圏外送信  鬼りんご



  圏外送信

  或ひはさらば行く手のかへり道


読み忘れんとや生まれけん
読み流さんとや生まれけん

霧を深み行方も知らず 彷徨へば時をも知らず 発つ風に春を問へども 葛原を霰は叩き 五百蔓いほづるは足に絡まり なづみてはあめに憾めば 百舌もずからすつぐみ蝙蝠かうもり 猛り啼く千声ちごゑ八千声やちごゑ 膝折りてつちに呻けば 仮名真名にをどる横文字 渦巻ける千文字ちもじ八千文字やちもじ 言の葉はかく繁くして 靡きつつ波立ち騒ぎ かつ藻掻きかつは漂ひ 人の世を洗ふ海辺の いづちにか波返るらん はて知らぬかも

トゥヰイトせんとや生まれけん
インスタせんとや生まれけん

空昏く雪に塗れて舞ふ蝶の無我夢中曲その中の解
遠ければいよいよかなし窓窓に来よ来よと呼ぶここだともしび



(「こどもだま詩宣言」対応  原文縦書き)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?