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【おしえて歯医者さん! 虫歯じゃないのに】
虫歯じゃないのに歯が欠ける、すり減る、そんなことはあり得るのでしょうか?
答えは、【はい、あり得ます】
虫歯が原因ではないのに歯が欠けてしまう場合をトゥースウェアといい、
①酸蝕症 ②咬耗症 ③摩耗症 ④アブフラクションの4つに分類されます。
今回は虫歯、歯周病に続く第3の疾患として注目を集めている、酸蝕症について解説していこうと思います。
それでは、酸蝕症(dental erosion)とは一体どういう疾患なのでしょうか?
酸蝕症とは酸によって歯が溶けたり擦り減ってしまう疾患のことを言います。
酸は内因性と外因性に分けられ、
内因性の主な酸は、
・胃酸
外因性の主な酸は、
・食べ物の酸(梅干し、レモン、炭酸飲料、ビール、ワインなど)
・薬(アスピリンなど)
・環境中の酸(職業的)
などがあげられます。
では、それぞれを詳しくみていきます。
内因性の酸蝕症に主に関与しているのは胃液です。
胃液は塩酸(pH1.0〜pH2.0)からなり、嘔吐などで逆流すると歯を脱灰(溶かす)します。過食症、拒食症、アルコール依存症、胃食道逆流症(GERD)などが原因として挙げられます。
外因性の酸蝕症に関与しているのは、
一つ目に食べ物の酸があります。
近年の健康ブームで果物やクエン酸を含む飲料、お酢、乳酸菌飲料などの酸性の飲み物が多く摂取されています。中でも特に注意が必要なのは、クエン酸です。クエン酸はキレート作用をもつ酸で、短時間で歯の表面から多くのカルシウムを挟んで持ち去ってしまう作用があり、歯の成分のリン酸カルシウムが溶け出してしまいます。
二つ目に酸性の薬剤のアスピリンなどがあります。
三つ目に職業性の酸蝕症があります。
職業性は、バッテリー製造や、メッキ産業、肥料工場、顔料、染料工場などにおける作業環境中に発生した酸のガス、蒸気、ミストによって歯が脱灰し、白濁、欠損を生じます。塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、フッ化水素酸、黄リンを扱う業務は職業性の酸蝕症に注意が必要です。
最後に酸蝕症の予防法についてまとめます。
・フッ素入りの歯磨剤を使用する。
・ブラシング圧を下げる。
・柔らかい歯ブラシを使用する。
・ナイトガードを着用する。
・牛乳やチーズなどで脱灰を阻害するカルシウムやリンを摂取する。
・よく噛んで唾液をたくさん分泌する。
・酸性の食べ物の摂取量と摂取回数を減らす。
・職業性酸蝕症にはマスクの使用、作業時間の短縮、作業場の換気などを行う。
などです。
今回は日本人の4人に1人は罹患しているといわれている酸蝕症についてまとめてみました。一見虫歯ではなさそうなのに、歯がしみる、歯がすり減ってる気がする、などの症状が気になってる人は歯科医院でご相談されてみてくださいね。
ここまで読んでいただきありがとうございました。