ワルシャワ冬日記 白鳥の小池 2025年1月24日
夫親友が遊びに来ていつもの近所散歩コースへ。途中スーパーで飲み物とハリボーグミを買いこみ、小川沿いを歩く。
リード無しの犬の散歩が目立つことについて、夫が長く愛犬家である親友に意見を求めた。うちは必ず紐付けてたけどねぇ、と話していた矢先、後ろから人間5人犬8頭の大所帯がリード無しでやってきた。そのうちの黒パグが勢いよく走っていった先になにやら大きな白い…え、目の前の池に白鳥がいる。白鳥!?と2度見した。驚いている私をよそに夫と親友が、「白鳥まで来てるの、もう完全に春じゃん」とか呑気に言っている。え、そんな季節の訪れを告げる存在なの白鳥って、そんな当たり前に普通にいるもんなの。「1月にいるのはおかしいけど」ふぁー、こんな近くで野生の白鳥見たの初めてだわ。
先程の黒パグが白鳥に向かって吠える。ちょっと怯えて羽をバタつかせる白鳥たち。飼い主さんたちが黒パグの名前を叫んでやめろ、こっちに戻ってこい、と指示を出すも好奇心旺盛な黒パグは声掛けをガン無視して白鳥に釘付け。親友がそれを見て、「まぁ、飼い主がいくらうちの犬は優しくて賢くて安全と思っていても、こういうことはあるからやっぱリードつける派だなぁ」と総括した。
白鳥たちのいる小池の近くに設置されたベンチに座りだらだら税金の払い方とかについて喋った。目の前をさまざまな犬と人間たちが通り過ぎていく。皆大切にされているのがわかる佇まいでなんだか心のほっこりゲージがチャージされていく。いい感じの枝を咥えてうれしげに進んでいくコーギー、飼い主が目を離した隙に泥と落ち葉の混ざる一帯でひっくり返りゴロンゴロンするモップのような犬、何枚も落ち葉を毛に引っさげて飼い主から逃げていた。笑顔で我々のもとに駆けてきてあいさつしてくれる猟犬。飼い主の足元をグルグルしてリードで縛り付けるサモエドの子犬。真っ白のフワッフワだった。
そんなのんびりとした空気のなか、つんざくような爆発音が鳴り響いた。どっかのバカがまた爆竹を鳴らしたらしい。ビクッとびっくりしていたら、後ろから、「お前らか!?お前らがやったか!?」と体格の良い男性に怒鳴られ再びビクッとした。立派なボーダー・コリーを連れている。犬も鳥もたくさんいる場所、動物にとって害でしかない爆竹に怒り心頭のようだ。私たちじゃないよ、多分川向うのどっかで鳴ったと思う、と誤解を解いたら、「誰だこの野郎」と激しい怒りをあらわに指し示した方へずんずん進み犯人探しに向かっていった。眺めていたら10代半ばの少年2人がまた爆竹を構えたところを発見して「お前たちかこの大馬鹿もの、尻を蹴っ飛ばすぞ、お前らの親父をここに呼んでこい!!」と辺り一帯に響き渡る剣幕で叱りつけ、少年たちは一目散に逃げていった。
ベンチに座りながら一部始終を眺め、3人で、素晴らしいな、正しい。正しい大人だ、と称賛した。そんな昼下がりでした。