色を十分堪能することができた。
私達は堂ヶ島を後にして車を先に進めた。私達は半島をドライブしながら帰ることにしたが、愛ウサギ君のお迎え時間が迫る中、南伊豆まで行くことは断念して、山道を通り下田へと向った。ご存じのように下田はペリー来航の地ではあるが、時間の都合で寄り道することなく通過し伊東方面に向った。
美しく輝く海を眺めながらのドライブ楽しい。
10分ほど走った頃だろうか大きな砂浜が目に入った。白い浜が広がっている。私は近くのコンビニに車を止めた。店に入り飲み物を買い、浜辺を散歩するために車を駐車場に止めておくことの了解を得て浜辺に向った。
信号の表示を見ると白浜と書いてある。
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実際に歩いてみると、思った以上に広い。そして、その先には青く輝く海が広がっている。大島も見える。実に気持ちいい。
私達は波が打ち寄せる岸部に立ち、砂に溶け込む波を眺めていた。いつまで見ていても飽きることはない。
目を上げるとウインドサーフィンが海上を進んでいる。絵になる。
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後に伊豆半島の地図を見てみると伊豆白浜とある。
夏の海水浴シーズンにはかなり賑わったことだろう。今度はシーズンに来てみよう。
私達は白浜を後にして北上した。車は伊東を通過したが、最初に行った「シャボテン動物公園」もここからは近い。その後熱海の温泉街を通り、愛ウサギの待つ海老名に到着。
愛ウサギをお迎えして帰路に着いた。愛ウサギ君は帰ることを嫌がったが、何とかケージに入れ自宅に向った。
家に着いて愛ウサギ君を撫でると毛がさらさらになっていた。帰りたくないと愚図っていたのも頷ける。
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