kawasakiしんゆり映画祭作品感想
2024年今年のKawasakiしんゆり映画祭にて、
日本映画大学2023年度卒業制作作品 「つきあかり」「素足のスア」
日韓合同映画制作「Halfway Line」を観賞。
2024年/25分/音響技術部門「最優秀賞」
「つきあかり」
あらすじ
バレリーナとして役をもらい、練習に励むあかり。
久々に実家に帰省した所、部屋の汚れや乱れに驚く。
母親は相変わらず元気だが、様々な
異様な行動が目につき、病院を受信すると認知症と診断される。
もう一人暮らしはさせられない。同じく帰省中の姉とも話し合うが、先は見えない。
そんな折、バレエの役を降ろされる可能性が浮上。状況を感じ取る母。
「こんな迷惑して生きるなら、、、、、」
母の心の底からの訴えに、抑えきれず荷物をまとめ家を出るあかり。
様子を見に帰ると母がふらっとまた、あかりを迎えてくれるのだった。
夕暮れの道を歩く二人、
「お母さん、ちょっと見てて。」
月明かりの下で、あかりが取った行動とは、、、、、
感想 ネタバレ含みます。鑑賞後にお読みください。
見終わった直後は、正直言って、結末に???
それって、ずるいような、、、、と正直思った。
よかったところ。
バレリーナ演じる女優さんがきれいだった。本当にバレエやっていそうな姿や雰囲気だった。
汚くなった部屋、驚く程のシンクの汚れ、水びだしのトイレ、
夜中の絶叫。親が認知症になる現実。家族が直面する現実と戸惑い。
今後、一体どれだけの人が、この映画に表現されていることに実際に直面するのだろう。戦慄を覚える。
この具体的な認知症行動の場面は、それこそ区役所の障害・高齢者課の窓口辺りでエンドレスに流される動画として採用されてもおかしくはない、
と思うほど真面目にわかりやすく作られている。
マスコット人形を手縫いで直してくれたり、姉の子どもがこぼした味噌汁を、
「大丈夫、大丈夫だから、お母さんが全部食べてあげるからね。」
と言って直接テーブルから吸い上げてくれる。
その行動に引いた目で、ぼうぜんとただ眺め、体が止まってしまうあかりであったが、そういえば、昔、小さいころにおんなじことをしてくれたっけ。
と、優しかった母を思い出す。
結論は出せないながらも、時は過ぎる。
シンクの掃除に集中しながら
足はバレエの練習をする、自分のやりたい事と母の事、
引き裂かれる心情を描いていたと思う。
ラスト、はどうなったか。
結論も出ない、自分の生活にケジメもない、姉との話し合いも平行線。
未来も見えない。そんな中であかりが取った行動、
それは、お母さんへの「感謝」
であったり、自分の中の「けじめ」であったり、
切ない気持ち、そのどれかなのか、泣いてすっきりなのか、
母がいてくれた安心、なのか。
現実的な問題を扱っている点、こんな話を上手に25分間にまとめ上げ具体的な映像に落とし込めたと言うのは、すごい。
25分間にまとめ上げるために、あの終わりにしたのは楽なのでは?と
正直最初は感想を持ったけれど、この問題を扱った事、そんなにすぐに
結論など出せるような問題ではない事、家族や周りの人の生活や人生を
変えてしまう位、深いテーマである事、社会に訴えるのに十分な内容になるのではないかと思った。
それらを鑑みて、それを25分に
まとめられた力量に改めて拍手したい。
まだ大学3年生の若い脚本家ともう立派に、ドラマの演出などの職についている監督さんだそうだ。