父との思い出『ローマの休日』#映画にまつわる思い出
長くなりそうなので
冒頭に「何を書くのか」を持ってきます。
私が16歳の時に
48歳という若さで心臓の病で亡くなった父との思い出を振り返る、
そんな映画にまつわる思い出です。
(日本語変ですね。笑)
正直、思い出すことが辛い時期はあったけれど、
歳を重ねていくうちに、笑って話せることばかりになったので、大好きだった父への感謝を改めて伝えたくなりました。
向こうの世界で読んでくれていたら良いなあ。
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この映画をご覧になられたことがある方は
ピンとくるのではないでしょうか。
(この和訳とても素敵だなと思いません?私だったらこんな素敵な日本語の引っ張り出せません。。)
と、まあ、
いつ、どのシーンでアンが、発したセリフかすぐに分かると思います。
このセリフは長い映画界の歴史に残る名台詞のひとつであると言っても過言はないと思います。
セリフは勿論ですが、この映画自体も。
個人的にそう思います。
ヒロインのアンは一人の女性である前に、
王女という立場にある天真爛漫な少女。
ローマへの訪問で
短い間だけれども
純粋で切なくて儚いラブロマンスを経験して、
アンは「天真爛漫な少女」から「王女である自覚を持った大人の女性」へと代わりました。
翌日には何事もなかったかのような顔で、
凛とした表情で、
自身の立場を理解し、
堂々と上記のインタビューに答えた。
でも、そんな大勢の記者たちの中から
一人だけ周囲とは違う、優しさと愛おしさに満ちた彼女を見守る目線を送り続ける男性がいた。
アンもおそらくその視線に気付いていたでしょう。
でも「あえて」目を合わせなかったのは
身分が違っても「心と心は通じ合うことができる」という
シンプル且つ、とても大切なメッセージを私達に伝えたかった、そんな監督の思惑がひしひしと伝わってきました。
あの切なくてもどかしい名シーンは
本当に大切なことを伝えるために生まれたんだろなと思います。
(私の勝手な解釈のため「違うと思うよ」と感じた方が居たらすみません。)
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さてさて、私の父の話に戻りますね。
父は生前からこの映画が大好きで、
私が小学校から帰宅すると、自宅離れにある
自室兼書斎で設計図を書きながら
決まってこのモノクロ映画を流していた。
もしくは蓄音機で『Roman Holiday Main Title』を
流していました。
私は帰宅する際は、一目散に離れに飛び込み
「ただいまパパ!」とニコニコしながらランドセルをポイッとして、暖炉に薪を追加して室温を上げていました。
ロッキングチェアに座りながらパイプをふかし、
難しそうな本を読みながら優しく、そして暖かく「おかえり。」と迎え入れてくれました。
私はこの時間が大好きでした。
穏やかでほっこりした気持ちになれたから。
そしてなにより子供ながらに
「なんておしゃれで格好良い父親なんだろう」と思っていました。
こだわりのスーツにタイピンをつけて、
スーツに合わせてネクタイも毎回モダンテイストにしていたっけかなあ。
髪の毛はおそらくポマードで整えてて、
設計図を描くだけでも、重みのある
シャープペンシル、黒と赤色ボールペンが1本にまとまった、やたらカッコいいいこだわりを感じさせるものを使ってたな。
父は趣味や身なりに相当なこだわりがあったようで
「パパは和製メル・ギブソンなんだ」と言っていました。
ローマの休日の話なのに「何故グレゴリーを出さないんだ!」ってツッコミもあると思いますが、本人がそう言い続けていましたし、
実際娘の私から観てもイケオジだったと思います。笑
と、まあ帰宅後からの会話のやり取りは大体いつも同じで、
「この映画のプリンセスはどうしてハッピーエンドで終わらなないの?お城に一緒に住むんじゃないの?」の質問攻めでした。
夢見る夢子ちゃんだった私には
たまらなく不思議でした。
ほら、だって童話では
「お姫様は王子様とお城で一生幸せに暮らしました。めでだしめでたし。」って終わり方が
当たり前だと思っていたからです。
これらの質問に対する父の解答はいつも同じ。
「この映画の終わり方がわかったら、君も立派な大人になったということだよ。」の返答のみ。
「ふーん。そうなんだー。じゃあまだ私は子供だね」なんて繰り返されたこの会話。
ねえ、パパ。
この会話、もう10年以上していないんだよね。
あ、でもねこの10年以上で
私も世間で言う大人になって
あの二人をくっつけなかった理由がわかったよ。
成就するだけの恋愛が幸せじゃないってこと。
ようやくわかったよ。
だからこそあの映画は名作なんだね。
おーい。
そっちでもロッキングチェアに座りながら
ローマの休日見てるの?
寒いから暖炉つけてよね。風邪ひくよ。
設計図とにらめっこしてるか、
パイプふかしてるか、コーヒーを飲んでるであろう姿が容易に眼に浮かぶよ。
こっちはパパが突然いなくなっちゃったから、
離れである秘密基地の
「これは明らかにゴミでしょう!」ってものは姉と母と3人でせっせと捨てたり、大変だったんだからね。
でも1つ嘘みたいなことが起きたんだよ。
パパの机の引き出しの中から
(主にヨーロッパ中心)毎年旅行に行っていた沢山のアルバムを見つけて、
4人でいったイタリア一周旅行のアルバムを発見して懐かしんでた瞬間、
パパがいなくなってから使われることがなかった
蓄音機から、『Roman Holiday Main Title』が流れたの!!
嘘みたいだけど、本当にあったんだよ。
その場にいたママと、普段絶対に涙を見せない姉まで声を押し殺して泣いてたよ。
私は涙と鼻水が滴るぐらい、声出して大泣きした。
その涙は恐怖の涙じゃなくて
「パパはいつでも見守ってくれてるんだ」って安心の涙と「寂しいよ、家族四人でまたいろんなところに行きたいよ、とにかく会いたいよ。博識なパパからもっといろんなこと教えてもらえば良かった」という後悔の涙。
ヨーロッパの中で1番イタリアが楽しかったな。
ご飯はなんでも美味しかったし、
街の至る所に世界遺産があって。
フィレンツェなんて街全体が美術館だったよね。
パパは毎回トイレのチップ忘れて困ってたよね。
もうスペイン広場はいつ行っても激混みだし、
ジェラート食べると罰金だよ。
私が幼い頃からだっけ?罰金制度は。
覚えてないけど。
そうそう!そういえば、
カウントダウンをスペイン広場でやったんだけど、人の数が凄いのはまだしも
「ハッピーニューイヤー!!!」の瞬間、
ほぼみんなシャンパン持ってきてて
突然のシャンパンファイトに巻き込まれました。
最初は「楽しい!最高!」って思ったんだけど
段々と冷静になって
「あ、やばい。これコートにシミが付くぞ。しかもペタペタするし何よりお酒臭い…」って気が付いて
それ以降イタリアで年越しする際は、
ホテルのベランダから眺めることを決めたのであります。
さすがにベランダにはシャンパン届かないからさ。
でもテンション上がりすぎた人は爆竹持参してる強者がいてね。
さすがにあれはママが「眠いのにうるさい!」って怒ってた。
他の国での年越しはイタリアほどお祭り騒ぎじゃなかったかなあ。
イタリアについでスペインは爆竹祭りだったかな。
私サッカーわからないんだけど、たまたま有名チーム同士の試合は朝から爆竹の嵐!
それこそ「楽しむぞ!負けないぞ!」って熱気がすごくてちょっと感動したよ。
案の定、サッカーに興味がない私達3人は
早々にホテルに引きこもってルームサービス頼んで
外に出なかった。
これはイタリアの年越し爆竹シャンパンファイトで学んだ教訓だったよ。
たぶんねー、綺麗好きなパパが巻き込まれてたら
発狂してたと思うよ。笑
んーあとはねー
トレビの泉は相変わらず小銭だらけ。
家族みんな成功して「また来ようね」って約束したんだけどなあー。
シャンパンファイトの話の時点でもうパパは居なかったんだよね。
これを呼んでくださってる方には内輪話で申し訳ない。ある意味これ、パパに向けての手紙でもあるから許してくださいね。
とにかくさー、
一家の大黒柱が1抜けで早々に離脱しちゃったもんだから3人共寂しくて困ってるんだからね。
でもね、ひとり減っちゃたけど、家族の思い出は増やしていこうって3人で話し合って決めたから、
パンデミック以外、
毎年必ずヨーロッパのどこかしらには行ってるんだよ。
これは余談だけど、1度お姉ちゃんがアメリカを提案したんだけどママが「だったら東京のビル群行けばよくない?高層ビル見てNYとの違いはわからない」とバッサリぶった切ってた。
感性って親子だけど人それぞれなのねって冷静に見ちゃったよ。
あとさ!この面倒くさがりの私が
パパがひとりで頑張ってくれてた
撮影係とアルバム作成係
「◯月◯日☓☓に行きました」とか
ことこまかにメモ残してるの!
成長したでしょ😏✌
ママもいつまで側にいてくれるかわからない。
お姉ちゃんだって、私だって。
だから立候補してパパがやっていたようにアルバム担当者になったの。
話してて思い出せなくても、写真に残すと「あー!ここね!ここのご飯美味しかったよね」って会話を生む大切なきっかけを作れることを知ったから。
パパが教えてくれた大事なこと。
そのうちさ何十年後に向こうで4人で再会したら、
もう一度、青の洞窟にもう一回行きたいんだ💡
あの澄んだ青を家族揃って見たいんだ。
まさに天国って感じだったよね。
再開するなら天国がいいな。笑
とにかくまたいつか4人で世界中を旅しようね。
はあ。
私はパパとママそしてお姉ちゃんの妹で
世界一幸せだよ。
あ、そうそう。
このnoteを書きながら今何してると思う?
パパのロッキングチェアは私が譲り受けたから、
こいつに揺られながら
今まさに『ローマの休日』を見ているよ。
揺られながら書いてるけど
なかなか気分が良いね。
素敵な映画に出会わせてくれて、
最後まで私のハッピーエンド論に口を挟まず、
答えを教えてくれてありがとう。
また、いつか4人で会おうね。
パパとの思い出、『ローマの休日』は
私にとって一生の宝物。
私の人生のエンドロールには間違いなく
四人の名前が載ってるんだろうな。
もうほぼ朝だけど仮眠するかな。
おやすみなさい。