
第3段_あしたから出版社(読書感想)
大切な従兄を亡くした後に、ある一遍の詩に出会って心が救われた。そのことから、その詩を本にして自分と同じように大切な人を亡くした人に届けたい、という思いで出版社を立ち上げた人のエッセイ。
まず行動力がすごい。就職ができないのでこの道しかない、という覚悟があったのだろうが、すごい。装丁してほしい、あとがきを書いてほしい、絵を書いてほしい、という人たちに次々に突撃していって、すごい。全国の本屋を1件1件「この本を置いてください」とまわっていて、すごい。
ひとりの会社で、仕事の目的がハッキリしていると、すさまじい突破力があるなと思った。
売れるものを売るのではなく、自分の売りたいものを売る。みんなが欲しいものではなく、ある特定の少数の人が欲しいものを作って、売る。
あとがきで「残像のいい人」と言われているように、この作者の人間的な魅力があってこその生き方かな、とは思った。それでも自分にできることを、正直に、誠実に、やり続ける人生を、自分も送りたいと思った。