008 日本銀行のバランスシート
1 はじめに
先日日本銀行の事業年度(令和5年度)上半期財務諸表が出されその中に日本銀行の貸借対照表(バランスシート)が公表されました。上場会社の決算書で貸借対照表(バランスシート(略してBS))、損益計算書(PL)を見ることはありますが、日本銀行にもバランスシートがあり定期的に公表されているためここでは考察していきます。
2 日本銀行とは
まず日本銀行について説明します。日本銀行は日本の中央銀行であり、日本のお金である日本銀行券を発行する銀行です。一応政府から独立した法人という扱いで中で働いている人は厳密には国家公務員ではありません。(一応給与、規律等は国家公務員に準拠しほぼ同じ立場にあります。)
実は日本銀行は紙幣である日本銀行券を発行しますが、発行枚数は財務大臣によって決定されます。今年度は合計22兆円分発行します。https://www.mof.go.jp/policy/currency/bill/lot/2023ginnkoukennkeikaku.html
また実際に印刷するのは独立行政法人の国立印刷局で印刷します。お札の柄も財務省令で決められています。来年から発行される新紙幣も日本銀行総裁からではなく、財務大臣から発表されニュースになりました。
資本金は1億円(うち5,500万円が日本政府出資)、トップの総裁は内閣に人事権があり国会の同意を得て内閣が任命します。以前日本銀行は政府の子会社論争がありましたがこの2点によって子会社の位置にあると説明することができます。
ちなみに証券コード8301で「日本銀行」の証券を買うことができます。しかし保有しても議決権の無い証券ですが。現在1株27,300円です。
3 資産の部
ここからは日本銀行のバランスシートの特徴的な部分について説明します。まずは資産の部について見てきます。資産の部の大部分を占めているのは「国債」586兆円です。金融緩和によって市場の国債を買っていった結果です。しかし現在額面は577兆円となっているため評価額は-11兆円です。
「金銭の信託(信託財産連動型上場投資信託)」37兆円は株式のETFを日本銀行は購入しておりそれが37兆円まで増えています。
4 負債の部
負債の部の第一項目は「発行銀行券」約120兆円です。これは日本銀行が紙幣を発行して世に出回っているお金の合計です。まず貸借対照表の原則として誰かの資産は誰かの負債という原則があるため、個人若しくは民間企業等が現金を持っているとバランスシート上では資産の部に計上されます。そのため資産負債の原則に従って日本銀行では負債の部に現金つまり「発行銀行券」を負債として計上されます。
5 純資産の部
純資産の部では「当期剰余金」が1.9兆円と計上されています。会社であれば内部留保という形で会社に残りますが、日本銀行は営利企業ではないため最終的には国庫に戻されます。
6 まとめ
情報が多く、また企業のバランスシートとは異なるため色々確認しないといけないため資料をみるのはとても難しかったです。損益計算書(PL)は別の機会に記事にしてみようと思います。
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