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初めて買った小説はなんですか?

「最初に自分で買ったCDはなに?」というのは初対面やひと昔の合コン時の定番の質問でした(もう少し経ったら、「えっ? サブスクで聴いているから、 買ったことないです」と返されるようになるんでしょうね)。
実際に何度か聞かれたこともあります。ちなみに、僕はゴダイゴの「ビューティフル・ネーム」でした(年齢がバレますね)。

でも、「初めて買った小説は?」という質問をしたこともないし、されたこともないです。どうしてないんだろう? 小説を読んだことがない人は少ないと思うけど、小説を自分で買ったことがない人はいるからかもしれません。

ちなみに、僕は記憶がちょっと曖昧なのですが、多分、サトウハチローさんの「あべこべ物語」だと思います。
サトウハチローさんは詩人として有名ですが、少年少女向けの小説も書いています。
「あべこべ物語」は、大正時代が舞台で、男女が入れ替わってしまうお話です。古くは大林宣彦監督の「転校生」、アニメ映画「君の名は」など、たくさんある男女入れ替えものの嚆矢だといわれている作品です。
いい加減なおじさんからもらった赤い玉にお願いすると、兄と妹が入れ替わってしまいます。子供心には「赤い玉」が怖かった気がします。今考えると、兄と妹が入れ替わるというのは、ちょっと気味が悪い設定ですね。
大正が舞台というのが新鮮でした。読んだのは小学校低学年だったと思うのですが、円タクとか一等級の列車とか、今では存在しない風景が興味深かったです。

今でも内容を憶えているぐらいですから、子供の僕には印象的だったんでしょうね。ユーモアあふれる文体とかは、どこかで自分が書いている作品に通底している部分があるような気もします。
拙作「ふたりの余命 余命一年の君と余命二年の僕」に登場する死神「ミナモト」は願い事をひとつ叶えてくれます。
「あべこべ物語」の赤い玉に似ていますね。まったく意識をしていませんでしたが、昔読んだ本が記憶に残っていて、深層心理から意識下に上がってきたのかもしれませんね。

皆さんも、「初めて買った小説は?」と質問して盛り上がってみたらどうでしょうか。
ちなみに、カミさんに聞いてみたら「秘密の花園」だそうです。


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