雲を紡ぐ 伊吹有喜
再読本。
付箋がたくさんのずっと手元に残しておきたい本。
美緒ちゃんの祖父絋次郎の言葉のひとつひとつが心に沁みます。
ミッドナイトバス、なでしこ物語でファンになった伊吹有喜さん。
この物語、感動間違いないです。
中高一貫の私立女子高に通う山崎美緒が主人公。
繊細で周りの目にいつも怯えてる。
周囲と上手くなじめず、部活の合唱部ではアビーとあだ名され辛くなり不登校に。
教員の母は生真面目過ぎるが故に狭く、持ち場のクラスも崩壊寸前。
美緒にもタッチが強く確執も泥沼に陥る。
父は家電メーカーに勤めるがリストラの危機に。
八方塞りとなった美緒、生きる為に頼ったのは岩手県盛岡に住む祖父だった。
祖父の絋次郎は羊毛を手仕込みで染め、紡いで織る工房を営んでいる。
美緒の居場所を与え、粉々に砕けた心が一つに紡ぎだすのをゆっくり待つ。
祖父絋次郎の言葉、北の大地、岩手盛岡の風景描写が素晴らしい。
鮮やかな色とりどりの糸、様々な手触りの織り地、羊毛の匂い、糸を紡ぐ織機の音、ホームスパンと出会うことで美緒は己の進みたい道を見つける。
美緒の変化によって親子、夫婦の絆、家族の在り方を再構築していく展開も見どころです。
触れて頂きたいのは祖父絋次郎の言葉。
何度でも読み返したくなります。
何が好きで、何が嫌いだ。
欠点と感じる凹んだ部分は裏から見れば突出した部分だ。
言葉が輝いてます。
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