大人になってゆく皆さんへ

 皆さんは刻々と年を重ね、大人に近づいています。そんな皆さんにメッセージを届けたいと思います。
 大人とは何なのでしょう。太宰治は「大人とは、裏切られた青年の姿である。」としています。わたしもだいたいそうだと感じています。
皆さんが子どもだった(幼稚園・保育園生)時代を思い返してください。ママにせびったり、ところかまわず奇声を上げたりして、保護者の皆さんを大変困らせた方もいるかもしれません。小学生のころには、友達と喧嘩ばかりしたり、モノを壊したりして、いつも保護者の方を学校に頭を下げさせていた方もいるでしょう。そんな、貴重な子ども時代の感覚を忘れないでください。どうか、その経験を覚えていてください。実は非常に貴重な体験だとおもうのです。なぜなら、自我をぶっ通しているからです。皆さんも経験があるように、自分中心の世界から、どんどんと周りの方がどう感じているのかなどを考えて、他者の目線で行動するように成長していきます。他者とともに生活することは確かに素晴らしいことです。しかし、頭の片隅は、そういう自我を通すこと=暴れることを入れておいてほしいのです。家から学校、っ職場の往復で人生が終わってしまうのは悲しいことです。時には、人に迷惑をかけないほど(節度は子ども時代に分かったはず)に暴れてほしいのです。それが、「個性」というものだとおもっています。
 しかし、いくら個性だといっても絶対に行動してはならないことがあります。それは、‘’自ら命を絶つこと‘’です。
皆さんは思春期を迎えましたか。思春期になると、行動力は半端なくなります。その際限を知りません。わたしも、自宅が線路近くだったのでこの電車に飛び込めばとか、風呂で顔まで水につけてこのまま息を止めていればとか考えたことがあります。しかし、死への憧れは控えてください。本当に取返しが付きません。だから、皆さんは絶対に自ら命を絶ってはなりません。何かある場合には、信頼できる人に気軽に相談してみてください。ーというのは簡単ですが、死へ足を突っ込んでいる方は相談する気力もありません。そうだ、相談しよう!という気になんてなれるはずがありません。相談する暇があれば、死んでしまおうとおもってしまいます。それくらいは、分かります。しかし、その死への誘いは「嘘・詐欺」であることを知ってください。思春期は時に、自分に嘘をつきます。死への詐欺に引っかかってしまっているのです。これは思春期が起こした副作用です。本当は死ぬ必要なんかありません。あなたの行動力は偉大なものです。取返しのつかない死へ挑もうとしているのですから、なおさらです。その卓越した行動力をどうかみんなのために使ってほしいのです。
 じゃあ頑張ってみよう、と立ち上がった皆さんに伝えなければならないことがあります。それは、「大人は、自分の地位が下がってしまうことに反対する。」ということです。どんなにお金持ちでも、どんなに容姿の優れた人でもそうなのです。大人は、変化を嫌います。嫌いというよりかは、ついていけないのです。変化を起こした人は注目を浴びます。そうすると、大人の地位が相対的に下がってしまうわけですが、これに怒ります。別に、自分に関係のないことであれば、若者の地位が下がっても怒りません。しかし、会社で後輩(部下)が事業で大成功したなんていう事実を聞いた時には、もう大発狂です。そうでなくとも、心は安らかではいられません。どんどんと貶めてきます。大人の「頑張れ」には、実は注釈があって、「(俺たちの地位を脅かさない程度に)頑張れ」ということなのです。だからといって、類まれた行動力を無駄にはしないでください。しかし、大人たちも不用意に怒るわけではありません。当然、家族とか仲間とか趣味があるために怒るのです。いわゆる自己中ではありません。ですから、怒った大人を笑ってはなりません。変化を起こしたいときには、自分8割,相手2割で物事を考えてください。自分の言い分ばかりいうわけでもなく、相手の言い分ばかり聞くわけでもなく、双方がおおむね合意できるくらいにしてください。そして、変化を続けてください。
どうか、これから大人になってゆく皆さんが、皆さんの「個性」と「行動力」を十分に発揮され、常に変化を求めていただくことを期待します。そして、皆さんが十分に活躍できる環境をつくっていくことが大人の責務であるということを自戒として付け加えておきます。


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