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なぜか上から目線の読書感想文②

今回は「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。」(青柳 碧人)の感想です。

大学時代の友人が面白いよ〜とおすすめしてくれたこの本。
正直短編よりも1冊かけて1つの話になっている方が好きやけど、
私からおすすめの本は?と尋ねたので責任持って読みました。笑
というわけで、いざ感想へ。

この本の構成としては
有名なお伽話をベースに事件が起こり、
それを旅の途中で通りがかった赤ずきんが解決していくというもの。

どれくらい元のお話を残したり、いじったりするのだろう。
なぜ赤ずきんは旅をしているのだろう。と思いながら読み進めた。

1つ目のお話はシンデレラから。
舞踏会に行く前から人を轢き殺してしまうという物騒さ。
元のお話とのギャップで笑った。
それにしても癖のある魔女が出てくるなあ。という印象。
シンデレラが悪者になる世界線もこれはこれで良い展開。
自分が他の人よりも美人で、王子様に見初められるのは自分だ!と叫ぶ姿、
私は嫌いじゃない。
人間らしくていいじゃない。

2つ目のお話はヘンゼルとグレーテルから。
ヘンゼルとグレーテルはどうやって赤ずきんの推理から逃れようとするのだろうと読み進めたパート。
狼が登場した時に赤ずきんがちょっと怯えるの、赤ずきんぽさが出ていてよかった。

3つ目のお話は眠り姫から。
この3つの中では1番推理小説として読み応えがあったかも。
オーロラ姫、60年後しっかり国を導いてほしいな。笑
赤ずきんの旅の理由がラストに明かされ、このまま読み進めたくなりページをめくる。

4つ目のお話はマッチ売りの少女から。
最終話ということもあり読み応えあり。
赤ずきんの話との絡み方や、今までのパートからの登場人物も出てきて
ボリューム満点。
マッチ売りの少女は悲しくて正直好きな話ではない。
この話のエレンも被害者っちゃ被害者なのかな。
頼れる人がいない、頭の中はすっかり金金金金。
人間はやっぱり易きに流れるよなぁ。
マッチに火をつけるだけで思いのまま夢が見られるならほとんどの人が
そうするのではないだろうか。
『ご飯を食べるのも忘れ、トイレに行くのも忘れマッチを擦り続ける。』
とあったが、
生きていくための行動って普段意識てしてないだけで
何かと労力がかかるよな。
それを毎日頑張るうちら、偉くね?(急なギャル)

頭の良い赤ずきん、結局何か提案して出てきたみんながハッピーエンド、
みたいな感じになるのかと思いきやそんなことなかった。
マッチ売りの少女のラストになぞったラストだった。

以下より一層のネタバレを含む感想

最終話途中で急に赤ずきんにスポット当たったと思ったら、
エレンへの恨みが募る描写があり
これがないとやっぱ殺したい!に持っていくのはしんどいよね。
と思いつつも
ミステリー好きにはこの不穏な空気がたまらぬ。
読みながらくるぞくるぞとワクワク。
それはそれとして
おばあちゃんのお葬式に狼も参列してたのちょっと胸がギュッとなった。
弔う気持ちを尊重する周囲の人々素敵。

3話までの赤ずきんは、バスケットを
「届けなくちゃいけないの」と言っていたのに、
最後に「殺さなくちゃ」になった言葉のインパクトがでかかった。
このセリフで読む手を止めず最後まで読み切った。

最終話では他の話からの登場人物が出てきて
赤ずきんを助けてくれてエモい気持ちに。
これがお話を最初から最後まで読む醍醐味だよね〜〜!!ありがとう作者様。

エレンが自分の絵本を描いてくれと言って頼んだのに
成功体験は一切書かれなかったのすごい。びっくりした。
マッチ売りの少女の話としっかり繋がる。

今回私は文庫本で読んだが、解説パートも良かった。
たまになんやこの解説っていう時もあって
その時は本当に残念な気持ちになるから嬉しかった。
エレンの暴走は絵本の依頼が思い通りにならなかったところで
立ち止まることができたのでは?という考察、
GOOD!気に入った。
こうやって人間はいろんなことを見落としていくんだ、、、(誰)

思っていたより楽しめたので2作目も読もうと思う。

なるだけネタバレなしの感想に前半で挑戦したのに、
物足りなくなって何も気にせずもう一度感想を書き殴った後半。
小学生以来の読書感想文むずかち〜〜〜〜!

とにかく面白かったということが伝わりますように。
ではまた来週。



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