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ワルシャワ冬日記 中古CD屋、老舗チョコ店、博物館を巡る 2025年1月22日

義母に頼まれたおにぎりランチ作成のため6時に起床。2時間前から起きて色々作業している義父と寝ぼけながら挨拶をしておにぎりをこさえる。今回の米はちゃんとでんぷんが仕事してる。猫がキッチンにやってきて、珍しいななんでお前がこんな時間にここに、みたいな顔で見上げてきた。


昼、デンマークから再び帰ってきた旦那親友と合流して街の中心へ、よくいく中古CD屋を2軒巡った。1軒目の店の壁に謎日本語が書かれており、毎回謎だーと思う。

はい!キリスト゛フフロインマイはこの絵を描かなければならなかったニチ五(?)
ビッチリ積み上げられた店内

その後は1851年から続く老舗チョコ店ヴェデル(Wedel)の1号店へ。6年前、初めてポーランドを訪れた際も連れて行ってもらったのだが、当時時差ボケとなれない街歩きで疲れ、体調不良&水分不足の状態で濃厚チョコドリンクをいただいてしまい2口程度舐めただけで大変気持ち悪くなってしまい、せっかく良いところ連れてきたのに…と夫を悲しませてしまったという思い出がある。そんな悪い思い出を払拭するべくリベンジ訪問である。

夫はベーシックな4種類飲み比べセット、夫親友はホイップたっぷりオレンジジュレ入り、私はエスプレッソとイチゴジュレ入りのものを頼んだ。

6年前より美味しくいただけた、が、あと20mlくらいのところで進まなくなる。うまい、そして重い。胸焼けの気配がする。察知した夫が残りを貰ってくれた。ホットチョコが伝統メニューだから、ということで前回も今回もドリンクにしたが、今度は普通にケーキとか頼んだ方が完食できるかもしれない。


店を出て旧市街へ向かう。街中にはまだまだクリスマスのイルミネーションが残されており人々の目を楽しませていた。クリスマス前後の大変な人出が嘘のよう。気持ちよく景色が見渡せる。

穏やかな空気が流れる

次の目的地はワルシャワ歴史博物館(Muzeum Warszawy)。旧市街の中広場に面した建物群で構成される。外観から左2軒程度の大きさかと思っていたのだが、下のリンクの写真の横並びの建物全てが中で繋がっており、予想以上の広さの博物館であることを知って驚いた。そんなに広くないと思っていたので15時過ぎに入ってしまい、全部回れなかったため近いうちにもう一度行く予定だ。

何度か、こちらの博物館ではしばしばがっかりする経験が多いというようなことを書いてきた。資料不在でテキストパネルだけが延々と続いたり、雑然と量が積み上げられているだけの見せ方だったり、照明や動線、解説の偏りなど気になる点がこれまでは多かった。

が、ここは違う。

全部回れてないのにそれでも正直今まで訪れた博物館の中で一番気に入った。地下の展示から見ていったのだが、冒頭はワルシャワの街の成り立ちを様々な角度から見ていく。テキストパネルが多いのは他の博物館と同様だが、質が違う。見やすいグラフ、イラストとセットになり内容が頭にスルッと入ってくる。その後は、実際に見れる資料が、ある!ということに感動した。あるよ、モノが!展示されてるよ!と嬉しくなるくらい、今まで行った博物館ではテキスト読むだけ、というのが少なくなかった。しかも雑然と置かれていない。ちゃんと修復され、照明の工夫もあり、「見せよう、観察させよう」という博物館の当たり前の工夫がちゃんとされている、博物館ってそうだよ、こういうものだよ。道順に沿って地面にラインや矢印が引かれている。動線も考えられてるしそのサイン表示もあるなんて、博物館学を齧った身として超安心する場所にやっと初めて来れた。

人口の増減、領土の変化、歴史的事象が見比べられる導入
年代別に、どの職業の住民が全体の何%だったか、宗教の比率、ワルシャワ生まれの人の数の比較
ワルシャワのシンボル、人魚像のデザイン変遷
ワルシャワゲットー跡地から発掘された日用品たち
ゲットーの当時の様子をうつした写真群
この博物館の元々の建物がどういうものだったのか、イラストの一部に取っ手がついており開くと説明テキストが読める。
市内で発掘された陶器のコレクション
建物の外壁や公園などパブリックスペースを飾っていた彫刻装飾のコレクション
旧市街の中広場の中心に置かれた市のシンボルである人魚像、のオリジナル。
広場に置かれているのはレプリカだと初めて知った。

あと博物館のスタッフの方々がみんなびっくりするほど親切。我々が流し見しないで割と時間かけて読んだり見たり、ちょくちょく質問したりしたことと夫のコミュ力が功を奏したのか、「そのペースで見てると閉館に間に合わないと思うから、荷物入口に預けてるよね?出口の方に移動させた方がいいよ、近道こっちついてきて」とか、別の展示コーナーの担当スタッフにも私たちの面倒を見てあげるよう、と言伝したり、そこまでしてくれる?という感じの良さで市民の夫と親友も珍しいと驚いていた。

常設展は17時までだが企画展の方は19時まで開いていたので、そちらへ移動。今はワルシャワの食に関する展示を行っていた。

親友が「じいちゃん家にまさにこれがあった!」と興奮していた昔のコンロ
手回し泡立て器

食器や調理器具、保存容器などの展示とともに、時代の変遷とともに食文化がどのように変化してきたかを辿れる。当時の様子が窺える絵画や風刺画、写真、映像作品の上映もあった。当時の人々の暮らしぶりが知れるのはとても面白い。


博物館を出たあとはまた旧市街の土産物店をいくつか覗いた。その中にPolish Poster Gallery、Plakaty z Polskiという夫のお気に入りの店がある。ポーランドの昔の手書き映画ポスターや、有名な画家、イラストレーターの作品の絵葉書、複製プリントが購入できる。ここのオーナーは我々夫婦を覚えていてくれて色々おすすめを見せてくれたりもする。今回は別の従業員の方がレジをしていてオーナーには会えなかったが、覚えてもらえているとちょっと嬉しくなる。


夕食は久しぶりに外食、ワルシャワ工科大学近くにあるベトナム料理店へ行った。以前の記事で書いた店とは違い、こちらはポーランド人向けにアレンジされたメニューを中心に提供している。

私は鳥の春雨スープ、ミエン・ガーを頼み、夫と親友はポーランド系ベトナム料理の代表、チキンボール定食を頼んだ。それぞれ揚げ春巻きも追加。大学の近くの店というだけあって、学生に嬉しい、安くて量が多い食堂の雰囲気。食べながら世界情勢の話になり、私と親友が第三次世界大戦の可能性とか経済的な予測のつかなさとかマジ日々anxietyよなと落ち込み重ーくなっていくのに対し、夫が論理的に楽観主義になる方向に引き戻そうとしたり食べ終わってからも長いこと議論していた。横の席のおじさんがチラチラ参加したそうにこっち見ていたのが印象的。おじさんの意見はどうだったんだろう。

家に帰ると霧というか、視界が異常に悪く、サイレントヒルですかここは、という状態の視界だった。向かいの団地すら見えなくなっている。そしてなんだか煙臭い。義母曰く大気汚染のアラートが出ていたらしい。PM2.5が300何%とかいう数字。ワルシャワはまだマシな方だが、地方では電気やガスの高騰から、暖炉で様々なものをいまだに燃やしてしまうためもっと深刻な問題になっているらしい。

向かいの団地の窓の明かりがうっすらとしか見えない


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