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推しで人を知る
7月18日発売「ポプラ社小説新人賞」奨励賞受賞作の「夏のプルグリム」には、「推し」が登場します。中学生の夏子は、友達のマチとともに、アイドルグループ「すたーぱれっと」のライブへ行くために勉強を頑張ります。
学校や家庭で生きづらさを感じている中学生がのめり込むものとして、「推し」を設定しました。
僕は推しと呼べる人がいないので、推す人を観察して、気持ちを想像するししました。もっぱら当時二次元アイドルを推していた娘の姿を参考にしました。
推す人を書いているときは、恋愛小説を書いている気分になっていました。推しは遠くで見るものと言いますので、話しかけられないから遠くで見ている好きな人みたいな感じなのかなと。片思いのような。無理やりに恋愛という枠に押し込める必要はないと思いますが、言いたいのは推すという行為は、特殊な行為ではなく、今までにもあった普遍的な行為じゃないかということです。
また推しは対話なのだとも感じました。推しと直接話せる人は多くありませんし、むしろ推しと直接会って話したくない人も多いんじゃないですかね。
でも、推し活って、対話ないんじゃないかなと思います。ライブへ行ったり、公式グッズを買ったり、推しのことを想像することで、直接会わなくても推しと対話している気がします。
推しと間接的に対話することで、癒されるんじゃないかな。
今年の大河ドラマ「光る君へ」は平安時代の貴族の物語です。あの時代の恋愛なんて、まさに推しですよね。和歌はファンレターだし、好きな人と同じものが欲しいという描写も源氏物語であったような。
推しのことを書いているときは、とても楽しかったです。なにかを求めている人を書くのはいいですね。受賞時の作品には、推しについてもっと長く書いていたのですが、全体を見ると冗長だったので、改稿したときに随分削ってしまいました。
いつか、もう一度「推し活」を主題とした話を書いてみたいなと思っています。
著者初の単行本形式の小説「夏のピルグリム」がポプラ社より発売中です。「ポプラ社小説新人賞」奨励賞受賞作です。よろしかったら書店で手に取ってみてください。善い物語です!