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誰よりもお人形遊びをしたパパ

小さい頃の娘が好きだったのは、お人形遊びでした。
3歳の誕生日に買った小さなお人形が大好きで、そのお人形を使って、おままごとをはじめました。兄弟がいないので、最初は母親とやっていたのですが、いつのまにか僕と遊ぶことが増えました。
子供の頃におままごとをやったことがなかったのと、小説家を目指していた僕は、物語を作って、ふたりでお人形を動かして演じるようになりました。
小さい頃は、僕が一方的に喋り、一人芝居しているみたいでしたが、大きくなるにつれて、娘も積極的にお話に参加するようになりました。

娘はこの遊びが気に入って、出かけるときも人形を持ち歩き、食べ物屋では注文して料理が運ばれるまでの間、ずっとお人形遊びをしていました。
そのうち、お人形がなくても遊ぶようになり、おしぼりが入っていたビニールを動かして物語をするようになり、すぐに指だけで「お人形遊び」をするようになりました。もはや、お人形遊びでもなんでもないですね。
この遊びは数年間続き、ほぼ毎日やっていたので、数千近い物語をふたりで作ったと思います。
こっそり教訓めいた話も織り交ぜました。例えば、小学校で娘がお友達と喧嘩したら、キャラクターたちが喧嘩してまた仲直りする物語を演じたり。
あのとき演じたキャラクターは今でも覚えていますし、娘は人形を捨てずに取っています。

7月18日刊行の「夏のピルグリム」では、主人公の夏子と妹が、ぬいぐるみを使ってお人形遊びをしますが、これは僕が娘と遊んだ経験から思いついたことでした。
姉妹の絆を描くのに、ちょうど良いエピソードだと思ったのと、娘と遊んだあの膨大な時間を小説に活用しないともったいないという貧乏性から採用しました。
作中には、ふたりが作ったお話も作中に挿入されています。児童文学などが好きな人も楽しめると思います。
気になったら、書店でぜひ手に取ってみてください。

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