小説を書いて見返りを求める
他人になにかをしてあげると見返りを求めてしまうのが人情です。SNSで「いいね」をもらいたくなる承認欲求を抱く人も多いでしょう。
小説を書く者の性として、読んだ人から感想やリアクションが欲しくなります。
長い時間をかけて、精魂込めて書いた小説が誰に読まれず、感想ももらえなかったら、ちょっと辛いですよね。
普段の生活では、僕は見返りが欲しい方ではないのですが、小説に関しては多くの人が読んで感想をもらいたい気持ちが強いです。
それは、読者がいて初めて小説は成立すると思っているからです。小説は誰かに読まれるために存在します。読者を意識して、読者が面白く思ってもらえるように、読みやすいように作家は書きます。
誰に読まれたくないなら、小説ではなく日記でも良いでしょうし、公開する必要もありません。
公開するなら、誰かに読まれることを前提に書いたはずです。読者がいて初めて成立する小説が読まれなければ、寂しいと感じるのは自然の感情だと思います。
もうひとつの理由は、感想を読むことで、自作の課題がわかるからです。自分でどんなに校正して、読者視点でも読んでも、人の感想を読むと、「こういう読み方もあるんだ」「こういう考え方があるんだ」と勉強になることがばかりです。
商業出版の場合、本を買ってもらえれば売り上げになるし、次回作を出版しやすくなります。
それはもちろん大事なのですが、僕としては感想をもらえることが一番嬉しいし、なによりも勝る見返りです。
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