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いじめ防止対策推進法重大事態ガイドライン改定案について話してみた(2024/7/30実施)
こんにちは、瀬尾りおです。
今回は下記の記事「いじめ防止対策推進法重大事態ガイドライン改定案について話してみた(7/25実施)」の第二弾です。
今回はガイドライン素案の第6章、第7章についてつっこみどころをあぶりだしてみました。
第6章
P20
第6章のポイント⚫︎1つ目
調査主体は学校の設置者が判断する。不登校重大事態については、原則として学校主体で調査を行う。
<つっこみどころ>
なぜ不登校重大事態については学校主体なのか。学校が原因で不登校になっている場合、隠蔽のおそれがあるため危険。
P20
第6章のポイント⚫︎2つ目
特段の事情がある場合を除いて、第三者を加えた調査組織となるよう努める。
<つっこみどころ>
公平性・中立性の観点から、「第三者を加えた調査組織」ではなく「第三者のみで構成された調査組織」で調査を行うべき。
P20
第1節(1)⚫︎4つめ
なお、不登校重大事態については、これまでも詳細な事実関係の確認や再発防止策の検討だけでなく、対象児童生徒の学校復帰や学びの継続に向けた支援につなげることを調査の目的として位置付けており、学校内の様子や教職員・児童生徒の状況は対象児童生徒が在籍する学校が最も把握していることを踏まえて、引き続き、原則として学校主体で調査を行うこととする。
<つっこみどころ>
学校がいじめおよび不登校の原因だった場合、隠蔽の恐れがある。公平性・中立性の観点から「原則として学校主体で調査を行う」のは危険。
P21
第1節(2)⚫︎1つめ
【学校の設置者主体の場合に考えられる調査組織】
① 第三者・教育委員会等方式
教育委員会の指導主事等学校の設置者の職員のほか、必要に応じて、弁護士やスク ールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー等の専門家が参画した調査組織。公 平性・中立性を確保する観点から、第三者を加えた調査組織となるよう努める。
<つっこみどころ>
公平性・中立性の観点から「第三者を加えた調査組織」ではなく「第三者のみで構成された調査組織」にすべきだ。加えて言うとこの①第三者・教育委員会等方式は不要。
P21
第1節(2)⚫︎1つめ
【学校主体の場合に考えられる調査組織】
① 学校いじめ対策組織方式
各学校に設置されている学校いじめ対策組織の職員のほか、必要に応じて、弁護士 やスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー等の専門家が参画した調査組織。公平性・中立性を確保する観点から、第三者を加えた調査組織となるよう努める。
<つっこみどころ>
公平性・中立性の観点から「第三者を加えた調査組織」ではなく「第三者のみで構成された調査組織」にすべきだ。加えて言うとこの①学校いじめ対策組織方式は不要。
P22
第2節(1)⚫︎2つめ
対象児童生徒や保護者が、第三者が調査に関わることを望んでいない場合等特段の事情がある場合を除いては、第三者を加えた調査組織となることが望ましい(学校の設置者主体の場合の①第三者・教育委員会等方式、②第三者委員会方式、学校主体の場合の①学校いじめ対策組織方式のうち、第三者を加えたもの、②第三者委員会方式)。
<つっこみどころ>
公平性・中立性の観点から「第三者を加えた調査組織」ではなく「第三者のみで構成された調査組織」にすべきだ。
P22
第2節(1)⚫︎4つめ
③ これまでの経緯から学校の対応に課題があったことが明らかであるなど学校と関係する児童生徒の保護者等との間に不信感が生まれてしまっている重大事態
対象児童生徒の保護者等と学校との間で不信感が生まれてしまっている場合などに は、公平性・中立性を確保する必要性が高く、第三者を複数名加えるなどにより、調査結果の信頼性を高めることが必要である。
<つっこみどころ>
公平性・中立性の観点から「第三者を複数名加える」ではなく「第三者のみで構成する」にすべきだ。
P23
第2節(1)⚫︎5つめ
また、これらに該当しない事案であっても、専門的見地からの詳細な事実関係の確認や調査組織の公平性・中立性を確保する必要性が高いと考えられる事案については、専門家及び第三者の参画を積極的に検討することが望ましい。
<つっこみどころ>
公平性・中立性の観点から「専門家及び第三者の参画を積極的に検討する」ではなく「専門家および第三者のみで構成する」にすべきだ。
P23
第2節(2)⚫︎8つめ
域内の他の学校を担当するスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、地域で活 動する弁護士や医師、学識経験者等が、職能団体等からの推薦を受けて“第三者”の立場からも調査組織に加わる場合について、直接の人間関係又は特別の利害関係がなければ、当該重大事態が発生した学校と同じ地方公共団体内で職務に従事していたとしても、第三者性は確保されていると考えられる。
<つっこみどころ>
同じ地方公共団体内で職務に従事していると、報酬の出所が教育委員会と同じなど、雇用関係で簡単に利害関係が生まれてしまうため、第三者性は確保されないと考えられる。
P23
第2節(3)⚫︎2つめ
常設の調査組織の委員の人選についても職能団体等からの推薦によるなどにより公平性・中立性を確保することが望ましく、運営規約等において委員の任期や委員長の選出方法、当該調 査組織が担う役割、業務等を予め定めておくとともに、公平性・中立性が確保された組織であると示しておくことが考えられる。
<つっこみどころ>
常設の調査組織は大阪府寝屋川市の危機管理監査課のような規模でないと実現が難しいのでは。なおかつ、常設となると報酬の出所が学校や教育委員会と同じになるため公平性・中立性を保つのが難しいと考えられる。
第7章
P26
第1節(3)⚫︎3つめ
重大事態発生後、詳細な調査を実施するまでもなく、学校の設置者及び学校の不適切な対応により対象児童生徒や保護者を深く傷つける結果となったことが明らかである場合は、学校の設置者及び学校は、詳細な調査の結果を待たずして、速やかに対象児童生徒・保護者に不適切な対応の経緯等を説明し、謝罪を行う。
<つっこみどころ>
いじめによって深く傷つけられている対象児童生徒およびその保護者に、不適切な対応により更に傷をつける事態は絶対に謝罪すべき大事な項目である。その重大性ゆえに、実行されたかチェックする人・機関が必要だと考えられるがその記述がない。
P27
第2節(1)⚫︎2つめ
【いじめにより重大な被害又は不登校を余儀なくされている状況を把握し、重大事態に当たると 判断した後速やかに説明・確認する事項】
③ 調査組織の構成に関する意向の確認
職能団体等を通じて推薦を依頼する場合には、対象児童生徒・保護者の意向を伝え ることができること、一般的に職能団体等からの推薦を経て調査委員会の委員に就任 する者については第三者性が確保されると考えられること、職能団体等における推薦 の手続きには時間を要することに触れる。
<つっこみどころ>
「一般的に職能団体等からの推薦を経て調査委員会の委員に就任 する者については第三者性が確保されると考えられること」はおかしい。削除を求める。
P27
第2節(1)⚫︎2つめ
【いじめにより重大な被害又は不登校を余儀なくされている状況を把握し、重大事態に当たると 判断した後速やかに説明・確認する事項】
③ 調査組織の構成に関する意向の確認
対象児童生徒・保護者が指定する者を調査組織に参画するよう求められた場合には、 調査の公平性・中立性が確保できなくなることから、職能団体等を通じて推薦を依頼することを説明する。
<つっこみどころ>
職能団体等というのは実質第三者ではないことが多い。そのため、このシステムでは実質推薦できなくなってしまう。
P27
第2節(1)⚫︎2つめ
【いじめにより重大な被害又は不登校を余儀なくされている状況を把握し、重大事態に当たると 判断した後速やかに説明・確認する事項】
④ 調査事項の確認
対象児童生徒を取り巻く環境を可能な限り網羅的に把握することは当該重大事態へ の対処、再発防止策の検討において必要であることから、個人的な背景及び家庭での状況も調査することが望ましく、調査組織の判断の下で、これらの事項も調査対象とする場合があることについて説明し、理解を求める。
<つっこみどころ>
対象児童を取り巻く環境とは、いじめに関することの調査が今回の目的であるため、家庭の状況を調査するのはおかしい。また、いじめを行った原因を調査するという意味で関係児童生徒の家庭の状況を調査すべき。
P28
第2節(1)⚫︎2つめ
【調査組織の構成や調査委員等調査を行う体制が整った段階で説明する事項】
④ 調査事項・調査対象
調査組織の判断の下で、対象児童生徒の個人的な背景や家庭での状況も調査対象と して想定している場合には、そのことを説明し、協力を求める。
<つっこみどころ>
対象児童を取り巻く環境とは、いじめに関することの調査が今回の目的であるため、家庭の状況を調査するのはおかしい。また、いじめを行った原因を調査するという意味で関係児童生徒の家庭の状況を調査すべき。
P29
第2節(1)⚫︎2つめ
【調査組織の構成や調査委員等調査を行う体制が整った段階で説明する事項】
⑦ 調査終了後の対応
調査報告書について意見等があれば地方公共団体の長等に対する所見書を提出する ことができることを説明する。
<つっこみどころ>
とても良い項目だが、遵守されていない例が散見される。遵守させるための強制力を伴わせる文言(チェック体制の設置など)が必要。
P30
第3節⚫︎2つめ
基本的には、第2節の対象児童生徒・保護者に対する「【調査組織の構成や調査委員等調査を行う体制が整った段階で説明する事項】」について、関係児童生徒・保護者に対しても説明を行い、調査に関する意見があれば聴き取り、必要に応じて調整することも考えられる。
<つっこみどころ>
いじめ加害を行った可能性のある関係児童生徒の言い分を聞くことになりかねない、危険な項目。
P30
第3節⚫︎3つめ
特に、調査結果を取りまとめた調査報告書について、対象児童生徒・保護者に提供・説明を行うことになるので、関係児童生徒・保護者に対し聴き取り調査等の実施前にそのことを説明することが必要である。
<つっこみどころ>
いじめ加害を行った可能性のある関係児童生徒にそのような対処をすると、対象児童生徒への加害が増すおそれがある。不必要な対応。
P30
第3節⚫︎4つめ
また、関係児童生徒・保護者がいじめ行為の事実関係を否定している場合には、本調査は、 民事・刑事・行政上の責任追及やその他の争訟への対応を直接の目的とするものではなく、 公平・中立に事案の事実関係を可能な限り明らかにし、再発防止を目的とするものであることを丁寧に説明し、調査への協力が得られるよう取り組むことが重要である。また、いじめには当たらないと考えている場合には、法が定めるいじめの定義(法第2条第1項に定める定義)や法の趣旨(重大事態調査は疑いのある段階から調査を行い、早期に対処していくという趣旨)等について説明することが考えられる。
<つっこみどころ>
いじめにはあたらないと考えているとあるが、それを調査するのがこのガイドラインに定められた手順のはず。調査の前からいじめには当たらないと考えるのは間違っている。