スクリーンの砂漠は美しい
少女を虜にしたもの
『アラビアのロレンス』が日本公開されたのは、製作された1962年の翌年であるから、さすがの私もまだ赤ちゃんであった。何度かリバイバル上映がなされていて、私は1974年のリバイバル時、大きなスクリーンでロレンスに会うことができた。その圧倒的なスケール。息をのむほどの美しい砂漠の情景に潜む狂気。一瞬で『アラビアのロレンス』の虜になっていた。
地平線の彼方にうごめく小さな黒点が、徐々に徐々に大きくなって近づいてくるシーンは、その先の戦慄を物語っているようだ。
中学生の当時、何て凄い光景なのだろうと、震えが止まらなかったシーンがもう一つ。荒涼とした砂漠の中から、船舶の一部が見える。砂漠の河の中を、ゆっくりと流れていく。
ロレンスとアラブ人少年が目にするその風景は、幻ではないかと見紛うほどの美しさ。
巨大な蟻地獄のようなシナイ砂漠を横断しきったロレンスたちのように、観客をも錯覚させる安堵感と高揚感を味わった。
二人のロレンスに夢中になった
6年ぶりのリバイバル上映
はじめての一人鑑賞会
1980年10月の日曜、東銀座の松竹セントラルに一人で観に行った。
誰も誘わなかったのは、上映時間が長いこともあるが、何より一人でじっくりとこの空間を味わいたかった。
そして、一週間も経たないうちに、足を運んでいた。2回以上観に行ったはずだけれども、保管してあるチケットは2枚だけだった。
貴重な2枚。はじめて一人で、何度もなんども映画を観に行った記録。
そして、そこから少女の夢は大きく、大きく膨らんでいった。
#映画館の思い出
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無職で色無し状態だニャ~ン😭